風邪が5類感染症? No.1
# 負の連鎖を断ち切る No.147 〔2024/08/15〕
〔最近の話題〕
今日は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について」に対しパブリックコメントを提出するために、調べてみたいと思います。
「空之まめ」さんは、「熱もないのに検体提出!? そして今度は、新たに『急性呼吸器感染症』という区分を作り、従来の風邪まで含めて5類に分類されてしまうことになりそうです。これは国民のためなのでしょうか。医療従事者の皆さんは、こんなことを望んでいるのでしょうか。『せきや頭痛・鼻水などの急性症状』の患者数を定点把握したいのは、誰なのでしょうか」、と指摘されています。
「みのり先生の診察室」さんは、「わたしたち国民が日常用語としても使用し、共通認識している“風邪”(従来の『コロナウイルス』を含む)が、感染症法上の『5類感染症』になることによって、その流行状況が法的な監視の対象になるというのです」、と指摘されています。
「楊井人文のニュースの読み方」さんの文章は途中までしか読めないので、要約ができませんでした。
「森田洋之」さんは、「そう、医療は感染症に神経を尖らせることで『国民の人権さえも制限出来る巨大な力』を持ってしまったのです」、「普通の風邪のように基本的に自分の免疫で解決出来るものには敢えて介入せず(そのほうが個人の免疫が強化される)、緊急時の対応は絶対に保証する。これが本来あるべき医療の姿です。 今回政府が出した『普通の風邪も5類感染症に』という方針は、明らかにこれとは真逆の、すべてを国家の管理下に置こうというもので、その意味でも、本来『医療』が目指す方向とは明らかに逆方向に向いていると言っていいでしょう」、と指摘されています。
その他の情報は、「せきや頭痛・鼻水などの急性症状想定『急性呼吸器感染症』の患者数を定点把握…今年度中にも」(2024/07/09)、「急性呼吸器感染症が5類感染症に、サーベイランスは24年度内開始へ」(2024/07/10)があり、後の記事には「世界保健機関(WHO)はインフルエンザ様疾患やARIに対するサーベイランスの実施を推奨しており、こうした海外の動向を踏まえた感染症対応を日本でも取れるようにするのが主な目的だ」、と書かれています。つまり今回の件にWHOが絡んでいたんですね。
次に、関係法律を確認します。
「根拠法令条項 感染症法第6条第6項第9号、第11条第1項、第14条第1項、第14条の2第1項及び第56条の2第1項」となっています。
感染症法の正式名称は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律です。
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感染症法
第6条第6項 この法律において「五類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
第9号 前各号に掲げるもののほか、既に知られている感染性の疾病(四類感染症を除
く。)であって、前各号に掲げるものと同程度に国民の健康に影響を与えるおそれ
があるものとして厚生労働省令で定めるもの
第11条第1項 厚生労働大臣は、感染症のうち、特に総合的に予防のための施策を推進する必要があるものとして厚生労働省令で定めるものについて、当該感染症に係る原因の究明、発生の予防及びまん延の防止、医療の提供、研究開発の推進、国際的な連携その他当該感染症に応じた予防の総合的な推進を図るための指針(次項において「特定感染症予防指針」という。)を作成し、公表するものとする。
第14条第1項 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、開設者の同意を得て、五類感染症のうち厚生労働省令で定めるもの又は二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは五類感染症の疑似症のうち厚生労働省令で定めるものの発生の状況の届出を担当させる病院又は診療所を指定する。
第14条の2第1項 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、開設者の同意を得て、厚生労働省令で定める五類感染症の患者の検体又は当該感染症の病原体の提出を担当させる病院若しくは診療所又は衛生検査所を指定する。
第56条の2第1項 動物(指定動物を除く。)のうち感染症を人に感染させるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるもの又は動物の死体のうち感染症を人に感染させるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるもの(以下この条及び第七十七条第一項第十二号において「届出動物等」という。)を輸入しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該届出動物等の種類、数量その他厚生労働省令で定める事項を記載した届出書を厚生労働大臣に提出しなければならない。この場合において、当該届出書には、輸出国における検査の結果、届出動物等ごとに厚生労働省令で定める感染症にかかっていない旨又はかかっている疑いがない旨その他厚生労働省令で定める事項を記載した輸出国の政府機関により発行された証明書又はその写しを添付しなければならない。
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感染症法第6条第6項第9号によれば、「・・・前各号に掲げるものと同程度に国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるもの」と規定しているところに普通の風邪を含めるというのは問題です。「国民の健康に影響を与えるおそれがある」というあいまいな表現ですし、そういうことを言ったら、なんでもかんでも「おそれがある」に含まれるでしょう。行政として感染症対応するのであれば、きちんと、どのケース、と特定しなければならないのが行政や法律の考え方です。
第11条第1項は、「・・・感染症のうち、特に総合的に予防のための施策を推進する必要があるものとして厚生労働省令で定めるものについて・・・当該感染症に応じた予防の総合的な推進を図るための指針(・・・)を作成し、公表するものとする」と規定しています。そうすると普通の風邪を「特に総合的に予防のための施策を推進する必要があるものとして厚生労働省令で定める」というのは、どこをどう考えても、科学的ではありません。感染症法11条1項に普通の風邪を適用することはできません。
第14条第1項は、「都道府県知事は・・・開設者の同意を得て、五類感染症・・・五類感染症の疑似症のうち厚生労働省令で定めるものの発生の状況の届出を担当させる病院又は診療所を指定する」、そして、第14条の2第1項で、「都道府県知事は・・・厚生労働省令で定める五類感染症の患者の検体又は当該感染症の病原体の提出を担当させる病院若しくは診療所又は衛生検査所を指定する」、ですから、5類に該当するデータを集める病院等を指定し、情報を収集するということです。しかし、そもそも、5類に該当しない普通の風邪も今回含まれていますから、そうした感染症法に矛盾する違法な条文を作成し、情報収集をするというのは、感染症法1条の目的、2条の理念に違反しています。
さらに、根拠法に基づき、「命令などの案 省令案(概要)」に、規則第1条関係、規則第2条関係、規則第6条第1項関係、規則第7条の3関係、「⑸ その他所要の改正を行う。」となっていますが、根拠法に普通の風邪は含まれないのであって、根拠法に含まれない風邪を根拠法に含まれると誤認し規則を変えるのは法令遵守違反です。
今日はここまでにします。
【e-Gov パブリック・コメント】
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について(案の公示日 2024年7月12日)
命令などの案
省令案(概要)
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000277009
【空之まめ、2024年7月20日】
従来の風邪まで5類にして、医療現場は対応できるのか?
【みのり先生の診察室、2024-08-06】
従来の風邪が5類感染症に? パブリックコメントを送りましょう!
【楊井人文のニュースの読み方、2024.07.26】
旧来の風邪を「5類感染症」に格上げへ 武見厚労相が明言
【森田 洋之、2024年7月28日】
普通の風邪を5類感染症にするこの国がいかに世界からズレているのか?
【国立感染症研究所、2021年09月30日】
コロナウイルスとは
【chako、2024年8月15日】
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に関する意見のパブコメ送付しました。
【読売新聞、2024/07/09】
せきや頭痛・鼻水などの急性症状想定「急性呼吸器感染症」の患者数を定点把握…今年度中にも
【厚生労働省、令和6年7月26日】
武見大臣会見概要
【日経メディカル、2024/07/10】
急性呼吸器感染症が5類感染症に、サーベイランスは24年度内開始へ
【厚生労働省】
急性呼吸器感染症(A R I)サーベイランスに係る具体的な方針について
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001272561.pdf
【e-Gov法令検索】
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則
《おまけ情報》
【True Fact note、2024年8月15日】
岸田総理、総裁選不出馬を表明 「自民党が変わったことを示すため身を引く」
【ちれんchyren⭐️德永彰知的情報連合研究所、2024年8月14日】
偽情報で「適正対応」要請 総務省、Xなど4社にさぁ、いよいよ言論弾圧か本格的に始まる。って事ですね〜
【共同通信社、2024/08/13】
偽情報で「適正対応」要請 総務省、Xなど4社に
【JPSikaDoctor、2024/8/14】
レプリコンワクチン特有の懸念事項
【国立医薬品食品衛生研究所】
【mRNA医薬の評価の考え方】
─パネルディスカッションの論点─
https://www.nihs.go.jp/mtgt/pdf/2023-RS,54,4,322-329.pdf
【カトレア、2024年8月14日】
レプリコンワクチンの開発、承認は事前のシナリオ通りだった!
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