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山形のプレイヤーに迫る 第5回

今回は
前回に引き続き
“ボタコーヒー”を経営されている
佐藤英人さんへのインタビューをお届け!

七日町にボタコーヒーを構えて、9年、
まちと共に営んでいるからこそ見えるもの、
学生の立場から気になるところを聞いてきました!

ご本人がなぜボタをはじめられたのか、
その思いは“ Real Local 山形 ”や
リリリリノベーションの記事にも掲載されています。

ぜひチェック!

略歴―――――――

東北芸術工科大学卒 馬場ゼミ出身
一度、東京の不動産会社に就職するも山形に帰郷
リノベーションスクールのサブユニットマスターをしたことが
きっかけとなり起業、
現在はボタコーヒー(カフェ)とボタシアター(貸しスペース)ぼた(焙煎室)、つち(食事とお菓子)の4つの経営を行っている。

―――――――――


A:先ほど、好きなことを商売にするのは
コスパがいいとおっしゃっていました。

英人さんがボタコーヒーをはじめとする事業を継続できているのは
好きだから続いているという側面が一番強いですか?


H:そうですね、

コーヒーが飽きないですね。

ただ、コーヒー以外のご飯はスタッフに任せて作ってないですかね。
 
ケーキやカレーなんかの仕込みも全部です。
ただ、もちろんクオリティコントロールはしてますよ。
 
でも、それに対しての楽しさは減ってます。

もちろん、
会社としてはご飯ものもやらないと
みんなにお給料出せなくなるから作ります。
 
ただ
自分自身はやっぱコーヒーをやりたいんです。

だから
次のステップにもし進むのならば

コーヒーだけのお店をやりたいです。
 
もちろんお客さんの間口を狭めることは、
それだけ経営のリスクもあります。
 
ただ9年やってきて、沢山の様々なお客さんに出会えました。
 
僕たちのコーヒーが日常の一部になってくれているお客さんもいるし、
インスタグラムのフォロワーさんでよく豆を買ってくれる人もいて
それにスタッフの頑張りに答えたい思いもあります。
 
今まで築いてきた財産があるからこそ
こういった考えになってきています。
 
なので次は、
綿密で色々な関係性が築けるお店をつくりたいです。
 
もちろん今も
昔みたいに(不動産の仕事をしていた頃)、
街の風景を変えたいとか
そういう思いでやってはいるんですが、、、

山形にいいお店って本当に沢山あるんですよ。


最初はこの店でいろんなことやっていました。
ワインも日本酒も飲める
食材も山形県産のものだけで揃えたり

ここを山形の魅力を伝えるカフェにするんだ
っていう感じで
お店を最初、作ったんです。

だけど、自分の中での一番はコーヒーであって

それが疎かになってるっていうのがやっていく中で分かったんです。

そんな、なんでも屋にしたところで、
日本酒がおいしい居酒屋は他にあって
ナチュラルワインだったらあそこがいい、みたいな

こういう風に自分がおすすめしたくなるようなお店がいっぱいあるんです
山形には

そうなった時に自分の役割を考え直したんです。

そしたら
おいしいお酒も県産食材のランチも、
自分がしなくていいやと思ったんです。

じゃあ

どういった役割で街中に存在したいかって考えたとき

建築を学んできて
それでいて
深煎りのコーヒーは、ちゃんと自信持って商売してて

この2つを組み合わせて
“ボタ“で
お客さんがどういう時間を過ごしてくれるのかといった
過ごし方に注力したお店にしたいなと思いましたね。

ボタニカルな店先、店内のほの暗い雰囲気とギャップが効いている

なんか案内所みたい感じですかね

色んな情報誌読んだところで
あれはあくまで商売で、

自分らみたいに、変わった人たちが見ても、
ああ、なんか面白くないなと思っちゃうでしょう?

A:はい。

H:だからそこには載ってないような
なんか

変わって個性的なお店を紹介できる人

でありたいと思います。

仙台でよくイベント出店してるからお客さんが
うち目的に仙台から来てくれる方も結構いるんですよ。

そういったお客さんとは
「どこを行ったらいいですかね」って会話によくなるから

徒歩圏内で面白い店をさらっと地図に書いてあげたりしてますね。

これがきっかけで山形好きになってもらえたら
自分も嬉しいなと思うんです。

そういった意味で、
自分が街中に存在している意味はあるのかなと。

こういう関係性が大事だなって今すごく思ってます。
 
 
A:ありがとうございます。
ではさっきまでのなんか真面目な感じの話からちょっと逸れて、

英人さんは大学生時代ってどんな人でした?


H:馬場さんからよく言われるのがあって
「お前は80点まで持っていくスピードは恐ろしく速いけど。
80点から百点に持っていこうとしない」

だから僕はいつも、2、3番手でした。
もちろん1番になったこともなくはないです。

ただ中間発表までは一気に持っていくのが早いんです。
(作品の完成度を仕上げるスピードが早い)

でも最終公表になると。
「お前、何も変わってねえじゃん。」
って言われて

「なんかもう満足したんで」
みたいな事を言うタイプの学生でした。

正しく、馬場先生の言った通りですね。

それが今のお店の経営スタイルにも通ずるんですよ。

基本としてお店のメニューは
レシピ通りに作れば安定した品質を提供できるもので構成してます。

この店のスタイルって、
職人気質な人(100点を目指す人)ほど
“ボタ”に合わないんですよ。

もしこれで職人気質な人がいると
百点のカヌレにしたくて沢山の時間費やします。

ただ、そこで80点から90点にするための伸びしろは
本当に微々たるものなんです。
やっぱりプロの世界ですから。

そこに時間費やすんだったら
80点の違うお菓子作ってるのが
僕の経営スタイルですし、

仮に百点のカヌレを提供するスタイルのお店にすると
その人が独立するんでやめますって言った途端に
そのものが作れなくなっちゃうと経営が揺らいでしまうんですね。

なので
ちょっとした工夫でオリジナル商品、
ボタで買う意味を持ってもらえるようにしています。

プリンも、カヌレも
ボタコーヒーを使用したり

そのあたりに付加価値を持たせることで
技術に依存しすぎないことを大切にしています。

なので学生時代からの性格から
今のこういった経営スタイルのお店になってますね。

A:ありがとうございます。

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今回はここまで!
学生時代の英人さんの人物像から見える
ボタの経営スタイルは
聴いていてとても興味深い内容でした。

80点とは言うものの、素人の私ではなんのことやら

やはりプロの世界!
経営の考え方、従業員への思い、
将来の展望とスケールが段違いでした。

次回は、発足当初の山形R不動産や、
学生に対して伝えたいことについてです。

英人さんの最終回となるこの回も、
今回と同様、学生からすれば
経営的目線の強いとても勉強になるものだと感じます。

気になる方はぜひチェック!

写真・文章:加藤瑛人

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