見出し画像

山形のプレイヤーに迫る 第6回

英人さん回の最終回となる今回は
発足当時の山形R不動産について、
また、学生に対してのメッセージを中心に
お届けします。

ご本人がなぜボタをはじめられたのか、
その思いは“ Real Local 山形 ”や
リリリリノベーションの記事にも掲載されています。
ぜひチェック!

略歴―――――――

東北芸術工科大学卒 馬場ゼミ出身
一度、東京の不動産会社に就職するも
山形に帰郷
リノベーションスクールのサブユニットマスターを
したことがきっかけとなり起業、
現在はボタコーヒー(カフェ)とボタシアター(貸しスペース)ぼた(焙煎室)、つち(食事とお菓子)の4つの経営を行っている。

―――――――――


A:ありがとうございます。
では次に

当時の山形R不動産の話をお聞きしたいです。

今のR不動産は、
物件の情報の掲載ができていないのが現状です。

その代わりに
町の情報などを外に発信する役割に決めて
活動内容を振り切ってるんです。

在籍されてた当時は
どのような雰囲気でどういった活動を行っていましたか?



H:僕が在籍していた当時は
本当に立ち上げメンバーだったので
すごかったですね。

当時の不動産情報の集め方を一応話しますと

先輩方は
何の気なしに町の不動産屋に行って、
掲示されている不動産情報を見るんです。

それでいい物件が見つかったら、
そのままお店に入って
「この物件を記事にしたいのですが」
って直談判です。

当然、見ず知らずの学生が
いきなり突拍子もないこと言うわけなので
不動産屋さんはポカーンとして掛け合ってもらえません。

そこを何度も伺って交渉して
記事を書いてました。

始まったばっかりのプロジェクトでしたから
当時の4年生を中心に活動してました。

その時、僕は3年で
プロジェクトメンバーとして
先輩方の活動を手伝っている形でした。

本当に先輩方が優秀で、
今でも業界の有名どころで働いている人も多いです。

アーティストが住んでいるシェアハウスが
七日町にあるんですけど
そこを自分たちでリノベーションした時も
すごかったですね。

事業計画書を学生たちで作って、
大家さんと一緒に進めていました。

ミサワクラスっていう場所も

セルフリノベーションして作ってましたね。


アーティストが何十人と暮らすための
アーティストレジデンスを
イメージしてもらえると
分かりやすいですかね。

それを実現するためには
もちろん銀行にお金を借りないと
スタートラインに立てない

まず、そこをクリアするために
大家さんへの説明からはじめました。

お金を借りる借主は当然、
物件を所有している
大家さんになるわけです。

銀行からの融資っていうのは、
借金です。
銀行側も融資はリスクがあります。

融資した金額を回収しないといけない訳ですから。

それをまだ社会に出た事もない学生が提案するわけです。
普通は鼻で笑われてそこで終わりです。

でも僕たちがリノベーションを実現するためにやったことは

入居者を先に確保することでした。

物件が出来上がる前に、
ここに何十人住む学生が居ます。
二年住めば、初期費用は回収できますよね?
っていう状態に持って行ったんです。

もちろんそこで終わらないですよ。

プロの業者の方に依頼すると物凄いお金がかかります。
資金も限られているので、
ネットや先輩の伝手でだいたいの見積をつくって
自分たちで出来ることを見積から消していくんです。

ペンキ塗りや片付け作業なんかですね。
それらの数字を全部消していって
最低限このくらいの金額であればできるという予算を出すんですよ。

学生が手も付けられないプロの領域はもちろんお任せしました。

あとは自分たちでセルフリノベです。

あの時の物件の表面利回りは50%とかでしたね。

利回りって分かりますか?


A:分かんないです。

H:軽く説明しますと、
一般的な不動産でいいとこ10%台ですかね。

例えば、1200万円の1ルームマンションを投資用で買います。

賃貸料は月10万円だとすると
年間の家賃収入は120万円

仕入れ値が1200万なら
仮にずっと満室の状態であれば
なんと10年で回収できますよね。

A:はい。

H: これを表面利回り10%っていう言い方をします。
あくまで“表面”なので、実質的な利回りは下回ることもあります。

当然、入居率100%なわけはないですし、
修繕費をはじめとした色々なお金がかかるわけですからね。

ミサワクラスでは表面利回りが50%です。
2年で費用回収できる計算です。

※前述の通り実際は諸経費や予想外の修繕費が発生することもあり、ミサワクラスも2年で回収は出来なかったとのこと

そんな商品は中々ないですね、あるにはありますが。
でも僕たちがセルフリノベーションしたり
事前に、入居者が何人住むのかを
確約した状態でこの利回りをたたき出したわけです。

銀行さんも結構安心してお金を出してくれたましたし、
大家さんも
「もう廃業した旅館だったから、学生たちに住んでくれるならいいかな」
っていう感じで進みました。

ちょっと脱線しますが、
学生のうちから覚えておいた方がいいこと。

さて、
お金持ちほど借金してます。
なぜだと思いますか?

A:なんですかね、、、高所得者は銀行からの信用が厚いからですか?


H:それもありますね。
ただ今回の正解は別です。

例えば、
前の話に少し戻って、
1200万円のマンションを投資用に購入する場合

お金持ちの方々は、
手元にあるキャッシュをその初期投資に充てずに、
銀行からの融資金で払います。

手元にある1200万円は融資の担保
(返済が出来なくなったときの保険)
として機能します。

今は低金利時代で、
銀行からお金を借りても金利は高くありません。

簡単に言えば、
借りた額に数パーセント上乗せされた金額で返済ができます。

(低金利についての詳しい話は今回、省略します。
気になる人は調べてみて下さい!)

お金持ちの人はこの仕組みを上手く利用するんです。

表面利回り10%の物件を購入して賃貸に出せば、
最初の10年は初期投資の回収に費用が回りますが
さらに継続して運用したとすると、
そこで発生する家賃10万円は
収入になりますよね。

自分が直接的に働くことなく

お金に働いてもらうわけです。

ただ数字が移動しただけなんですけどね。

A:それはすごいですね。

H:世の中のお金持ちが使っている仕組みってこうなんですよ。

もしお金に縁がなくて
信用がないと
銀行もお金貸してくれない
頑張ってローンを組むしかない。

自分で働いてお金稼ぐしかないんです。

これが、お金持ちで信用がある人
手元にあるお金なんて使わないで
銀行からお金借りてマンション買って
家賃収入を得て財産を増やしていく

これが僕の場合、事業投資になります。

今、銀行から1000万円規模の融資を受けています。
いわゆる、事業ローンです。

それで3店舗持てているわけです。
開業資金からはじまり、
何から何まで自己資金で賄おうとすれば、
死ぬまで働いても不可能に近いです。

だけど、先にお金を借りて店を開いて
ちゃんと売上をたてて
そこから銀行に返済して
この流れで商売をつくってます。

借金ってネガティブなものじゃないなって
今ちょっと思ったでしょ?

A:はい。

H:これをするためには、家賃滞納しないとか、
クレジットカードの引き落としを一回も抜かさないとかして、
信用を守る努力はする必要があります。

銀行は融資をする際に、
その人の信用(支払い能力の有無など)が
どの程度か調べます。

もし、信用が低いと融資がまず下りないですからね。

まずは気をつけてお願いします。

A:ありがとうございます。
英人さん、最後になるんですが、

学生に向けてメッセージを一言お願いします。


H:はい、
学生のうちにちゃんと“勉強”しておくことですかね。

僕は大人になってから
ちゃんと本を読むようになりました。
経済学の分野だったり、心理学は特に関心が高いです。

もちろん僕も学生の頃は全然読まなかったです。
これが変わったのは、
実際に自分でリスクを負って商売をしてからです。

学生のうちは、まだ社会に出ていなくて
自分の時間を切り売りしてお金を得てる。

これがリスクを負って商売してみると
嫌でも稼がないといけなくなるんです。
銀行から借金してますから。

どうやって稼ぐのか、
物凄く考えるようになります。

例えば、1杯500円のコーヒーを売ったとします。

売上500円ですけど、この額がそのまま収入にはなりません。

1杯のコーヒーを作るには
材料費(コーヒー豆の仕入れ)
光熱費(器具には高い電力を必要とするものもあります)
家賃、人件費
こういった必要な経費が発生します。
あとは税金ですね。

当然これらの経費は、売上から充てますよね。

そうしたら、
実際に手元に入ってくる利益は
半分以下とかそこいらです。

頑張って1杯売ってですよ。

コレを経験すると
ちゃんと社会全体のことだったり、
税金のことを勉強しようって思うんです。

でも、これはリスクを負って挑戦したから分かることで

ただ働いていると、中々気づけません。
世の中で給与明細の詳細を見る人ってあんまりいないんです。
どのくらい税金で差し引かれているか、
またどのくらい会社が負担してくれているのか、
それを自分で確認してみるだけでも違います。

これに早く気付けると大分違いますよ。
なので学生にしてもらいたいのは勉強です。
社会のこと、お金の仕組みを学べば世界の見方はガラリと変わります。

A:ありがとうございます。
今回は取材にご協力いただきありがとうございます。
とても勉強になりました!

――――――――――――――――――――――――

ここまで読んで下さり、ありがとうございます!

今回の取材を通して、世の中の仕組み、お金の流れ方
経営者の目線、沢山のことを吸収できました。

特に、銀行からの融資の活用の仕方と
お金持ちの資産運用の話は衝撃でした。

今回のお話も例に漏れず、大部分を省略しながら、
なるべく多くの方に伝わるように編集しています。
事実確認は行っていますが
実際と異なる部分もありますので、
ご了承ください。

次回の更新はいつになるやら
またの機会がございましたら、

どうぞお楽しみ下さいませ~

文章・写真:加藤瑛人


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?