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株主のための買収防衛策の見方 ー買収防衛の議案で総会で質問すべきポイントは1つです


(雑談)会社四季報の春号が発売

会社四季報の春号が3月18日に発売です。と思っていましたが、四季報のデータ(有料版)は昨日更新されていました。明日から保有銘柄と関連銘柄はじめ気になる業界の銘柄を可能な限り多く、平日の朝の時間に地道にチェックしていく予定です。

毎日の朝の30分は四季報オンラインでの銘柄チェック、残り30分はモーニングサテライトの視聴が当面の私のオフィスでのルーティンです。今回は工作機械セクターや中国依存度の高い銘柄を重点的に見る予定です。オムロンはじめ中国依存度の高い企業は、中国の景気減速の影響を受け、業績にマイナス影響が出ていますが、今後の中国景気を各社がどう見ているのか各社の決算説明会のQ&Aなども併せて丹念に情報を拾っていこうかなと思っています。

買収防衛策の総会議案について個人株主がする一番大事な質問はこれ

本題です。本日は、株主総会での個人株主の総会議案の見方ということで、買収防衛策議案について解説したいと思います。つまり、6月の株主総会で買収防衛策を導入又は継続更新する企業の株主総会で「こういう質問をすると良いでしょう」ということを解説したいと思います。

買収防衛策の導入企業数はかなり減ってはいますが、一方で、新規導入又は継続更新する企業もちらほら目にします。最近ですと、鳥越製粉(2009)などが継続更新を公表していますね。

買収防衛策ですが、機関投資家からの評判はすこぶる悪く、ほとんどの機関投資家は多くの企業の買収防衛策の導入議案に反対票を投じていますが、では買収防衛策議案について個人株主はどう考えれば良いでしょうか?

私は、個人株主は、運用のプロである機関投資家の議決権行使基準を見習うべしと思っているので、反対をした方が良いという考えですが、反対する前に株主総会で是非とも議長に質問をした方が良いと考えます。

個人株主が総会で質問をすることで、「個人株主もコーポレートガバナンスを深く勉強しているな」という意識を会社に持たせることが出来、それにより企業サイドの意識も今後変わるので、株主総会に出席するのであれば是非とも個人株主の方は質問をすることをお勧めします。

では、この買収防衛策議案について、個人株主は総会で何を質問すれば良いかですが、一番重要であり、企業が聞かれて非常に回答に窮するものが1つあります。それは、「有事導入型の買収防衛策がある中で、買収者が出現していないこの段階で、何故早々と事前警告型の買収防衛策を導入するのでしょうか?」という点です。

「後出しジャンケン」が許される時代

事前警告型の買収防衛策の導入理由は何でしょうか? 買収者が出現した場合に株主が買収者の提案内容を判断するに十分な情報と機会を与えることが理由になります。これは事前警告型の導入企業のほとんどの企業がプレスリリースで書いている理由になります。1つのボイラープレートであり、まあ、建前ではありますが(本音のところは、究極的には買収された後に経営陣がクビにされるリスクを避けたいというところだと思います)。

けど、理由としては一応の合理性はあります。機関投資家にとっては「会社に検討のための時間を与えて貰わなくても、プロである自分たちは判断できるから大きなお世話だ」となりますが、プロでない一般の株主の方には十分な情報は必要かも知れませんので、そういう点では一応の合理性のある理由と言えます。

しかし、今は有事導入型の買収防衛策の時代です!

これまでは「後だしジャンケン」である有事導入型の買収防衛策は投資家にとって不意打ちであり、法的にも許されないのではと考えられていました。私も機関投資家と対話をする際に「何で事前警告型の買収防衛策を導入するの?」と聞かれると、数年前までは「有事型は後だしジャンケンであり、その有効性が裁判所で認められない可能性大だから」と回答していました。

けど、この1~2年で有事導入型の買収防衛策は完全に定着したと思います。つまり、買収者が出現した時点で、ひとまず取締役会の決議で買収防衛策の導入を直ちに決議し、後日、臨時株主総会を開催して買収防衛策の事後承認の是非を株主に問うというスキームです。これが有事導入型の買収防衛策になりますが、これまでは「後出しジャンケン」として問題視されてきましたが、今やこのスキームが定着しています。

だから、買収者の出現していない段階で、何故わざわざ株主総会に買収防衛策の議案を上程するのですか?ということになるのです。

株主総会に出席して個人株主は質問しましょう

を質問されると、多くの企業は回答に窮すると思います。「突然導入となるとバタバタするから事前に導入しておくのです」とか「事前に導入していることを示した方が買収者や資本市場関係者の予見可能性を高めるから」などの理由を言うのでしょう。そういう株主総会の想定問答集を作成しているのだと思います。

けど、説得性が乏しいと思いますし、そんな回答は屁理屈かなと私は思います。買収者が出現した時に、株主総会を開催して(臨時株主総会ということになるので多少のコストはかかりますが)、その時の株主の判断を仰ぐのが筋と私は思いますし、多くの機関投資家もそう考えていると思います。

ということで、個人株主の方は、株主総会で議長に質問をしてみることを強くお勧めます。