3Dインベストメントが東北新社に同意なき買収提案
3Dインベストメントが同意なき買収提案
7/29週から企業各社の1Q決算が始まります。投資先企業や関心のある企業の通期決算をこの週末はおさらいをし、引き続き、日中も仕事の空き時間を使って決算分析をして1Q決算に備える予定です。1Q決算後は各社のIR部門に疑問的を細かく質問する予定です。
既に新聞報道のとおり東北新社に対してシンガポールの投資ファンドである3Dインベストメント・パートナーズが買収提案をしました。東北新社がプレスリリースを次のとおり公表しています。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2329/tdnet/2477174/00.pdf
同意なき買収ですが、真摯な買収提案に当たると考えて検討を開始するようですね。プレスリリースに次の記載があります。
同意なき買収の対応のポイントは?
企業買収指針では、買収提案が対象会社の経営陣の同意を得ているものであるか否かに関わらず、真摯な買収提案であれば、取締役会は真摯に検討することが求められています。
同意を得ている買収提案であれば検討するのは当たり前のことですが、これまで敵対的買収と言われていた、同意なき買収提案も無視するのではなく、真摯に検討せよというのが企業買収指針の肝です。取締役会が検討すべき事項としてざっくりポイントを整理すると3つあります。
提示される買収価格等の条件は軽視されてはならない。株価水準より高い買収価格の場合、十分に検討すること
提示された買収価格・企業価値向上施策と現経営陣の下での企業価値向上施策を定量的観点から十分に比較考量すること
買収提案への諾否の合理性は、説明責任を果たせるようにすべき
特に取締役会の検討においては、社外取締役の判断が重視されると思います。というのも、社外取締役は少数株主の利益に立って企業を見ることがその役割として期待されているからです。特に、同意なき買収のように会社の経営陣にとって本来は相手にしたくない事案に対して、社外取締役は私心を排してどう判断するかが資本市場から期待されているのです。
東北新社の取締役会は独立委員会に対して、本提案に対してどのように対応すべきか諮問するようです。諮問というのはアドバイスを求めることでありますが、一方、独立委員会の判断に法的に拘束されることはなく、最大限尊重した上で、本提案についての意思決定は取締役会が行います。
今後、取締役会は結果を公表することになるのだと思います。引き続き、動きがあればブログでも紹介・解説したいと思います。
(ご参考)同意なき買収の過去記事
何度かこのブログでも同意なき買収を取り上げましたが、ご参考までに再掲いたします。
同意なき買収とは何であるかを書いた記事になります
上場企業の経営陣は何をしておけばよいかの記事です。
同意なき買収の際に対象会社が検討すべき事項を書いた記事になります。