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ISSが2024年の議決権行使ポリシー改定案を公表 - ROE5%未満+外国人株主比率の高い企業は対策を考える必要あります


議決権行使助言会社ISSの議決権行使ポリシー改定案

本日は祝日ですが、平日に休みが一日あるとやはり良いですね。気分転換になります。昨日は15時からグロース市場に上場している某投資先銘柄のオンライン説明会(オーナーであるトップが説明)に仕事の合間を見て1時間ほど参加する予定でしたが、仕事の会議が複数入ってしまい、結局参加できませんでした。投資先銘柄の社長の話を聞く機会は非常に大事なのですが、とても残念でした。

さて、以前に議決権行使助言会社のISSが基準改定に向けてグローバルリサーチ結果を公表したことを次の記事で紹介しました。

このISSですが、11月21日に2024年の議決権行使ポリシーを次のとおり公表しました。https://www.issgovernance.com/file/policy/2023/Benchmark-Policy-Changes-For-Comment-2024.pdf

日本語の方は以下ですね。https://www.issgovernance.com/file/policy/2023/Benchmark-Policy-Changes-For-Comment-2024-Japanese.pdf

コロナの影響もあり、「過去5年平均のROEが5%未満で、かつ、当該年度のROEも5%未満の企業の経営トップには反対推奨する」というROE基準が来年2月の株主総会より復活するようです。次の記述です。

ISS は会社の機関設計 (監査役設置会社、指名委員会等設置会社、監査等委員 会設置会社) により異なる助言基準を持つが、ROE ポリシーは機関設計に関わら ずすべての日本企業に適用される。 ROE ポリシーに基づき、下記に該当する場合、原則として反対を推奨する。
• 資本生産性が低く(過去 5 期平均の自己資本利益率(ROE)が 5%を下回り)か つ改善傾向にない場合、経 営トップである取締役

「改善傾向」とは「 過去 5 期の平均 ROE が 5%未満でも、直近の会計年度の ROE が 5%以上ある場合を指す」とあります。ちなみに、これは意見募集ですが、過去を見るとISSは改定案から変更をしたことはないはずですので、これで確定すると思われます。

業績低迷企業の経営トップの選任議案に影響大

これって結構大変なことです。2023年度のROEが5%を超える企業は問題ないのですが、そうでない企業で、過去もROEが低迷している企業の経営トップの取締役選任は厳しいですね。
外国人株主比率の低い企業は全く気にする必要はないですが、比率の高い企業は多くの外人株主が反対することになるということです。ISSの賛否推奨結果を採用する海外機関投資家が多いからですね。

3月期決算企業の総会で議決権を行使できる株主の基準日は3月末ですが、実質株主が判明するのは5月の初旬前後かと思います。
その時点で、外国人株主比率が高い企業で、かつ、ROEの低い企業は、5月になって株主総会の票読みをした段階で「やばい。社長選任議案が否決される可能性も出てきたぞ」ということで実務担当が真っ青になる会社も出てくるかも知れません。では、そういうリスクのある会社はこれからどうすれば良いでしょうか?これは次回説明したいと思います。