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コーポレートガバナンス改革の主な経緯 ー 余裕があればこちらの指針も目を通されると良いです

コーポレートガバナンス改革に関するその他指針

先日、コーポレートガバナンス改革の肝となる指針について「コーポレートガバナンス改革の主な経緯 - まずはこれをざっと把握しましょう」でいくつか紹介しました。まずはこれらを理解することが大事ですが、それ以外にも指針がいくつかあります。余裕があれば読んでおきましょう的な位置づけですが、ごく簡単に紹介いたします。次の5つです。

◆コーポレー ト・ガバナ ンス・システムに関する実務指針
◆指名委員会・報酬委員会及び後継者計画の活用に関する指針
◆グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針
◆事業再編実務指針
◆社外取締役の在り方に関する実務指針

今、開催されてる経産省「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会の第1回事務局資料でも以下のように整理されております。

これらの指針は結構分量も多く、内容が細かいところがあるので、全部をしっかり読むのは結構大変かと思います。私も斜め読みしかしていない(正確には、途中で飽きて斜め読みに切り替えた)指針もありますので・・。この中で2つほど紹介したいと思います。この2つは結構大事かなと思います。

コーポレー ト・ガバナンス・システムに関する実務指針

コーポレー ト・ガバナンス・システムに関する実務指針は以下になります。https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/pdf/cgs/guideline2022.pdf

2017年3月に策定、2018年、2022年に改訂されています。コーポレートガバナンス改革では「攻めのガバナンス」の実現が掲げられており、そこでは会社におけるリスクの回避・抑制や不祥事の防止といった側面を過度に強調するのではなく、むしろ企業家精神の発揮を促し、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることに主眼が置かれているわけですが、その「攻めのガバナンス」を強化するにあたり、次の各事項について取組みや運用のポイントが細かく書かれています。

■ 取締役会の在り方
■ 社外取締役の活用の在り方
■ 経営陣の指名・報酬の在り方
■ 経営陣のリーダーシップ強化の在り方

この指針は全部で95ページと分量があるのですが、ざっと目を通されてもよいと思います。長くて読む気にならないという方向けにエグゼクティブ・サマリーもありますので、最初にこちらを読んだ後に本文を読むと良いかも知れません。むしろ、サマリーを最初に読んでから全文を読んだ方が良いですね。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/pdf/cgs/summary2022.pdf

事業再編実務指針

事業再編実務指針は以下になります。2020年に制定されています。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/pdf/20200731003-1.pdf

企業は事業ポートフォリオの見直しを進め、ノンコア事業をいつまでも抱えているのではなく、切り出すなどしてベストオーナーの下で事業運営を行うことで利益率を高めよということを言っています。自社がベストオーナーでない事業を抱え続けていても、 十分な成長投資が行われず、事業としての成長戦略を描くことが難しいので、ベストオーナーに事業譲渡せよということです。そうした事業を切り出しベストオーナーに託すことは、その事業の成長、ひいては従業員利益の確保につながると言っています。

ノンコア事業であっても企業は商売をしている以上は、顧客への供給責任もあるため、一定程度のリソースをそこに割く必要があります。人を配置したり、設備投資をしたり、研究開発投資をするなど。とすると、本来、コア事業に投入できたリソースのうち一定程度をノンコア事業に割くことになり、強い事業をより強くすることに支障が生じるのです。もっとも利益率が低くても誰も文句を言わず、機関投資家も社長の選任に反対しない時代であれば問題ありませんでしたが、ROEが社長の評価となる時代、事業ポートフォリーの見直しは必須です。とはいえ、単一事業しかやっていないような会社は見直しをすべき事業がないわけですので、こういう企業は、1つしかない本業の強化に取り組むしかありませんが。

以上になります。コーポレートガバナンス改革に関する指針等の紹介はこれで最後になります、次回からは、コーポレートガバナンス・コードの5つの原則について引き続きアップデートをしていきたいと思います。