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ビジネスマンのためのさくっと分かるコーポレートガバナンス ー 社外取締役の株式報酬。社外取締役の役割は?


日立製作所が社外取に株式報酬

先日の日経新聞で次の記事がありました。

日立製作所(日立)が社外取の報酬制度に株式報酬を導入するというものです。この数年、取締役等の経営陣の報酬は固定報酬部分を減らし、業績連動部分を増やせというのが資本市場の要請です。理由はシンプルで、企業業績を経営陣の報酬に連動させることで、業績向上の意識を経営陣に強く持たせるということです。
日立は社外取の基本報酬の3割を株式で支給するということのようですが、考え方としては、業績連動報酬の割合を増やすということに近いのだと思います。

社外取の役割は?

今回、日立が株式報酬を導入したのは、資本市場からの要請が強いのだと思います。機関投資家は企業の経営陣には株価を意識した経営をして欲しいと思っておりますが、これは社外取も同様です。

社外取の役割=少数株主(つまり機関投資家)の利益の代弁者です。

機関投資家の最大の関心事項は株価ですので、その株価を上げる責任を負われるには、給料に反映させるのが一番ということです。株価が上がらないと給料が増えないとなると、「えらいこっちゃ!」となり、誰でも必死に株価を上げようと努力しますからね。特に、日立の社外取は9人の中、6人が外国に居住しているようですね。株価が上がった分だけ給料が増えるとなると外国人の社外取はこれまで以上にやる気も出るように思います。

会社の機関設計云々に関係なく社外取への期待は同じ

日立は指名委員会等設置会社です。この機関設計を選択している企業は市場全体で約90数程度で、とてもマイナーです。
この機関設計の会社の取締役会の役割はモニタリングが主とされています。つまり、業務執行の大部分の意思決定・執行は執行サイドに委ね、取締役会は執行サイドの策定した事業計画等を承認、その後は事業計画に沿った業務執行の進捗をモニタリングするということです。

となると「業務執行を行うのは執行サイドだから社外取に執行の責任、つまり株価向上の責任を負わせるのか少し違和感がある」という意見を持つ人もいるかも知れません。たしかに見方によってはそういう考えもあるのかも知れません。

けど、23年3月に東証が株価を意識した経営をすることを上場企業に求めており、ここで大事なのは、株価を意識した経営については取締役会でしっかりと議論することも求められています。執行サイドが勝手に策定するのではなく、社外取のいる取締役会で議論せいと言っているわけです。

ということを考えると、機関設計でモニタリング型だから云々のような言い訳は投資家にとってはどうでもよくで、要は社外取を含めて株価を上げるのが経営陣の役割なのです。企業はここをあらためてしっかりと認識するのが大事です。指名委員会等設置会社で、会社法マニアのような方が法務や人事に時々いたりして、勘違いをしている人も私の経験上、時々目にします。けど、機関投資家にしてみれば、「会社法の機関設計云々の能書きをたれるなら、まずは株価を上げから言え」ということですね。当然かと思います。

(ご参考)株価を意識した経営の東証の要請

少し前になりますが、株価を意識した経営について記事を書いていますので以下に再掲いたします。