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#8 靴下

昨日より法事のため1人帰省中の私。
私と母は二人になるとよく喋る。
昨晩も母が作ったメロンのクリームソーダを飲みながら、ちょっとした話をしていた。

母は洗濯の時、靴下を片方無くす天才である。床に落ちていたり、家具に引っかかっていたり、洗濯機に残っていたり、外にあったり。
ついこの間も兄の靴下を片方無くしたらしいが、兄に「またか!」と叱られたくなかった母は靴下を隠し、無くなった片方を探していたそうだ。
(ちなみに兄は近所に家族で住んでいるので、いつもは自宅で洗濯するが、その日は諸事情あり兄の服も洗濯していた。)

「どこにあったと思う!?」
そう言った母は、答えを述べる前に笑いがこらえきれずクッションに突っ伏した。それはまるで、なんでも面白かった若かりし日の少女のようであった。それを見た私も、可笑しくてソファに突っ伏した。
話のオチの前に、二人して喋れないほどに大笑い。もし端から見ている人がいたら訳がわからないと思うが、とにかく面白かったのだ。
母も私も、息が出来ないほど笑ったのは本当に久しぶりだった。その瞬間だけ私は、お互いが10も20も若返ったように感じた。

ちなみに、靴下は母の飼育するメダカが暮らしている陶器のかめの中に入っていたらしい。苔の緑のせいで底が見えないそのかめの中に、掃除するまで気が付かれずに沈んでいたそうだ。
無事に救出。再度洗濯され、片割れの元へ帰っていった。

さて、今日は父の二十三回忌。
いつの間にやら、そんなに月日が経っていたのか。
お父さん、心配無用だよ。
お母さんはまだまだ元気。私達兄弟も家族も元気です。

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