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美しくつつましやかな生き方

10時からの仕事前に
今日は少し時間が空いたのでnoteでもと
PCを開く。

今、お世話になっているネイルリストの方は
わたしのマンションから歩いて5分。
決しておしゃれとはいえない小さな
ワンルームでのネイルサロン。
家具も不揃いで、なんとなく雑多な感じでは
あるけれど、
大きな窓からはすぐとなりの公園の
緑がとてもきれい。

いつも冷たいお茶を出していただける。
それがとてもおいしい。
「これ、何のお茶ですか?」
「普通の麦茶ですよ」

麦茶と思えない、
何か不思議なおいしさを感じたのは、
わたしの気持ちがリラックスしているから
だろうか。

彼女の部屋は、彼女のこれまでの
人生の気配を感じる。

歳は、40歳。
1人暮らしで、彼氏もいないとのこと。
すらっと170cmはあろう背丈と
彫りの深い端正な顔立ちの彼女。
このあたりでは、めずらしく夜21時まで
営業しているらしい。

わたしは、いつも平日の休みの朝一の11時に
予約を入れる。
5分早めに部屋につくと、開店?前の準備中だった。
窓をあけ、ベランダに置いてあるグリーンに
水をやり、わたしに気遣って窓をしめて
クーラーを入れてくれた。

「ここ、緑は綺麗なんですけど、虫がね、、」

自然に近ければ近いほど、あまり歓迎できない
お客様も来るらしい。

淡々と準備をすすめ、いつものおいしい
麦茶を出してくれた。

エプロンの後ろをくくるひまもなく
わたしのネイルをチェック。

「今日はどんな風にしますか?」
「白のワンカラーで。」

「海外セレブみたいですね」
「本当に?」

たあいもない会話をしながら
淡々と繊細に私の指先を綺麗にしてくれた。

今日もまた、
彼女は、ここから5分の
あの小さな部屋で、夏真っ盛りの
緑と、蝉の声につつまれながら
つつましやかに
1日を生きているんだろうな。

そんなことを私が思っているなんて
気づくこともなく、
彼女は、シンプルで淡々としている。

美しく、つつましやかな女性の話。



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