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違和感を見ないフリして転職したら会社が色々アウトだった話②

前回の続き

入社当日

違和感を感じつつも、久しぶりの正社員、久しぶりの仕事、新しい環境や職種にワクワクしながら入社当日を迎えた。
集合時間の10分前くらいに行くと、既に2人、同日入社の同期が控え室のような場所で待機していた。

私が到着して数分後にもう1人来て、私含め計4人がこの日に入社だった。
時間までたわいも無い話をして過ごしていたが、同期の1人から衝撃的な発言があった。

「なんかここ、毎月半分くらいは能力不足で解雇されるらしいですよ。」

?!

よくよく話を聞いてみると、試用期間中は適宜実施されるテスト(?)のようなものに合格をしないと退職させられるという話だった。
未経験とはいえどもかなりの量の課題をクリアし、2度の面接を通過して入社した社員にそんなことをするなんて法律的に大丈夫なのか?!と一気に不安になった。
確かに事前にインターネットで調べた時に「研修がレベルが高い」「ついていくのが結構難しい」などの口コミはあったが、そのレベルで解雇されるとは思っていなかったのでこの時点で私は結構焦り始めていた。
能力不足がテスト一つで判断されるだなんて、とてつもなくリスクが高いように思えた。

初日勤務スタート

勤務開始前から不安な要素が多すぎたが、ここまで来たからにはとにかく頑張るしかない。解雇されぬよう研修やテストを突破するしか道がない。
覚悟を決めた。

初日だったこともあり、オリエンテーションや研修で使うパソコンのセットアップ、12月だったので年末調整書類の記入、などなど午前中は慌ただしく時間が過ぎていった。

一息ついたところで
「それではこれからテストをします」
と声がかかった。

初日に実力テストがあるとは聞いていたので、ある程度の対策はしてきたつもりだ。7割とれたら合格。さすがに大丈夫だろう、と思いながらテストに臨んだ。

内容は確かに驚くほど難しいというものではなかったが、決して簡単なものではなかった。対策をしっかりしていないとまるで解けなかった気がする。
制限時間は1時間だったと思う(うろおぼえ)
社内チャットで提出するように指示があり、提出を完了した。

テストから2、3時間後くらいに結果が全体チャットに送られてきた。

結果は

”不合格”

私の正解率は4割だった。
うわ〜やってしまった、こりゃ解雇か!?
と一瞬慌てたが、なんと私は同期の中でも一番正解率が高かったのだ。
同期の中には経験者もいる。
なのにも関わらず、私がなぜか一番正解率が高かった。

これはすなわちどういうことかというと
問題の難易度の設定がおかしい
ということだ。

さらに研修担当者が驚きの言葉を口にする。
「今後実施するテストで一定ライン越えれなかったら研修打ち切りますからね。」

今後もこの難易度のテストを突破し続けなければならないのか。
正直、自信はゼロになった。
これはやばいかもしれない。

初日にして私の心は折れそうになっていた。


勤務終了間近、渡された雇用契約書

初日の勤務がそろそろ終わるな、という時になって研修担当の方に呼び出された。
そこで雇用契約書を渡された。
思い返すと、入社に関する正式な書面を見たのはこれが最初だった。

正直いつ雇用契約書を渡してもらえるんだろうかと不安になっていたので一安心した。雇用契約書は最初に渡されるのではないのか?とも思ったが、恥ずかしながら労務関係には無知だったものでこんなもんか…と思った。

渡された雇用契約書に住所と名前と押印だけしてくださいとのことだったので私はざっと目を通して記名押印をした。

これが今回の件で私がやらかした唯一のミスだ。

この時にもっとちゃんと隅から隅まで読んでいれば。
後に弁護士の先生にも「これさえサインしなければね…」と言われることとなる。

初日勤務終了 衝撃の事実

あっという間に1日が終わり帰る準備をしていた時にふと、年金や保険の切り替えの手続きが無かったことに気づいた。
これまで貯金を切り崩しながら国民年金と国保の支払いをしていたので、正社員としての内定が出た時にはやっと社会保険に入れる!と一安心していたのだ。

「すみません、年金や保険の切り替えってどうしたらいいですか?」

と帰り際に研修担当の方に尋ねると

「試用期間中は保険証もらえないですよ。みんなそうでした。」

と、言われた。

どういうことだ?求人や説明会や面接でも、試用期間中は固定残業代がつかないこと以外に待遇に変動は無いと言っていたのに、社会保険に入れないなんてことあるんだろうか?
会話を聞いていた周りの社員も口々に
「そういえば私も新卒の時保険証なくて風邪ひかないように頑張ってたわ〜」「半年後にもらえた気がする」「最近やっともらえました!」
などと言い始めたのだ。

ゾッとした。
百歩、いや、千歩譲って保険証が試用期間中にもらえないのは一旦理解するとしよう。
”保険証がなくて風邪をひかないように頑張っていた”
ってのは本当に意味がわからない。
日本の制度上、何かしらの健康保険に加入する義務はあるはずだ。
つまりこの会社の人たちは最初の数ヶ月は無保険で生活しており、それに対して誰一人として疑問を抱いていないという事実に怖くなってしまった。


帰宅後

社会保険に入れないことにショックを受けながら帰宅し、渡された雇用契約書にもう一度ゆっくりと目を通した。
衝撃を受けた。

雇用期間が「1ヶ月」とされており、雇用形態が「契約社員」となっていた。

私は正社員としてこの会社からの内定を承諾したつもりだった。
慌てて確認したLINEの文面にも「正社員として採用させていただくことに決定しました」と書かれている。

求人票をみても、説明会の資料をみても、どこにも契約社員になるなんてことは記載されていない。

そして、契約社員なことを理由として社会保険の加入も無しとなっていることに気づいた。

「試用期間」は雇用形態ではないので、試用期間中の雇用形態が正社員であることに変わりはないはずなのに、なんの説明もなく契約社員、それも1ヶ月になっていることに本当に本当に怒りを隠せなくなってしまった。
1ヶ月したらテストに合格できない人たちは切るつもりなのだろう。
解雇ではなく契約満了になるから、不当解雇で訴えられるリスクも会社側は背負わなくてよくなる。
法律の抜け穴をずる賢く利用していることがよくわかった。
きっとこんなことをする会社だから、試用期間をマックスまで延長させた挙句能力不足で切られる可能性もあるだろう。

このままここにいるのは危険だと思った。

③へ続く


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