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異能の内科医 Ⅰ

私自身ファンタジー物が好きでSFやラノベにハマっている古希すぎケアマネです。
こんなお医者さん(医師免許をもっていてもお医者さんと呼べる人な少ない感じがする)が居たら良いなを形にしました。

あらすじ


現代日本、東京の忙しい病院で働く30代の内科医、森山直人(もりやま なおと)は、普通の医師とは一線を画している。
彼には不思議な能力があり、患者の病気を視覚的に捉えることができるのだ。
病気は彼にとって小さな意識を持つ存在として映るが、この能力を他人に伝えることはできない。
彼はその力を使って患者を救うことに全力を尽くしているが、病気が彼から逃れようとするため、治療は一種の鬼ごっこになる。

直人には心強い味方がいる。
ベテラン外科医の大谷圭介(おおたに けいすけ)、薬学研究の専門家である藤田恵美(ふじた えみ)、その他各専門分野のエキスパートたちが彼の能力を信じ、協力してくれている。
彼らの助けを借りて、直人は見えざる敵との戦いを続ける。


第1章:能力の目覚め


森山直人(もりやま なおと)は、東京の大規模な総合病院で働く30代の内科医だ。
彼の生活は忙しさに満ちている。
朝早くから夜遅くまで診察や治療に追われ、時には当直もこなす。
しかし、彼には他の医師とは一線を画す特別な能力があった。
それは、患者の病気を視覚的に捉えることができる力だ。
この能力は医療現場で大きな助けとなる一方、彼にとって大きな葛藤の源でもあった。

直人がこの力に気づいたのは、医師になって数年経ったある日のことだった。
普通の診察をしている最中、彼は突然、患者の体に奇妙な光の塊が見えるようになった。
最初は何かの見間違いかと思ったが、それが繰り返し現れることから、単なる錯覚ではないと悟った。

その日、直人の診察室に訪れたのは60代の男性、田中さんだった。
田中さんは最近体調がすぐれず、何度も検査を受けても原因がわからないと訴えていた。
直人は問診を進めながら、ふと田中さんの胸部に淡い青い光の塊が見えることに気づいた。
それは心臓を覆うようにしてぼんやりと輝いていた。直人は瞬時にその光が病気であることを理解したが、どう説明すればよいのか悩んだ。

「田中さん、少し心臓の検査を追加で行いましょうか」と提案する直人。
田中さんは不安そうな表情を浮かべながらも、直人の提案に同意した。
追加の検査結果から、田中さんは初期の心筋梗塞の兆候があることが判明した。
早期発見のおかげで、迅速な治療が行われ、田中さんは命を取り留めた。

直人はこの出来事をきっかけに、自分の能力が本物であることを確信した。
しかし、その力を他人に説明することは難しかった。
彼は同僚の医師たちに話してみたが、誰も信じてくれなかった。
直人は次第にこの力を隠すようになり、独自の方法で患者を救うことに専念するようになった。

ある日、直人は40代の女性患者、山田さんの診察をしていた。
山田さんは激しい腹痛を訴え、数日間食事もまともにとれない状態だった。
直人は彼女の腹部に目をやると、赤い光の塊が見えた。
それは腸の周辺で不規則に動き回っていた。直人は直感的にそれが腸閉塞であることを感じ取った。

「山田さん、すぐに詳しい検査を行いましょう」と直人は告げ、緊急でCTスキャンを手配した。
検査結果は直人の予想通り、腸閉塞を示していた。
直ちに外科手術が行われ、山田さんは一命を取り留めた。

しかし、この能力には問題もあった。
病気は直人に対して小さな意識を持つかのように振る舞うことが多くなった。
彼が病気を視認すると、それは逃げようとするのだ。
例えば、癌細胞は直人の視線から逃れようとするかのように体内を動き回り、治療を困難にした。
このことは直人にとって大きなストレスとなり、治療の精度を上げるためにますます努力を重ねる日々が続いた。

直人は自分の能力を最大限に活かすため、医学書を読み漁り、最新の治療法を学び続けた。
彼は患者を救うためにはどんな努力も惜しまなかったが、常に感じる孤独感が彼を苦しめた。
誰にも理解されない能力、そしてその能力によって見えるものたちとの果てしない戦い。
直人は自分の内なる葛藤と向き合いながら、医師としての道を歩み続けた。

ある晩、直人は病院の休憩室で一人、疲れ切った体をソファに投げ出していた。
長い一日の診察と手術が終わり、ようやく一息つくことができた。
そんな時、ベテラン外科医の大谷圭介(おおたに けいすけ)が部屋に入ってきた。
大谷は病院の中でも信頼の厚い医師であり、直人にとっては憧れの存在でもあった。

「直人先生、お疲れ様。今日も大変だったな」と大谷は微笑みながら声をかけた。
直人は苦笑いしながら、「ええ、まあ、いつものことです」と応えた。

大谷は直人の隣に座り、しばらくの間沈黙が続いた。
しかし、その静寂の中で直人は何かを感じ取った。
大谷の存在が彼にとって大きな支えとなっていることを改めて実感した。

「実は、君に話したいことがあるんだ」と大谷が口を開いた。
「君は他の医師とは少し違うように感じる。何か特別な理由があるのか?」

直人は心の中で躊躇した。
彼の秘密を誰かに打ち明けることは、これまで一度もなかった。
しかし、大谷の真剣な眼差しを見て、直人は決心した。

「大谷先生、実は…」と直人はゆっくりと話し始めた。
「私には患者の病気が見えるんです。光のような形で、体の中に。それが病気であると理解することができるんです。」

大谷は驚いた表情を浮かべたが、すぐに落ち着きを取り戻した。
「それは本当か?信じがたい話だが、君が言うなら信じよう。だが、どうやってその力を使っているんだ?」

直人は一つ一つ丁寧に説明した。
田中さんの心筋梗塞や山田さんの腸閉塞など、具体的な例を挙げて話すと、大谷は深く考え込んだ。

「君の話は信じがたいが、君の治療が結果を出しているのは事実だ。これからも君の力を信じて、共に患者を救うために努力しよう」と大谷は言った。

直人は初めて自分の能力を理解してくれる仲間ができたことに安堵し、感謝の気持ちでいっぱいになった。

「ありがとうございます、大谷先生。これからもご指導よろしくお願いします」と直人は深く頭を下げた。

大谷は微笑みながら、「これからも一緒に頑張ろう。ただ、この能力は誰にでも打ち明けられるものではない。信頼できる仲間を慎重に選ばなければならない」と警告した。

直人はその言葉の重みを感じ、頷いた。
彼の持つ特別な力は大きな可能性を秘めているが、同時にそれを利用しようとする者が現れるかもしれない。
そのため、信頼できる仲間を慎重に探し出すことが重要だと理解した。

こうして、直人と大谷は信頼できる仲間探しを始めることにした。
彼の持つ特別な力と、それを理解してくれる仲間たちとの協力によって、これから多くの患者が救われることになるだろう。
そして、直人自身もまた、この戦いを通じて成長し、真の医師としての道を歩んでいくのだった。


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