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アントニ・ガウディとサグラダ・ファミリア展

先日竹橋の「ガウディとサグラダ・ファミリア展」に行ってきました。
中学生のときに美術の授業で、「この教会はいつまでたっても完成しない」ときき、衝撃をうけたのを覚えています。現在、この教会は2026年に完成が見込まれていますが、どうなることか。

ガウディの作品ときくと、奇抜な形をした建築だとか、細かい装飾など、仕掛けがいっぱいある作品というイメージがあります。このようなスタイルのものを「モデルニスモ」と呼ぶようで。斬新さが際立つものでも、ガウディは植物などの自然や、幾何学を研究して作品を作っていたようです。展示にはガウディの描いた設計図や模型などがありましたが、ガウディのように模型をつくって建築を手がけたひとは当時あまりいなかったようです。

「人は創造せず、自然の生み出したものをかたちにしているのみ」という趣旨の発言をガウディはしていますが、斬新で奇抜でも、地上に存在して違和感を与えるようなものはつくるべきではない、と考えていたのですね。
「ガウディの作品群」は世界遺産として1984年に登録されていますが、サグラダ・ファミリアが登録されたのは2005年で、最初から世界遺産にはなっていなかったのですね。
しかも、教会全体が世界遺産というわけではなく、「生誕のファサード」と「地下礼拝堂」の二つのみが登録されています。
バルセロナにいったことのない私ですが、「生誕のファサード」の写真をみると、彫刻の細かさとボリュームに圧倒されます。ミラノのドゥオモの展望回廊も、これでもかと彫刻がびっしりとあって衝撃でしたが、たぶんこれも実物を見たら同じような感覚になると思います。

サグラダ・ファミリアは産業革命をうけて世の中に格差が広がり、貧しさに苦しむ人々の魂を救おうと建立がはじまりました。貧しい人たちが少ないお金を出し合い、スペインの内戦による破損や、募金の集まらない苦境を乗り越えて現在も建設がすすめられています。ガウディ自身も、教会の建設に携わるようになってからはサグラダ・ファミリア以外の仕事は一切断り、この教会の報酬もほぼ受けることなく、実に質素な生活を送ったそうです。ガウディだけでなく、教会の建設に携わった人達の熱意と粘り強さがよくわかります。最近ではコロナ禍のなか、新しい塔が建ちました。疫病や戦争があっても、あきらめずに建設が続けられる教会がある、と知るだけでもなんだか自分が励まされるような気がします。

参考文献 よみがえる天才6 ガウディ(鳥居徳敏 ちくまプリマー新書)
世界遺産大辞典

参考URL
サグラダファミリア | アントニ・ガウディの作品群 | 世界遺産オンラインガイド (worldheritagesite.xyz)

カサ・ミラ | アントニ・ガウディの作品群 | 世界遺産オンラインガイド (worldheritagesite.xyz)

公益社団法人日本ユネスコ協会連盟 (unesco.or.jp)

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