大学の友達がLGBTQ+だった話
同じクラスの男の子のインスタを、友達と見ていた。
「え、女の子と出掛けてる!彼女かな?」
と、何気なく言うと、
「多分違うよ、自分でゲイって言ってたもん。」
と言われた。
私は、男の子に悪いことをした気持ちになった。そして、同時に自分にがっかりした。
ついこの間、「多様性」というものを問い直す作品である、朝井リョウさんの『正欲』を読んだばかりだったからだ。
完全に分かった気でいて、そして、全くわかっていなかった。
すごく恥ずかしくなった。
数日後、私がいつも使っている香水のブランドが、LGBTQ+の理解を深めるためのライブラリを開催し、LGBTQ+に関する本を無料で配布していることを知った。
私はその男の子が、人としてすごく好きだった。
自分の無知と想像力のなさが原因で、明るくて、いつも優しい言葉を発している彼のことを傷つけたくないと思った。
だから、そのライブラリに行ってみることにした。
その空間には、LGBTQ+の店員さんとお客さんが沢山いた。
私のような人も、もちろんいたし、たまたま通りかかってライブラリに立ち寄った人もいた。
その空間に入って、私は泣きそうになった。
「こんなに温かい空間があるんだ。」
と思った。
それから2か月後、クラスの飲み会が行われた。
私はたまたまその男の子の近くの席に座った。
初めて彼とゆっくり話した。
仲良くなりたいとは思っていたが、なんとなくできていたクラス内のグループが違い、今まできちんと話したことがなかったのだ。
2時間弱が経過し、場が温まった頃、世間話をするのと同じトーンで彼が
「俺、ゲイだけどさ、」
と話し出した。
彼がゲイであることは、彼の友達何人かは知っていた様子だったし、私のように、人から聞いていた人もいた。
でも、クラスのみんながそのことを知っていたとは思えない。
あまりにもさらっとカミングアウトをする彼に、私は心底驚いた。
そして、もっと驚いたことは、
「そうなんだ。」
という周りが言い、そのまま会話が続いていったことだった。
「自分がLGBTQ+であることのカミングアウトは、意を決して行われるものだ。」
「事実を知った周囲の人は、もっと驚くものだ。」
そんなことを無意識に考えていた自分に気づかされた。
会話は続く。
「元カレとの思い出は、大事にとっときたいよね。
「それ、すごい分かる。」
彼を含めた3人で、恋バナをしている。
私は、また、自分の無知さを思い知らされた。
「こんなに温かい空間があるんだ。」
ライブラリに行った時の感想。
これは、私の凝り固まった思考が生み出したものだった。
LGBTQ+や、他の様々な性的指向を持つ人は、みんな生きづらく、孤独な思いをしているのだという偏見が混ざった感想。
このような思いをしている人も多いのかもしれないが、
(分かった気になるのはやめようと思い、このような言い方をした。)
彼と友達2人が、お互いの性的指向を明かしあったうえで恋バナをしているような事実もある。
このことを知り、異性愛者以外の人を「みんな」でくくるべきではないと感じた。
勿論、本当は彼が勇気を出してカミングアウトをし、会話をしている可能性もあるが、私には、彼が会話を楽しんでいるように見えた。
家族が考えていることが分からないことだって沢山あるのに、人のことを分かった気になるのはやめよう。
分かった気にならない。
このことを心に刻み、彼ともっと仲良くなっていきたい。
仲良くなりたいと思われる人間になりたい。
そして、その過程で、私の無知のせいで彼を傷つけないようにしたい。
これが、私が今思っていること。
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