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【ジャーナリズム】HSPブームがもたらしたもの。「HSPブームの功罪を問う/飯村周平」を読んで。

HSP(Highly Sensitive Person)という言葉を知ったのは、2014年頃だったと記憶している。今から10年近くも前の話である。

その頃はこの言葉に対する認知度は今ほど高くはなく、関連本はもちろんのこと、この本でも取り上げられているような、SNSでHSPを自称する人も皆無に等しかった。

それから月日は流れた現代。検索エンジンしかりSNSしかり、「HSP」という言葉を入力してみれば、関連書籍、解説ブログ、診断サイト、HSPを自称するアカウント、コミュニティ...コンテンツが出ること、出ること。

さらには、HSPの診断や治療を謳うクリニックさえ現れるほど。挙げ句の果てには高額のセミナーに誘導される事案もあるそうな。

マイノリティの人のための心の拠り所が、悪意ある大人たちに利用されることによって、それ本来が持っていた心の拠り所としての機能を骨抜きにされてしまうという現象が最近増えているんじゃないか?そんな危機感をここ数年ずっと感じている。

それはやはり、HSPという言葉が流行り出した頃から感じてきたことだった。

生きづらさって言葉も、今ではすっかり市民権を得たように感じる。

生きづらさを持たない人なんていないのが、当然なんだろうけど。

HSPという言葉とどう向き合うか?自身が持つ生きづらさとどう向き合うか?その最適な距離感を考えるきっかけになる本だと思う。

HSPという気質を持つ人はもちろんだけど、持たない人、また、自身は持たないけど身近に気質を持つ人がいる人にも読んでほしい。

ちなみに本に掲載されているHSP尺度の私の結果は5.9。割と高い方だった。

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