卒業見込み出るかの賭け

これは本当の話である。
大学4年になる時、大学では単位の取得数で卒業見込みが出る。
卒業見込みが無いと、就活では不利である。採用しても、卒業出来るか分からないからである。

サークルの友人にTクナイと言う男がいた。
彼は大学には来ていたが、講義には出ずに仲間とトランプしてたり、ただ駄弁っていたりしたから、単位は全然取れていなかった。
3年生になった時点で50単位程度だった。これは1年生でもクリア出来る単位数である。
それなのに彼は自分から賭けを言い出した。
卒業見込みですかどうか、1口1000円で賭けようと言うのだ。
誰が考えても取れるとは思えない。
みんな当然、取れない方に賭けた。遊びだから、みんな1口とか2口程度の賭けだった。勝てば、学食のランチに喫茶のコーヒーとかくらいの感じである。

だが、俺は違ったw
何口でも良いのか確認したら、良いと言う。
だから俺は17口賭けた。17は山田久志先生の背番号である。勝てば1万7千円になる。

結果は、当然卒業見込みは出なかった。
俺たちは勝った。
遊びだから、誰も請求はしなかった。そのままなら有耶無耶になったかもしれない。所詮仲間内の遊びなんだから。

だが、後輩のフレは追い込みかけたw
顔を合わせるたびに、Tクナイさんお金まだですか?と騒いでいたのだ。
ある日、Tクナイが彼女のムームーといる時に請求した。あまりのしつこさに怒ったムームーは、「フレ!この野郎!」と怒鳴りつけたのであった。

結局、Tクナイは1円も出さなかった。ムームーが、発掘調査のアルバイトをして、金を全額払った。勿論フレには顔に叩きつけた。3000円だったけど。
俺は1万7000円の泡銭を手にした。
これはすぐに使おうと思い、すきだった富田靖子ちゃん初主演映画のアイコ十六歳のビデオを買った。当時のビデオは、セル用は無く、レンタル用の物で、1万5000円とかはしていたのだ。

ちなみにTクナイは卒業できなかった。
確か7年いたんじゃなかったかな?

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