自分との結婚指輪を買った話
私は「すごい人」になりたかった。
目の前のことを、誰よりも一生懸命にやれば、いつか「すごい人」になれると思っていた。
でも、なれなかった。
私は「すごい人」になれない自分を嫌いになった。
心の中で、
自分の努力不足を責めた。
自分の性格を責めた。
自分の身体を責めた。
自分の家族を責めた。
自分のいる環境を責めた。
そして、死にたくなった。
私は、雪の降る夜、死ぬ場所を探して徘徊した。
この天気なら、誰にも見つからずに済むと思った。
でも、できなかった。
ロープも持ったし、場所も見つけたけど、自分を殺すことが、恐ろしくて、悲しくて、死ねなかった。
あのとき死ねなかった私は、なんとか今まで生きています。
元々、私は、限りある自分の人生を、実りあるものにしたいだけでした。
その思いが、いつしか「『すごい人』にならなければ」と形を変えて、自分を責めたて、追い詰めました。
あれから数年経ち、少しずつ心身ともに健康を取り戻しつつあります。
フルタイムで仕事ができるようになり、趣味も楽しめるようになりました。
健やかなる時も 病める時も
喜びの時も 悲しみの時も
富める時も 貧しい時も
これを愛し 敬い 慰め合い 共に助け合い
その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか？
私は、この誓いを自分に立てます。
これからも、きっと、人生から逃げ出したくなるようなことあるでしょう。
でも、自分で自分を追い詰めていたら、何かあったとき、簡単に自分を殺してしまう。
せめて自分は自分の味方でいる。
自分と向き合い、自分を幸せにする努力をする。
この思いを込めて、この度、自分との結婚指輪を買いました。
ビズーさんの「マルチカラージュエル ピンキーリング・スノールナコフレ」です。
私はこの誓いを、寿命が尽きるまで守っていくつもりです。
指輪は、予算を気にせず、自分が心から気に入ったものを選びました。
私の小さく短い手では、大きなものより、小さなものが自然で、ピンキーリングです。
どうか私ができるだけ長く、この誓いを守れますように。
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