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何から始めるか。

授業を始めて4週間目。
多いクラスでこれまで4回授業を行なってきた。
クラスによって違いが出てきた。

基本的には全クラス同じ内容の授業を実施しているが、授業のテンションはクラスによって全然違う。

これは日本で授業をしていても同じようなことが言えると思うけど、こんなにも差が出るものか、と思うくらい生徒たちのテンションに違いがあるように思う。
ただ、実際の彼らの感情はわからない。言葉が理解できないから。表情や声の大きさ、リアクションの大きさで判断するしかない。

あるクラスでは

あるクラスでは、3分の1くらいの生徒が授業に参加せずに端に集まって座っている。ほとんどの生徒がスマホを見ている。ゲームなのか何なのか。

「体調が良くない。」
授業を始めようとした時1人の生徒が言いに来た。
「わかった。授業を見ていて。」
と伝える私。
「あの子とあの子もしんどいみたい。」
「わかったよ。」
授業開始時には数人が見学を申し出る。

体操を始める。何人かいなくなる。
柔軟をするために地面に座る。何人かいなくなる。
2人組でジャンプをする。何人かいなくなる。
今日はみんなで楽しく走ろう。何人かいなくなる。

気付けば3分の1の生徒は授業から抜けた。

私の目の前にはもっとやりたい、動きたい生徒たち。
その奥にはスマホを触る生徒たち。
気になって仕方ない。
授業に参加している生徒も参加していない生徒たちのことをたまに気にして見ている。そりゃ気になるよね。

授業中の生徒が活動をしている間にたまに参加していない生徒のところへ行き、一緒にやろうよ。と声をかけるも、頭が痛い、お腹が痛い、風邪をひいている。との返事しか返ってこない。でもニヤニヤしている。

この日は授業の最後には全員を整列させて、挨拶をして終えた。


また違うクラスでは

このクラスは学年の違う2クラスが合同。
これまた同じように何人も座り込んでしまう。
動けば動くほど生徒が目の前からいなくなる。
ただ、動けば動くほどと言っても、体操、柔軟など。

気付けば、隣でサッカーを始める集団も出てきた。
このクラスの授業は夕方なので、近くの学校は授業を終えて帰っている生徒もいる。学校前のロータリーで授業をしているが、ここは誰でも使える広い広場。もちろん放課後になった他校の生徒たちもやって来る。誰が今授業中の生徒なのかも分からない。あそこでサッカーをしている彼らは、今私と授業をすべき子達だよな。
そんな彼らのサッカーボールが、授業を受けている生徒の近くに飛んできた。直撃しそうで危なかった。
それでも私はきちんと注意することができなかった。悔しすぎる。

このクラスの授業後、参加していた生徒に、授業に参加しない生徒たちはどうしてやらないのかな?と聞いてみると、運動が好きじゃないからじゃないか。また、サッカーをしている彼らはボールを使うなら参加するんじゃないか?と答えてくれた。


今思うこと

そもそもどうして授業に参加しないのか、彼らの本当の気持ちが分からない。語彙力がないことも原因の一つだし、以前の授業がどんなものだったのかを知らないことも理解に苦しむ原因の一つかも知れない。
運動することに対してどんな感情を抱いているのか。少しずつ理解していきたい。

初回の授業では何人もの生徒が授業に参加していない、なんてなかった。
初回は配属先の同僚が来てくれ、近くで見ていたからなのか。外国人のやる授業とはどんな感じなのか少し興味があったからなのか。
2回目以降、授業に参加しなくなったのは、その興味よりも動きたくないという感情が上回ったからなのか。

授業の内容がよく理解できないのか。この原因は圧倒的に私の語彙力不足。
言葉を補うために、紙に書いて示してり、ジェスチャーを加えて説明しようとするも、生徒たちの理解力も皆同じではない。理解できない子もたくさんいるだろう。分からないからできない、できないから面白くない。最悪のループ。

クラスの雰囲気も関係しているように思う。他のもののせいにしているように感じるけれど、授業の雰囲気や生徒たちの雰囲気はクラスによって全然違う。リーダーがいて仕切るクラス。元気者がいて盛り上げるクラス。天然の子がいてみんなが笑うクラス。クラスにリーダーがおらずみんながそれぞれの様子を伺っているクラス。国は違ってもクラスや集団の雰囲気は似ているんだなと思う。
もちろん、リーダーがいて元気者がいるクラスの授業は盛り上がる。
彼らに担任の先生がいるのかどうか、クラスの仲を深めるようなことが行われているのかどうかは分からないが1つのクラスを成長させていくためには周りの大人の手助けも必要だなと改めて感じた。
その周りの大人の1人に私も入っている。

これから

これからできることは、今年度の残り数回の授業の中で、体育の授業でみんなと体を動かすことが楽しいと1人の生徒でもいいから感じてもらうこと。
そのためには、語学力の向上は必須。ただ、今すぐにどうにかなることでもないので、授業のための言葉を少しでも考えること。
また、楽しいと思える授業のメニューを提供すること。授業に参加している生徒たちが楽しそうにやっていたら、見学している生徒たちもそれを羨ましく感じることもあるかもしれない。

授業に参加しない生徒たちのほとんどが体操服に着替えて、大体時間通りにやって来る。そこに彼らのやる気が表現されているのかも知れない。そこを無くさないようにしなければ。


課題は山積み。でもみんな一緒。

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