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台風一過の列車旅

日曜の朝、常磐線は土浦駅を発車した。先程まで前にいた5両編成に見送られての10両編成に乗って北を目指す。乗っている気分は久しぶりに友人を訪ねに行くかのようだった。

常磐線E531系

K425編成、2017年の上野東京ライン直通列車増発に合わせて製造された基本編成の中では最も新しいグループである。電車そのものは通勤時に度々乗るような車両で、この編成も記憶にあるだけでも何度か乗っている。それでも平日の満員電車としてと休日の青春18きっぷを携えての乗車とではやはり気分が大きく変わるというもの。
電車は更に走り友部駅を発車、そろそろ終点の水戸が見えてくる。大回り乗車で利用出来ないエリアになると「遠出」というような気分になってくるのは何故だろうか。

水郡線キハE130系(乗車した列車とは異なる)

水戸からは今回のお目当てとも言える水郡線、この路線に乗るのはおおよそ10年ぶりとなる。地理的には身近なローカル線ではあるがなかなか距離が長くここまで間隔が空いてしまった。前回は大学の夏休みで反対の郡山から乗り、その時も青春18きっぷだった。支線は別の機会に往復とも乗っており、これで水郡線は往復完乗となる。

乗車した列車は4両編成という豪勢な見た目だが、その実後ろ3両を途中の常陸大子で切り離すので郡山まで行くのは単行ということになってしまう。といっても既にそこそこ人がいる車内、所要時間の過半を立つことになるにしても今ゆっくり座れるほうが良いと後ろの車両に乗り込む。

水郡線329D 2024/Aug/18
↑郡山
キハE130-3
キハE130-2*
キハE132-2*
キハE131-2*
*:常陸大子で切り離し

常陸大宮までは水戸の近郊路線で平坦な路線に田畑と住宅街が目立つ。そこからはいよいよ車窓の起伏が大きくなり路線愛称の「奥久慈清流ライン」の名に違わず久慈川の付近を走っていく、春秋の観光シーズンを中心に各種の臨時列車が設定されるのも納得の路線だが県境区間を中心に平時の利用が少ないのが悩みというのもまた現実だ。

常陸大子駅にて

常陸大子で単行になり、全線利用の乗客が1両に集結する。この直前の袋田駅等で降りた人もいるので超満員というほどでもないが座席はやはり埋まっており、立ち客もそれなりにいるというか予想通り自分もここから郡山まで立つことに。いやあいい運動になった()
キハ40時代なら全員座れたのだろうかなどと思いつつ久慈川の流れを眺めて郡山に向けて走る。山間部なだけに急に速度が下がりカーブも増える、トンネルが少ないのはいっそ不思議なくらい。途中の磐城棚倉でここからかの有名な元祖ローカル線転用BRT(?)の白棚線が出ているのかと感慨にふけっていると郡山もだいぶ近付いてきた。終点も近付いてきた泉郷駅は福島空港の地理的な最寄駅ではあるが駅から空港までの公共交通機関は無く、水郡線も航空便も本数が少ないため空港アクセスと言えるようなものではない。同空港への公共交通機関は郡山駅からのリムジンバスのみとなっている。

貨物列車の拠点
ここまで走ってきた気動車

終点の郡山駅、ガソリンを積んだタンク車がずらりと並んでいる。水戸を出た頃は曇っていた空も福島県に入った頃から如何にも夏らしい青空になっていた。
ちょうど各方面からの列車が集結する時間になっており、水郡線の他には上下の東北本線と磐越西線がほぼ同時に到着したようだ。ここからは新白河行きの電車に乗って関東に戻るのだが、列車はE721系で新白河方からP-20編成とP-8編成。

新白河行きの電車

新白河までは1時間に満たない短い旅路で一休みしていたらあっという間といったところ。新幹線の停車駅ごとに普通列車を乗り換えるといった様相を呈している、ということで乗換の新白河駅にて20分そこそこの接続に。現代に至っても「白河の関」は生きているということか。

これが令和の
白河の関か?

何かちょっとコンビニで…と思っていたがすぐ横にラーメン屋、時間も間に合いそうだしと急遽白河ラーメンの昼食と相成った。周囲でもどうやら自分と同じ列車に乗る人もいたようで慌ただしい空気がなんとなく感じられた。

独特なドア周り
E531系3000番台

ここからは見慣れたE531系で黒磯に向かう、那須塩原駅の手前(新白河側から見て)なのでこの列車も新幹線の停車駅ごとに折返すと言って大間違いではあるまい。
東北本線を走るE531系は他の車両と同じく勝田車両センターに所属、耐寒・耐雪装備を備えている7編成のみが3000番台として東北本線の運用に就いている(常磐線・水戸線で使われることもある)。常磐線、特に上野東京ライン運用に入ることは流石に少ないので慣れた車両のはずなのに少し別のような気分にもなる。
ちなみにこのE531系は常磐線から水戸線経由で入ってきているため配線の都合上通常と逆向きになっている。もし東北本線をそのまま上って上野駅に着いたら常磐線から走ってきた同僚と逆向きになってしまうのである。もっともこのため盛岡方にロングシート車両が入るのでここでの乗換にはかえって好都合かもしれない。

盛岡方先頭のクハE530-5001
続きモハE530-4001
中間のモハE531-3001
弱冷房車のサハE531-3001
東京方先頭のクハE531-4001

ワンマン運転の電車で栃木県入りしてしばらく走ると黒磯駅に到着、駅構内を直流化したのでどのホームに入っても構造上は問題ないはずだが今のところは交流専用の電車と同じホームに入ってきている。列車の先頭部から階段を上がり3両編成の宇都宮行きに乗り込む、せっかくなら座席数の多いE531系でそのまま宇都宮まで直通してくれれば楽なのだが…

E131系

宇都宮線の快速に乗って久喜まで走るともう東武線、ホーム感覚だ。半蔵門線に入っていく東急電車は元6ドア車の号車のみハイバックの仕様で、その号車に吸い込まれていく。乗換の春日部駅は連続立体交差事業真っ只中で、先日切り替えられた伊勢崎線上りホームは早くも解体が進んでいた。

馴染みの半蔵門線直通

今回のお出かけで正規運賃だと7,590円とのこと、前回の利用と合わせると早くもきっぷ全体の元を取ってしまった。残り3回分、実はどう使うかは既に決まっているのだがここまではむしろ前哨戦。いよいよアツい夏を楽しむ日が近付いてきた。

福島といえばの酪王カフェオレ

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