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桜に誘われ北陸路

土曜朝、大宮駅

旅立ちはいつだって心が弾むもの、初めての場所と来れば尚更だ。もっとも今回は場所自体は全く初とは言えるものではないけれど、今から乗る列車は初めて乗るものだ。
かがやき号 敦賀行き

先月に延伸開業した北陸新幹線、乗り継ぎや更なる延伸に向けた懸念など確かに順風満帆とは言えないものではあるが北陸三県都が新幹線によって強力に繋がれたことは間違いない。その窓からは何が見えるのだろう、その走りは何をもたらすのだろう。

敦賀行きの掲示も慣れてきた
滑り込むかがやき号

満席近いかがやき号は順調に関東平野を北上し、そのまま一気に碓氷峠を駆け上がる。特急白山、いや更に前の白鳥号が上野駅に出入りしていた頃から碓氷峠経由のルートは関東と北陸を結ぶメインルートであり続けた。物心ついた頃には碓氷峠の在来線は過去のものとなり、上越新幹線からの長岡(→越後湯沢・ほくほく線)周りの印象が強い世代だが「あの」碓氷峠を超えて北に向かい、そして日本海と共に進む北陸への優等列車となると一種の憧憬を感じる。

妙高・戸隠を望み

上越妙高駅が近付いてくると車窓左側には見事な雪化粧を施した山々が見えてくる。あれはきっと妙高戸隠連山国立公園あたりの山々だろう。どうにもすっきりしない空ばかり見ていた網膜に強烈な衝撃となって叩きつけられた、そうだった、この殴りつけられるようなインパクトこそが旅だ。富山、金沢と段々乗客の数も減ってきていよいよ今回開業した区間に。ここまではのんびり本のページなんぞを手繰りつつ車販からアイスを求める程度には呑気だったが、最早そうはいかない。初めて相まみえる相手との真剣勝負、気分は道着の帯を締め直して立ち向かうような思いで金沢駅での「ドアが閉まります」を聴く。

新たな「終着点」
そのノーズの向かうところは

これまでの特急サンダーバードとは全く異なる加速感そして速度、新幹線とはこういうものだということをたっぷりと感じて敦賀駅に降り立つ。福井駅での安全確認でいささか遅れたものの、しかしその速さと乗り心地はやはり印象深い。次の目的地に向かうまでしばらく時間があるのでそれまでこの要塞めいた駅を散策する。

新幹線ホーム
案内看板
改札への通路

駅は新幹線⇆サンダーバード・しらさぎの乗り換えをある程度余裕を持って行えるようにゆったりと造られている。とはいえ今回のように列車に遅れが生じると対面接続よりは時間がかかってしまうだろう。後述するが月曜朝に乗り換えた時はおそらく慣れた人が多く、また迷ったりせずスムーズに行けるような状況で8分接続のところ4分で乗継先のサンダーバードの乗車口に到着した。ゴールデンウィークなど慣れていない人が多いとどうなるか、そこは要注意だろう。そこの混乱を防ぐための全車指定席ではあろうが…

名古屋に向かう「しらさぎ」号
大阪への「サンダーバード」

シンプルな特急ホームは乗り換えのための空間で、殺風景とも言えるような位。そこにひっきりなしに特急列車が出入りしているのは初めて見る目にはだいぶ新鮮な光景となる。とはいえ願わくばこれに慣れる前に新幹線が伸びて欲しいという気持ちも否定しがたいものがあるが…

新疋田方面への信号
サンダーバード並び

ここから特急に乗って南に向かうのも手だが、まずはもう一つ新しいものに。ここから北の在来線運行を担うことになった「ハピラインふくい」だ。新装なった521系は春の麗らかな景色によく似合うものだが車両自体はこの間までと特に変わらない。正直JRカラーのままマークだけ消したものが来るとばかり思っていた、あとロゴだけハピライン仕様のものが出てきたら面白いのに。

ピンクの521系

特急が無くなった路線を軽やかに走る、旧北陸本線は今や敦賀から富山県最北端の駅である越中宮崎までICカードが使えるようになり、利用が多い箇所では増発された区間も多い。地域ニーズをきめ細かく汲み上げる体制に移行したことがよく感じられる。そんな中でもう1本、ピンクのカラーを纏った電車がやってきた。つまりこの日のハピラインには少なくとも筆者の視界に入った側がピンクになった521系が、少なくとも2編成居た。

スカートの"HF"は"H"apiline-"F"ukui?

電車は沿線の主要都市である武生駅に着く、新幹線は近くの越前たけふ駅を通るようになったためここは通ることがなくなり、地域としてはこれからが正念場となるだろう。とはいえ失うばかりではなく県都福井に向かう普通列車は毎時2本に増発となり、電化幹線ならではの速達性がより活かされるようになった。

真新しいピンクの駅名板
増えた本数と消えゆく青帯

ここからは福井鉄道に乗ってみる、えちぜん鉄道に直通する便で車両は黄色い車体が印象深い"ki-bo"だ。この運行系統、田原町から鷲塚針原までのえちぜん鉄道区間を高速で駆け抜ける姿が印象的なのだが今日のところは田原町までの乗車となる。

LRV "ki-bo"

前回乗ったときとは異なり全ての電停にこまめに停まるようになっている、運転士確保も昨今では中々大変なようで、それが現在の運行形態にも繋がっているのだとか。答えが出せたら教科書級の成果なのだが、それが実現する日を願いたい。

交通系ICカード準備中
田原町にて、並び
吹き出しのような案内看板

福井鉄道、そしてえちぜん鉄道とも交通系ICカード準備中となっている。新幹線延伸に合わせて一気呵成にと行かなかったのが惜しい点ではあるが、利用しやすい公共交通機関を目指した取り組みとしては偉大な挑戦であることは間違いない。自治体が音頭を取って自分達の交通を自分達で創り上げる…そんな未来は確かに今築かれつつある。

福井駅の新幹線駅名板
滑り込むはくたか号

福井駅に戻って今度は新幹線、北陸新幹線は今回の延伸をもって北陸三県都を結んだわけだがその中間点にある金沢の隣には小松駅がある。その小松駅からはバスが出ており小松空港までアクセスが出来るわけで、西九州新幹線新大村駅からの長崎空港に次いで空港アクセスに新幹線という選択肢がここでも誕生した。その実力やいかに…と同行者を引きずって向かうことにしたわけである。

桜が美しい小松駅
展示されている重機、勿論コマツ製品
小松駅在来線口

ここからは自動運転バスを利用して空港に向かう、といっても乗客対応や操作介入のために運転手を必要とするタイプで実質的に手動運転というような時もあるようだ。しかし車の周囲に取り付けられたセンサー類がこの車の能力を物語る。

小松駅の乗り場にて
乗降用ドア付近のセンサー
後部センサー
前部屋根上のセンサー
後部屋根上のセンサー

印象深いのはとにかく静かさ。これはさすが電気バスとしか言いようがなくエンジンの音と振動から解放されるとこうなるというのはただ驚き。筆者はいわゆるEVバスを尾瀬で乗ったことがあるが、通常の街中で乗るのはこれが初めてだ。ただ現状は速度制限が通常のバスより厳しく、ここは今後に期待といったところか。

ANA De Havilland Canada Dash8-400 JA856A
福岡に向けて出発

まずやってきたはANA Wingsのダッシュ8、しかしこのレジ番何やら覚えがあるような…と思っていたら1月に五島福江から福岡まで乗った機体ではないか。2ヶ月そこそこでの再会となった。

ANA ボーイング737-881 JA81AN
Cargolux ボーイング747-87RF LX-VCE

ANAのボーイング737やカーゴルクスのボーイング747を眺める、特にカーゴルクスはルクセンブルクやシカゴまで向かう国際的な広域物流を担う重要な存在で、その迫力はかなりのもの。高速道路で日本国内の三大都市圏いずれともアクセスが良好で、なおかつ元々高需要路線だった羽田便に時折使用されていたボーイング747SRのために充実した設備だったことが功を奏した。

JTA ボーイング737-846 JA348J

続いては日本トランスオーシャン航空のボーイング737…なのだがこれはJALから転籍してきたJA348J、しかもこの便は1日1便ある那覇便ではなくJAL便として運航されている羽田発着の便である。現在JTAではJALのうち羽田発着の小松便および岡山便の一部の運航を担っている。JALグループ全体での機材繰り最適化という狙いを持ったものだが、突如沖縄気分の飛行機になる旅というのもなんとも面白そうなもの。

空港からのバス、小松駅にて
521系元JR車
IRカラーの521系

そろそろ日も暮れてきたので宿泊地に向かおう、バスで小松駅に向かうのだがクレジットカードのタッチ決済が利用できる。まだ交通系ICカードが使えないのこそ玉に瑕だがキャッシュレス決済が充実してきているのはなんともありがたい。
そしてここからはJR西日本北陸本線改めIRいしかわ鉄道IRいしかわ鉄道線となる、車両はIR所属の521系だがIRカラーの車両とJRマークが消されたのみのJRカラーの車両の混成だ。JR、ハピライン、IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道と4つの事業者にまたがり滋賀県から新潟県まで手広く走っているこの電車は確かに名前こそ同じ521系だ。しかし元々投入時期による形態差が大きい上にハピライン、IR(旧北陸本線・七尾線)、あいの風、そしてJR(北陸本線・七尾線)と所属も多様、おまけにハピラインとIRの一部は三セク転換直後で塗色もJR時代のものが残っている…と実に面白い様相。
今後ハピラインやIR車はそれぞれのオリジナルカラーになっていくであろうが、あいの風では自社発注車の増備に加えて3連への増結もありますます興味深い車両となってきた。

連結部を撮影
今度は反対側から
IR車の番号が書かれたスカート

そんな521系に揺られて金沢に向かう、聞こえてくるワンマン放送は広島の227系を思わせるものだがこれはJR西日本の標準とのこと。しばらく乗り続けていると耳から離れなくなるのはご愛嬌、とはいえ今回は新幹線でなら一駅分の距離ではそこまでの回数にはならないか。金沢駅に着いたら1月以来の店に入り海鮮丼をいただく、やはり分厚い魚はたまらない。

海鮮丼…プラスα
今回もあら汁を

二泊三日の行程は連泊とした、ルートイン金沢駅前。宿泊先を決めた時点では詳細なルートを決めていなかったこともあり必要であれば新幹線で移動出来るからとその便を最優先したチョイスだ。大浴場があるのもありがたいポイント。

春のうららの越中に

駅前の鼓門

爽やかな朝、この日は富山に向かう。まずは普通列車で高岡に向かうがいくらか時間があったのでしばらく車両観察に興じる。先述の521系のバリエーションも楽しめる。

JR所属の七尾線521系
IR所属の七尾線521系

まずは七尾線521系、227系のようなサイドビューになった車体がそれまでの北陸本線向けとは大きく異なる。合計18編成で製造時期が近いためこれといった形態差はないが、IR所属の車両が出てきたのが注目点か。

223系ライクなIR車
JRカラーの車両

そしてIR所属の北陸本線向け車両、JRカラーは今後どんどん数を減らしていくことになるだろう。そう考えると見慣れていたような色もじきに貴重な記録になるのかもしれない。なにしろ今後JRに残るこの色の521系は敦賀以南の1次車のみになりそうな状況、吊り目の3次車では今だけの姿になる可能性が高い。そんなことを考えながらシャッターを切っていると富山行きが来る時間、こちらはあいの風車両だった。

万葉線電車

高岡からは万葉線で越ノ潟に向かう、やってきた電車は街中に向かう人で満員だったが折り返してのこちらはだいぶ気楽なもの。地元出身の落語家のアナウンスも軽妙に走っていけば微睡む間に終点に着いていた。

越ノ潟駅
渡船発着場

越ノ潟駅からは対岸の堀岡に向かう県営渡船があり、万葉線と乗り換えの便を図ったスケジュールで運行されている。小さな船の上のデッキには自分たちと親子連れといったところか、どうやら下には自転車で乗り込んでいる人なども居るようだ。

発着場をあとに
壮大な新湊大橋

ここでは港の入口にそびえる新湊大橋の存在感が大きい、港に出入りする船を妨げないように十分な高さを確保した結果の巨体が実に印象的だ。ちなみにこの橋は基本的に自動車用だが、メインの柱の少し外側にあるエレベーターを使用することで歩いて渡ることも可能になっている…後で行ってみるか。

渡船と対岸のガントリークレーン

新湊大橋の歩行者用エレベーターは堀岡、越ノ潟双方とも渡船発着場から徒歩数分といったところにあるのでちょっとした散歩気分で渡り比べができる。同じ場所を異なる視点から見比べる興味深い光景なので、ここを訪れる機会があるなら是非ともおすすめしたい。

新湊大橋から見る富山新港
帰りはデ7070形
伝統的な「路面電車」の車内
終点の高岡駅にて

帰りは最新のLRVではなく懐かしい吊り掛け駆動の路面電車で高岡駅に戻る。越ノ潟を出たときには自分たちとせいぜい数人程度だったがそこは日曜日の昼前、段々と車内の乗客は増えていき最終的には満員とはいかずとも座席がほぼ埋まる程度に人が乗っていた。ここからはあいの風とやま鉄道で富山駅に向かう、高岡始発の泊行き2両編成は座席が既に埋まって立ち客も出た状態で高岡駅を発車し富山駅に着く頃には満員御礼。乗車時間が短いから不愉快というほどではないにしても、もう少し余裕があると嬉しい塩梅だった。

特急ひだ号

富山駅ではちょうど名古屋行きの特急ひだ号が到着したタイミング、外国人観光客の多さに同行者も面食らっているのだが飛騨高山は欧米を中心とした訪日観光客の聖地とも言える場所。東京と大阪の間に位置して名古屋や北陸からのアクセスも良好となると様々なルートに組み込むことが出来る、それでいて風雅な景観とエキゾチックな体験となればなるほど人気も頷けるというもの。

立山連峰に春の花
環水公園にて

富岩水上ラインに乗ってみようかなと思ったものの、この春の陽気で人出も多く満席とのことであえなく断念。ならばと桜に立山連峰と今しか見られない景色を狙って散策に出る。
すると早速見えてくる、環水公園での桜とチューリップや立山連峰との桜、これが富山の春というものか。山はいくらか霞んでいるが花景色にはよく似合う。それからもあまりこの場所という目的地を決めずに進んで一旦駅に戻り、路面電車をしばらく乗り回す。

8000形電車
T100形"SANTRAM"

チャイを飲んで一休みした後に同行者提案で日本有数の長い駅名とされる「トヨタモビリティ富山 Gスクエア五福前(五福末広町)停留場」に向かうべく電車に乗り込む。ちなみに筆者は何故か岩瀬浜方面と勘違いしていたが、富山大学方面である。

神通川の橋を降りて
な…長い

神通川に架かる長い橋を渡るとお目当ての電停に着く。高岡から到着する時にその景色の見事さに驚き是非とも神通川の土手を歩いてみたかったのでそういう点でも実に都合がいい。富山駅を目指しここから歩いてみよう。

路面電車を見送り

遠くに聳える立山連峰が実にお見事、架線柱がセンターポールなのも好印象で電車を遮るものが少なくよりすっきりした絵面が得られる。これだけでも行き交う路面電車をずっと眺めていたいくらいだが歩いて行こう。

桜の枝の下で
上流側に振返り

日もそろそろ傾いてくるような時間だがジョギングなどで行き交う人もそれなりにいる状況、そして路面電車が渡る橋が遠ざかっていくとともに今度はJR線の橋梁が近付いてくる。そうなると新幹線が来るのが俄然楽しみになってくるが…

西へ向かう新幹線

駅を出て間もないはずなのに驚くほど速い、この鉄橋を渡り終える頃にはゆうに160km/hを超えていたのではないだろうか。12両編成で約300m、筆者にとっては常磐線15両編成と言われる方が身近なのだが…それにしてもそんな長さの列車が走り抜ける様子はやはり圧巻でもあり魅力的。

看板を見ながら

一旦富山駅に戻って今度は岩瀬浜に、この路線は40年にも満たぬ間に国鉄→JR富山港線から富山ライトレール、そして現在の富山地方鉄道と所属が何度か変わっているが戦前を含めると更に歴史の深い路線である。最新の歴史はライトレールとして地域公共交通の新たな未来を切り拓き、それは宇都宮そして更なる新天地へ向かっていく。

富山地方鉄道9000形"CENTRAM"
夕暮れの車内にて

時間も時間なので今から中心に向かう人はあまり多くはなくゆったりと移動する、しかしこの日は市街地で大規模なイベントがありダイヤが乱れていたということもあってかだんだんと乗客は増えていくもので大型のLRVならばこその輸送力を発揮する。富山駅に着く頃には日もとっぷり暮れていた、金沢に戻る前に夕食としよう。

違いも楽しいもの

2日連続で海鮮丼を頂いてしまった、今度は富山湾の幸を楽しむものでサイドには富山ならではのホタルイカと白エビを。載っている具の細かな違いを感じつつ舌鼓を打っての夕餉となった。食後は明日に備え早めにホテルに戻る、いやしかしこの距離に30分を要さない新幹線の威力…

北陸三県都が1時間以内

新しい体験から

月曜朝のつるぎ号

世間は月曜の朝、小学生やビジネスパーソンと共に金沢駅に入る。これから新幹線とサンダーバードを乗り継ぎ、先日延伸成った箕面萱野駅が今日の狙いだ。まずは空いているつるぎ号の指定席で敦賀を目指す、一昨日乗ったばかりの路線だが乗る列車・時間帯が変わるだけで雰囲気も異なってくる。この北陸新幹線金沢ー敦賀は新北陸トンネルを擁する区間ではあるが、それ以外は比較的明かり区間(:鉄道用語でトンネルではない区間という意味)の割合が高く沿線の風景を見ながら進む時間が長い。
ちなみに次に開業する新幹線と目されている北海道新幹線の新函館北斗ー札幌については全体の80%がトンネルとのことで、そうなると乗車体験は全く異なったものになってくるだろう。まあ90%がトンネル、残された明かり区間も車窓は防音壁となる中央新幹線に比べれば…というものではあるが(それを否定する意図はない、為念)。

敦賀駅が近付いてきた

話題を呼んだ敦賀駅での乗り換えもこれが初めてとなる、平日朝の乗り換えとなると最も余裕があるようなものになるだろうか。この時スムーズに乗り換えできたとしても絶対的な人数が多く、なおかつ勝手が分からなかったり大荷物を抱えている人が多いピークシーズンの評価は難しい。といってもその検証のためにわざわざピークの日に乗りに行こうという気は全く無いが…

到着した新幹線
サンダーバードとしらさぎ

結論、下車は最初だったものの到着時に上記の新幹線の写真を撮ったりと先を急ぐというほどのものではないペースで新幹線ホームを降りて改札を通り、そして特急ホームに着いたのが新幹線到着から約4分だった。今回は同行者がいたため歩きも普段より遅めだったが今後の単独行動だったらおそらくもう1分は巻けたかもしれない。
とはいえ新幹線コンコースしか目に入るような位置のトイレは見つからず、手洗いに行く場合には乗り換え前に列車の中で済ませておいたほうがおそらく無難だろう。そして飲食のうち「飲」は自動販売機がいくつかあるのでともかく「食」の調達は無理と考えたほうが良さそう。
ここからは湖西線を走るサンダーバードで新大阪まで向かう、短距離を高頻度で走る運行形態に変わり途中の停車駅も京都・新大阪のみの便がだいぶ多い独特のものになっている。新大阪でサンダーバードを降りて御堂筋線の駅に向かう、いよいよ箕面萱野行きの電車がやってくる。

高速道路の谷間にて
千里中央は終点ではない

千里中央はこれで2回目、前回は大阪モノレールから北急に乗り換えたので通り抜けるのは初めてだ。長年終点と言われ続けてきた駅をこれまで車止めしかなかった(※厳密には万博会場まで線路があったが…)方向に走り出すのはどういうわけか緊張感がある、しかし電車にとってはもはやいつも通りの道で、開業から半月経った線路をするすると走っていく。満開の桜の木に迎えられてポールスターは終点の箕面萱野に滑り込んでいく。

桜と開業広告
新しい駅と記念ラッピング
大きく書かれた駅名

箕面萱野駅はみのおキューズモールに隣接した駅で、バス路線もこの駅を拠点とするように整理がなされた。市立病衣も近くにあり、バス路線と併せここへのアクセスにも貢献するだろう。しばらく見ているとあっという間に折返しの時間、帰りは大阪メトロの車両がやってきた。

記念ヘッドマーク
新しい途中駅

平日のラッシュ後ということで車内は座席がおおよそ埋まる程度の余裕がある乗客数、流石に新大阪以南は乗客がだいぶ増えるようだがそれを横目に降りて新幹線ホームに向かう以上もはや自分達には関係がない…ということでサービス開始以来いつかはいつかはと思いつつまだ使ったことのなかったコーヒーとアイスの自販機で買い込んでのぞみ号に乗り込む。

コーヒーとアイス
しばしの休息

そういえば来週はMorfonicaの"forte"参戦じゃないかなどと考えつつ「推し旅」車内限定ボイスを聴いて気分を盛り上げる、名阪移動は1時間程度で着いてしまうような距離ということでたちまち木曽三川を渡り尾張国は名古屋に到着。きしめんを食べて長野行きのしなの号に乗り込む。

HC85系と313系
すっかりお馴染みの315系
383系「しなの」車内

車端部のロングシートが特徴である元中央西線の313系も当たり前のように東海道線を文字通り東奔西走している、ここまでいつもの存在になると311系が全然来なくなっていたのはこれが原因かと得心できるというもの。特急列車として走り続けてきた383系ももう遠からず置換え用の新型385系の足音が迫ってきた。315系との共通性を高めた車両ともいうがどうなるのか、横を走るキハ75だって次の式年遷宮までには置換えられてしまうだろうこちらはHC85系とどうリンクしてくるのか…そんな事を考えていたら名古屋市内にも関わらず383系は130km/h近くで飛ばしていた。

名古屋行きの383系
特急「あずさ」で帰り

塩尻まで着いたらもうあっという間だ、ここからは最新型のE353系「あずさ」で新宿に戻ることになる。全席コンセントに可動式枕を備えた車内設備はなるほど快適になったと実感するもので乗車時間がだいぶ長いにも関わらず乗ってみたらより短く感じた。そんな旅路も折返しを過ぎてしばらく、勝沼ぶどう郷付近では果樹の花が咲き誇っていた。今年のフルーツも良いものになると良いな。

桜より濃い色で

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