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週イチの航路に乗って
冬至の翌朝、まだ日も明けぬうちから旅は始まった。まずは東京駅に出てのぞみ号で岡山に向かう、車内は満員というほどの混雑でもなくそこそこの混み具合。後で分かったのだがこの博多行きのぞみ号は殆どの乗客が京都で降りてしまいそこから筆者が降りる岡山までは結局ガラガラのままだった。今年になってこの空き具合はかえって新鮮な位だなどと思うのは順調に利用が戻ってきたゆえの余裕か。きれいに晴れた富士山が旅の始まりにいいアクセント。
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ところが前夜は日本海側を中心に大雪、関ヶ原では減速運転となり若干の遅れが発生し、この頃から日本海側に向かう特急は多くが午後まで運行されないという案内が行われていた。山陽新幹線においては特段の影響もなく遅延も岡山までには回復、「やくも」や「スーパーいなば」運休に伴う予約の変更と思しき行列を横目に山陽本線普通列車のホームに向かう。
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列車で向かうは笠岡駅、そこでは普段いないはずの珍客をお目にかかる機会に恵まれた。チョコレート色にクリーム色のこれはイギリス国鉄西部地域…なわけなく注目されている新型「やくも」用の273系ではないか。しかしこんなところで見つけられたとは、そもそも通常運転では来ないはずのこの駅で試運転しているということ自体これまで知らなかった。スタッフ複数名が居る中でもあり邪魔にならないよう撮影させて頂く。
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ここからは歩いて港に向かう、駅を出て地下道をくぐってから国道を渡る…というとなかなか難しいように思えるが案内看板が充実しており地図無しでも迷わず辿り着けるだろう。ここからは三洋汽船のお世話になる。
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乗船に際してはターミナル内に券売機があるのでそこでチケットを買って乗り込み、船内で係員に渡すスタイル…なのだが今回乗船する「佐柳本浦」行きの乗船券は筆者が訪れた際発売不可に設定されており、係員さんに申し出て設定を変えてもらった。この航路での乗船を希望する場合はこの必要があるかもしれないので、乗船の際にはなるべく時間に余裕を残しておいたほうがいいだろう。
しかしこれも無理のない話、実は上記ページにもあるが途中の真鍋本浦までは毎日複数便が運航されており乗客数も多いのだが最後の区間だけ週に一度、土曜の日中一往復のみの運航なのだ。この区間は県境を跨いだ区間となっており真鍋島までが岡山県笠岡市、佐柳島は香川県多度津町となっており乗客流動に合わせた結果ということになる。何やら昨今のローカル路線バスじみた話だが土曜にのみこの繋がりが拓けることで本四移動が出来るというわけ。
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6~7割といった乗船率で笠岡港を発つ、ちなみに最初に停泊する「神島(こうのしま)」は元々この先向かう島々と同じく笠岡諸島に属する島だったのだが、笠岡湾干拓事業によって本州と陸続きになったという経緯を有する。
しかしこの船、高速船と普通船で分かれているのだからもっと遅いのかと思ったらとんでもない。スマホの速度計アプリで見てみたら40km/h弱出ているのだから20ktを超えている。小型船でこの速度なのだからスピード感はなかなかのもの、時折窓に飛沫が飛んでくるし迫力は結構ある。
ふと思ったのだが一般的には20ktを超える旅客船は速いとされるが、23ktすら比較的遅い方に入り30ktが当たり前の軍艦は船体の大きさを考えると次元が違う…
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この便自体は真鍋本浦行きとなっており、メインディッシュ(?)の真鍋本浦から佐柳本浦までの便については真鍋本浦で約2時間のトランジットとなる。途中の島で少しずつ乗降(というよりは降りるほうがだいぶ多い)があって乗船券の回収も行われる。といっても自分の場合2時間後に真鍋本浦から再度船に乗るのだからと確認したところその乗継先の便に乗るまで持っていてほしいとのこと。この後のネタバラシとなるが乗継先の便は乗客が自分含め2名、だいぶ少ないのではっきり意思表示はしておくと安心だ。
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真鍋島には約1時間で着く、島にはもう一つ岩坪港というのもあるのだが徒歩10分程度なので散策ついでに立ち寄ることもできる距離だ。今回はその岩坪港付近から坂を登り、島内最高峰の城山展望台を目指してみることにした。
ところでこの島、次に向かう佐柳島と並び猫がとても多い。猫好きな人であればあえてどこかに行くでもなくその様子を眺めているだけでも満たされるのかも。
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標高130m程度だが海沿いから一気に上がっていく地形なので、ノンストップで登ろうとするとなかなか骨が折れるかもしれない。登りはまだ疲れて止まるから良いにしても、下りは油断禁物だ。城山展望台からは島内は勿論笠岡方面、これまで寄ってきた島を含めた笠岡諸島やこれから向かう佐柳島を一望することができる。瀬戸内海を航行する船も眺めることができたが、上の写真にあるコンテナ船は釜山行き。ローカルとグローバルで言えばローカルの極みとも言えそうな離島ではあるが、ここで世界との繋がりを改めて感じた。
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この真鍋島は「五里五里」とも呼ばれる。本州の笠岡から四国の多度津まで十里、その中央にある島という意味だ。待合所で一休みしていると残りの「五里」の旅が始まる時間が近付いてきた。乗船券を船員さんへ渡し船に乗り込むと…
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乗 客 一 人 (乗客とは筆者)
出航近くにもう一人地元の方と思しきおじさんが乗ってきたがさっきまでの笠岡からの便の賑わいが嘘のようだ。この後佐柳島での折り返しも見てみたが、そこまで多くの人数が乗っているというほどではなかったようだ。
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この船は鉄道・運輸機構の共有建造制度を使用している。運行航路の非代替性が特に高いにも関わらず経営環境が厳しさを増している離島航路の持続可能性を確保するための制度で、建造前の準備段階から新造船就航後の運航支援まで多様な支援制度を含めたパッケージとなっている。
そのためこの船もバリアフリー化が徹底されており案内ディスプレイが設置されている他、船内のトイレも温水洗浄式で快適に使用できる。また窓際の席にはコンセントがあるのでちょっとした充電にも使えるだろう。
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先程の展望台を横目に船は進む、おおよそ展望台を回り込むかのような軌跡を描いて佐柳島に近づいて佐柳本浦に到着。ここでは約30分のトランジットに。
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ここからはたどつ汽船で多度津まで向かう。すぐに船が来たのだがこれは多度津から来て、一旦この佐柳島にあるもう一つの港の長崎港に向かうので乗るべきではない。
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30分程度なので港から出るというほどでもなく待っていると地元のおばあさんとしばらく話し、元々真鍋島経由の笠岡行きはもっと便数があり大阪方面に向かう人が多かったとのこと。当時はまだ瀬戸大橋も無かった時代で多度津まで行ったとしてもそこからの都市といえば高松なので、笠岡から山陽本線で京阪神に向かう人が多かったのだろう。やがて時代が進むとそういった年代の人も減り県内需要が多くなって今に至るということか。
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乗船券は基本的に前売りなのだが到着間近に発売開始なので要注意、一応乗船時に料金を支払えば乗れるものではあるが事前に買ったほうが慌てずに済んで良いだろう。ここからは高見島を経由し1時間弱の船旅。
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自動車の航送も可能な船であるため客室もだいぶ大きめ、椅子席と桟敷席があるので好きな方を使って移動できる。この時は椅子席にそれなりに人が居たので桟敷にてしばらく寝そべる。
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南備讃瀬戸大橋や番の州高架橋、ゴールドタワーそして多度津の造船所…中讃の海沿いを代表するようなランドマークが視界にどんどん飛び込んでくるようになると多度津までもあと少し。四国入りに船を使うのは珍しく無かったがアイランドホッピングしつつというのは初だったので新鮮な気分もあるが正直まだ四国に来たという実感も薄い気がする。船を降りて、歩いて多度津駅に歩くと保存されているハチロクを見ることができる。
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予約で押さえていたのは余裕を見て18時半ころの特急、だが特にやることもないし駅の飲食店等も特にないので先を急ぐことにしよう。ということで一本前の17時半ころの特急に切り替えて改札に入る、とその眼の前に何やら賑やかなBGMが…?
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走ってきたのは大歩危からの観光列車「四国まんなか千年ものがたり」当初の予定のままでは恐らく来たことに気付かず見落としてしまったことだろう、良い出会いとなった。ところで中間車にある元々はデッキだったはずの区画にある洗面台で近鉄特急を思い浮かべたのは筆者だけだろうか…?
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ここからは予讃線を西に、特急「しおかぜ」に乗り込む。使用車両は新型の8600系…なのだが奇しくもこの日にこれまで使われてきた8000系の二度目のリニューアルが発表され、8600系並の居住性になるように設備の改良がなされるとのこと。四国新幹線整備に向けた機運は十分に高く、効果は期待出来るものではあるが実現までまだまだ時間は掛りそう。そんな中で重責を担い今日も走っている。
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松山から更に進んで特急「宇和海」で八幡浜まで向かう。2150形トップナンバーがN2000系2両を率いる3両編成だ。車内は自由席を中心に盛況で指定を取っていなければさてどこに座ったものかと悩んだかもしれないという程度。内子線を疾走するこの宇和海の走りは何度乗っても爽快なもの、出せる速度をしっかり出して走り抜けまたたく間に八幡浜着。
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八幡浜は港町で、ホテル等中心と言える場所は駅からは少し離れている。今日はその中の一つである「八幡浜センチュリーホテルイトー」に宿泊する。夕食はすでに済ませて翌朝は6時前なので素泊まり、フロントはまだ開いていない時間のチェックアウトとなるのでとチェックアウト方法を確認して部屋に入ったらもう寝る時間だ。シャワーを浴びて寝よう…
はてさて翌朝、足早に港に向かい乗船手続きを済ませる。今朝はここから別府行きのフェリーに乗って行くことから始まる。宇和島運輸の「あかつき丸」に乗っての旅路だが、6時20分出航で9時ころ着となると1時間ほどで本当のあかつきに出くわせるだろうか。
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3時間ほど乗るだけあって様々な設備が整っている、ちなみにコンセントはいくつかの箇所にあるので空いていれば難なく利用できるが混んでいたら難しいかもしれない。
船内をしばらく歩いているうちに出航時間となり、船がだんだん動き出す。とりあえず早い目に朝ご飯として売店であれこれ買い込む。
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名物八幡浜ちゃんぽんのカップ麺とじゃこ天、そしてみかんが無料配布されていたので有り難くいただくことに。しかしこのカップ麺侮れないもので具材はしっかり本来の味と食感がするもので食べごたえは結構しっかりしたもの。販路を存じないのでどこで買えるかは分からないが、見つけたらおすすめ。じゃこ天、みかん含め美味しく頂きしばらく桟敷席で休んでいると出港から1時間近く経っている、そろそろ日の出の時間ではないか。
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船で夜明けを迎えること自体が初だったので、これはなかなか楽しみな時間だった。20ktで航行中、外の風は流石に四国と言っても寒い。そんな風を浴びながら待っていると…
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宇和海の上で日の出の時を迎えた、今回は四国の陸地からだったので少しばかり地形の関係で水平線上に上がった瞬間とは行かないまでも日が昇ったときの高揚感は素敵なもの。寒いので早めに船内に戻ったが…
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ここまで船は佐田岬半島の南側を航行してきたが、そろそろそれも終わる。佐田岬灯台が段々と迫ってきていた、そしてMarineTrafficのアプリを開いて見ていると八幡浜に向かう同じく宇和島運輸の「れいめい丸」と国道九四フェリーの「遊なぎ」が近付いてきていた。これは是非見てみたいということで再び寒さに構わず今度は日の出と反対側のプロムナードに出る。
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四国最西端の地と九州を結ぶ2つのフェリー、短時間ながら充実した時間となった…それが終わるといよいよ大分県が近付いてくる。別府湾南側の工場地域を眺め、そうすればすぐに別府に着いてしまう。
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別府港からはタクシーを飛ばし遊園地「ラクテンチ」に、1929年に開設された遊園地でメインゲートからはケーブルカーに乗っていくのが特色。そのケーブルカーこそ筆者が日本国内で最後の未乗ケーブルカー路線だった。最初に乗ったケーブルカーは箱根のケーブルカーで、遂にここで全線制覇となる。ちょっとした感傷に浸る…余裕もなく周囲の子供連れが賑やかだ。ここはあくまでも現役の遊園地、しかも休日ともなれば賑やかなのは当然だ。
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車両は結構な年季者で外吊り扉に車内のボックスシートはどこかで見たような雰囲気。開場第1便故かほぼ満員の大混雑で扉をスムーズに閉めるために手や荷物を引くようにというアナウンスがなされるさながら通勤ラッシュのような混雑ぶり。
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ケーブルカーに乗ることが目的だったので次の便、10:20の便で折り返すべく展望台で景色を見て足早に待合室に入る。もちろんこんな事をする人が他に居ようはずもなく乗客は自分のみ。
ところで時間つぶしのために置かれている本の中に安全報告書があるのは…念の為加えておくとここは安全性はしっかり確保しておりその強い決意を伺うことが出来た。
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帰りのケーブルカーはやはりアテンダントさんと、乗客は自分1人、そういえば開場直後の下りケーブルにはどう乗ればいいのだろう、ケーブルカーで登るメインゲートの他に乙原ゲートというのもあるのだが、そちらの入場券ではケーブルカーに乗ることが出来ないとのこと。謎だ…
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対向便は勿論満員、これから楽しい時間を過ごしたことだろう。この車両、行きのときに気付いてはいたのだが銘板を見るとアルナ製ではないか。地元が東武ということでアルナ製と聞くとそれだけで無条件に親しみを感じてしまう。改札の外にはまだまだ多くの入場待ちゲスト、彼らにとって忙しい一日だったに違いない。
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別府駅で早めの昼食をいただき815系普通列車で幸崎に向かう、満員の車内は大分駅で一気に人が消えて以降はゆったりした空気になる。日頃この区間はソニックで移動してばかりで普通列車の移動は初めてということもあり、別府から大分という短距離の需要の大きさに驚かされた。
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途中の駅で交換待ちをしていると何やらディーゼル音が、はて大分も過ぎてこの辺で気動車の運用ってあったっけ…
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特徴的なグリルが先頭に、誰がこれを見間違えることがあろうか「ななつ星in九州」がやってきた。こちらも発車間際だったので記録程度しか撮れなかったが、これは驚いた。
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電車の終点の幸崎駅で降りて、ここからバスに乗る。国道九四フェリーの九州側は佐賀関港なのだが、バス終点の佐賀関停留所ではだいぶ遠くなってしまう。バスで行くなら途中の「古宮」バス停で下車して歩くことになるが、放送でも案内があるしすぐ目の前にフェリーターミナルがあるので難なく着くだろう。ちなみに大分バスは交通系ICカード対応、nimoca対応から来たようで、いやあ西鉄は強い…
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国道九四フェリーは四国側からの利用が多いとのことでこのターミナルも九州土産がふんだんに売られている。またこのターミナルの食堂は2階にありスタッフが食事をしていると今着いた船の船長に後でメニューの話を振られるほどよく見えるのだとか…
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停泊しているフェリーを見て驚いた、早朝に見た「遊なぎ」ではないか。7時半に佐田岬灯台付近で見たので当日始発便からこれまでに4便運航しているというわけだ。運航70分、ターンアラウンドに20分というLCCもかくやの高密度運航のため乗下船はスムーズそのもの、ちなみに徒歩の場合ボーディングブリッジの接続はなく車の横から乗船(車両積み込み完了後?)となり、下船は車両が全て降りてからとなる。
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国道九四フェリーの名の通り、ここは国道197号(高知県高知市~大分県大分市)の海上区間として使用されている。繁忙期にはかなり待つこともあるが、三崎港からのバスが少ないので徒歩乗船ではちょっとハードルが高い路線というのもまた事実だ。
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実は今回の旅程組みの際まずこの国道九四フェリーに乗りたいというのがあってバスの時間を見ていたのだが四国→九州だとバスがいささか遅く、それならばいっそ朝に八幡浜からフェリーで別府か臼杵に行き帰りで乗ればいいやと閃いたところから今回の旅程に繋がったという経緯がある。我ながらよく思い付いたものだ…
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今回は臼杵行きの「おれんじ四国」と八幡浜行きの「あけぼの丸」を発見、早朝に似たシチュエーションだが、臼杵行きは朝にはいなかったなと思いながらMarineTrafficで船名を確認する。直後に船は三崎港に向けて半島の影に隠れるので、こちらから八幡浜発着のフェリーは見られなくなる。
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そうすると後はもうすぐそこで、たちまち三崎港に到着となる。下船は先述の通り最後で狭い桟橋で事故にならないように配慮された方式だ。ここからは伊予鉄南予バスで八幡浜駅に。
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標準の路線バスより一回り小さいバスだが乗車時点で乗客は自分含め2人、途中乗降がポツポツあり通しで乗ったのは自分ひとりだけな上車内の乗客が3人を超えることは遂に無かった。確かにこれだと最寄り駅の八幡浜から40km(!!)あるのにこの便数に留まってしまうのかと感じさせられる。雪が残っていたのも関東人の愛媛県に対するイメージからすると驚きなのだが、関門海峡を抜けてきた雪雲がここで降らせているとのこと。
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八幡浜に着くと目の前には「伊予灘ものがたり」が、キハ185ベースの二代目になってからは初めてのご対面だ。松山から八幡浜・宇和島方面に向かう予讃線には2つのルートが有り、1つが内子線経由で内陸を走るルート。現在の特急「宇和海」は全便がこちらを通るし、一部普通列車も経由する。もう1つが海沿いを走る伊予長浜経由の伝統的なルートなのだがこちらは線形が悪く基本的には普通列車のみが走る。有名な下灘駅を擁する区間だが輸送密度も低いため活性化の方向性が模索されている。
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その切り札として投入されたのが先代の「伊予灘ものがたり」で普通列車用だったキハ40系を改造したもの、それを2022年4月に置き換えたのがこの二代目ということになる。
ゆったりとした旅を飲食とともに愉しめる魅力ある観光列車で、この列車(初代)の成功が「四国まんなか千年ものがたり」や「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」といったJR四国の観光列車シリーズに繋がったという意味でもエポックメーキングとなった存在だ。
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さて、こちらも旅を続けよう。昨日ぶりの宇和海でまずは松山に向かう…のだがこちらもこちらでエポックメーキングのアンパンマン列車だ。元々土讃線の「南風」が長期運休の後乗客減を食い止めるという目的もあり地元の人気コンテンツクリエイターの(故)やなせたかしさんの協力の元始まったもので、今となっては二次交通など広く波及している。
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ダイナミックな走りは他の特急「宇和海」と何ら変わることはない。単線のローカル線を猛烈な勢いで走り抜け、トンネルを次々と貫いていく。
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松山駅では名物の縦列停車となった。前側の特急しおかぜに乗り込み、後は終点の岡山駅まで。瀬戸大橋を渡るのはこれで2回目、更に初回はマリンライナーだったので宇多津方面からはこれが初だったのだ。そもそも四国の出入り全14回のうち航空5回、船舶7回、残り2回のみが鉄道というのもなかなか好き者の類なのかもしれない。
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ここからは上郡まで普通列車で移動しスーパーはくと、そのものズバリのスーパーいなばは時間が合わなかった。ただスーパーいなばは一昨年に乗ったしHOT7000系は山陽本線でしか乗ったことがない、しかもそこまでの移動は115系でMT54楽しめるとなると嬉々として乗り込んでいくタチなのだが…
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上郡からはいよいよ本日ラストのスーパーはくと、これもJR四国2000系を基に開発された車両で行き先表示やプラグドアにその面影を偲ぶ。こちらも新型車両の投入が遠くはないと言われ、今後が気になる列車だ。
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鳥取も先日の雪がまだ多く残る、今宵の宿はアパホテル鳥取駅前で。
https://www.apahotel.com/hotel/chushikoku/tottori/tottori-ekimae/
翌朝。まずは米子に向かう。乗車するのはキハ187系特急「スーパーおき」鳥取から新山口まで偉大なるローカル線の中枢部を貫く長距離列車だ。いつか端から端まで乗り通してみたいものだが…
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列車は快調に山陰本線を駆け抜ける。一般的にローレル賞は性能の秀でた通勤型車両等脚光を浴びにくい車両に授与されることが多い。しかしこのシンプルな面構えと力強い走りを見るとスター性度外視純粋に性能が評価されたというのがこの車両にとって最高の評価だった気がしてならない。1時間ほどで米子に到着。
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続いて岡山へは引退迫る381系「やくも」この旅の序盤で遭遇した273系はこの車両の後を継ぐべく産まれたのだ。デビューから早くも40年以上、これほど長く1つの路線のヌシとして走り抜いた車両はあまり居ないだろう。
そして今回は座席を指名買いした、引退前にどうしても座ってみたかったこの席に。
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空調用のダクトが通るこの場所には通常の座席は置けない、そのためこのような1人掛けの座席が産まれたという次第。といっても座席自体は普通の座席と何ら変わらずにあえてメリットを上げるなら隣席分のテーブルを使えたりする程度で、景色はダクトの隣ということでお察し。ただ人によっては魅力的かもしれないので気になる方はお早めに。
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ここまで来たら後は少し早いけど帰路に就く。久しぶりにちょっと岡山電気軌道に挨拶して昼食に讃岐うどんをいただき家族向けのお土産を買って新幹線ホームに上がる。すると走ってきたのは博多から来た当駅止まりのこだま850号、西陽に照らされた500系はやはりかっこいい…
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帰りは一気にのぞみ号で東京に帰る、初めてのN700S系グリーン車、さてその実力やいかに…といってもその乗り心地は安定のもの。そして到着前に明るくなるのは相変わらず分かりやすい演出だと改めて感心する。
京都からはかなりの数の観光客が乗ってきて網棚の使用率も一気に上がる、1人あたりスーツケースを2つ持ってきていたりすると棚もかなり埋まるのでこれについては理想的にはBoeing Sky Interiorやエアバスの新型のような座席定員の1倍以上のスーツケースを格納できるような網棚が欲しいところなのだろう。
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更にもう一つ最近のグリーン車事情を感じるアイテムとしてモバイルオーダーを使用してみた。#シンカンセンスゴイカタイアイス ことバニラアイスとホットコーヒーの組み合わせ、アフォガードができると有名なコンビだ。QRでオーダーページにアクセスし注文するアイテムをまとめ、乗車している列車と座席番号を選択するとパーサーさんが持ってきてくれてその場で決済する…という方式だ。
全体としてスムーズだが列車番号・自席の入力は省けるなら省きたいというところではありそうで、いつかはEXアプリからの注文としてワンタッチで使えるようにするのだろうか。
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行きのアンサーのごとく夕焼けに染まる富士山が見えたらこの旅…すなわち年内最後の旅も終わりの時を迎える。来年の旅行はもう予約し始めている。来年はどこに行き、そしてどんな景色を見ることになるのだろう。
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