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自分の心のコップ…いや、器

 自分の心のコップに自分で慈しみを注いで溜めていこう。そう思い、自分のコップってどんなんだろう?どんな器がぴったりくるんだろう?そんなことを考えながら、紙粘土で器を作った。そして、どんな色が良いかな?と思いながら色つけをした。
 虹色な感じがいいなと思い、水彩絵の具で色をつけていった。虹の色彩を調べて、絵の具を混ぜて色を塗っていった。ところが、虹色に塗れたものの、それがまた気に入らない。このまま仕上げてしまおうか?いやいや、ちゃんと自分に向き合って作ってみようと思い、色つけしたその器を水道の水をでじゃぶじゃぶ洗った。すると、綺麗に色が落ちた。「そうだ。違うと思ったら、洗ってやり直せばいいんだ。それだけのこと。」そう感じられた。
 人生のいろんなこともそうなんじゃないか。やりなおせばいい。土台から全部をやり直さなくても、直せるとこまで戻って直せばいいんじゃん。それだけのこと。自分を丁寧に取り扱うって、きっとこんな感じなんじゃないかなと思った。少しぐらい気に入らなくても仕上げる方法もあるけど、それは「ちょっと嫌だな。」と感じた自分を軽んじて大事にしてない気がした。そうやって進まなければならないこともあると思うけど、自分にとって一番大事なところは軽んじたくはない。
 そう思って、色をつけてしっくりこなければ洗い流し、何度も何度も色をつけて乾かして眺めて自分と向き合った。これまでの私は、学問や仕事で成果や効率を追い求めてきた。そうやって、それなりの成果が出せたことはたくさんある。がむしゃらに追い求めてきたからこそ得たものも多い。しかし、自分の心が壊れてしまった。これからは、多少のダメージはあっても砕け散ってしまわないそんな自分の心が欲しい。その心を象徴するようなそんな器が作りたいんだ。
 試行錯誤を繰り返して出来上がったのが、これ。

 朝焼けか夕焼けの空のイメージ。
星を一つだけつけた。その星はこれから目指していくものというより、全てを眺めて見守っているものの象徴。これからもいろんなことがきっとある。くっきりと白黒つけて片付けられるものばかりではない。だから、グラデーションにした。あたたかいものをたくさん溜めたい。だから、暖色系にした。

 両手で包み込んで収まる丸みを帯びたそのフォルム。
 暖かくほっとできる色。
 「大事にしよう。」

 やっとできた。作ろうと思い始めて、ひと月弱の時間をかけての完成。一応の完成という感じか?また、違うなと感じたら手を加えていくと思う。それでいいんだ。丁寧にゆっくり、自分を見つめて再構築していこう。
 楽しい時間だったな。そんな楽な気持ちで自分自身と向き合えた。よかった。そんなことを感じられた自分自身も成長したなと思える。
消えてもいいかな?と考えたあの日から、気持ちとしては落ち着いた。今の思いは、「消えてもいいけど、それは、今じゃないようだ。その時までは生きようか。」そんな感じ。遠くを見ると果てしなく、何をしたらよいか分からないけれど、目の前からせいぜい数mくらいの半径のことなら、はっきりみえている。そこから始めよう。まずは、その中心は自分で自分のことは自分で愛を慈しみを満たしていこう。
 この自分の心の器が、これからの私を支えてくれる。そう思いたい。

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