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#19 ベルファスト、バス乗って着く外国(プチ旅行記)

島国出身のわたしにとって外国とは文字通りに海外であって、飛行機または船に乗らなくては辿り着けない世界。
おそらくこの点は、ほかの日本人にとっても海外旅行へのハードルを高めているんじゃないかとおもう。

いまわたしが滞在しているアイルランドという国は同じく島ではあるけれども、島全体ではなくてだいたい南側の3/4くらいが同じ国。
そして北側にある北アイルランドはグレートブリテンという括りになる。
そう、陸路で外国(いちおう)に行けちゃうのである。

6月のなかば。
シフトが固定されておらず、前の週の半ばになるまで翌週の出勤予定がわからないという職場に勤めているわたしは、なんかどっか行きてえけど休みがどうなるかわかんねえから行けねえ、というモヤモヤを抱えていた。
土曜になってようやく送られてきたシフトを見てみると、週の真ん中の平日が2連休になっていた。

わたしは航空券を調べ始めたが、直前だしホリデーシーズン始まってるし、まあどこも高い。
そこで思いついたのがベルファストへの旅行だった。

北アイルランドの首都であるベルファストへは、ダブリンのシティセンターからバスで2時間半ほど。
今回は日帰りで向かうことにした。ネットで予約したバスのチケットは往復で22.5ユーロ。

Aircoachでシティーセンターからの往復


バスはダブリンの市内で何駅かストップしたのち、一直線にベルファストへ向かっていった。
気分的には都内から日光とか箱根とか行く、そんな感じの距離感、およそ2時間20分。

アイルランドと北アイルランドの国境は丘陵地帯といったところで、とくに入管みたいなものもない。
一応パスポートは携帯していたものの、バス内でのチェックもなにもなかった。
位置情報をONにしたままGoogleマップを眺めながら国境を超えたのだが、一時期携帯の電波が悪くなるところがあり、そこが国境だとわかったのが面白かった。

ちなみにわたしがアイルランドで使っている携帯のキャリアはthree
契約している月20ユーロのプリペイプランには19GBのヨーロッパ圏内のローミングがついているため、特別な切り替えや追加購入なども必要なく普通に使える。

さて、ベルファストの市内へ到着。
第一印象としては「なんか札幌に似てる…」だった。

うまく説明できないのだが、繁華街から山が見える感じがどことなく円山とかをおもいださせるのだ。
どこの国も地方都市というのは似た雰囲気が出るのだろうか。

ベルファストには、タイタニックの博物館やゲームオブスローンズのロケ地があるが、今回の滞在期間にはBelfast Photo Festivalが開催されていたのでそちらを見て回ることにした。

フォトフェスティバル、といえど、日本でやっているKyotographyなどと比べてしまうととても小さい規模だ。まあ、無料だしね。
とはいえ、写真を趣味でやっている人間としてはいちおう見ておくのも悪くないだろうという魂胆。

屋外の展示はあまり見ている人もいない
Botanic Gardenでやっている展示は比較的点数も多かった
公園の中にどかんと展示されている

屋外でやっている展示は個人的には少し物足りない印象だった。数的にも少なく、展示物が散漫としていて見やすいとは言い難かった。
とくに市庁舎の前の公園での展示は、日向ぼっこをする人々の「背もたれ」と化していた。
なので写真展を写真展としていっしょうけんめい見ようという姿勢ではなかなか楽しみきれない感があった。
生活のなか、街のなか、自然のなかで人々と共存するものみたいな見方が正しかったのかもしれない。

公園ではなにやら遊具を建設中。

その点、屋内での展示はわりとちゃんと数があった。
Belfast Exposeという施設でやっていた展示は、Alain Le Garsmuerという写真家が70-80年代に撮影したドキュメンタリーの作品群。

とくに80年代の中国や内モンゴルの写真がよかった。今じゃ撮れないだろうなという場面ばかり。UAEやイスラエルの写真もそう。どこか懐かしくて、でももう絶対に出会えない瞬間。
この瞬間を収めるまでどれほど待ったのだろうかとか、どうやって構図を決めたのだろうかとか。個人的にスナップを撮るとき、ほんとに我慢・待ちができないので、撮影者の努力とか忍耐とかに思いを馳せるなどした。

展示方法は貼りパネ、ちょっと雑感は否めない。でも写真は素晴らしい

Ulster Museumでは2つのテーマでの展示があった。

女性活動家のポートレート
ファッション史と写真

とくに後者についてはゼラチンシルバープリントの美しさとかを久々に味わえてよかった。ファッションとかトレンドとかミューズについてはよくわからん。

展示場所から場所への移動の最中で、ちょこまかと写真も撮ったりした。
街のようすはやはり地方都市という感じで、中心部はかなりコンパクト、少し歩けば郊外の雰囲気。

街並みもダブリンと大きな差はなくて、別の国に来たという感慨はない。
道路もイギリスだから左側通行なのはアイルランドと同じで、でも横断歩道の押しボタンがちゃんとイギリス仕様だったりとかで、ちょっと不思議に感じたり。

もちろん通貨もイギリスなのでポンド。
現金は持っていないため、ベルファスト滞在中にかかったお金は基本的にはWiseでカード決済。英国ポンド口座を開設して、もともとチャージしてあった日本円から両替しておいた。
ポンド口座自体の開設も数分あればできるし、街中のカフェやパブ、チェーン店などは当然のごとくカード決済ができるため基本的には何も困らない。
本当に便利な時代になった…。

City Hall

夜のバスで帰る予定をしていたため、そのまえにパブで一杯飲むことにした。

初めてなので、ド王道にDuke of Yorkというパブに来てみた。

街中の小道みたいなところを入っていくとパブが並んだ通りに抜けられる。

ちょっとワクワクする
天井までいろんな銘柄のサイン、ボード、ミラーなどがびっしりと敷き詰められていて目に楽しい。

平日ということもあってか、夕方にもかかわらず店内は想像より混んでおらず、席も空いていた。
天気が良かったので、外のシートで飲みたいという人が多かったのかも。

安定のGuiness

ゆっくりビールを飲み、いつもどおりNandosで飯を食べ、帰路についた。
とくにどうしても見たいものがあるわけでもなかったので、時間持て余すかもなあとおもっていたけどけっこうギリギリだった。

ベルファストという街、個人的にはこぢんまりとしていてわりと好きだった。
アイルランド、ダブリンにはないお店とかもあるので、また飽きたら気軽に来れる外国として、普通に買い物とかに来てみたいなと思う。


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