飲食と人生 ( 取り留めのない放言とレシピ) その10
日本の果物好きには困った状況
私は、果物好きでして、知識として品種改良、大量の化学肥料、殺虫剤、農薬、ポストハーベストの事を知っていても、つい買ってしまうクセが有ります。しかし、近年は、更にヒドくなって、味も香りも、食用として耐えられない果物が増えてきたように思えます。
私は、知識を不平不満の根拠にするのは矜持に反し、だからどうするか が大事と思ってはいるのですが、これだけ農業が効率良く 生産、流通、品質保持、価格安定を目指した結果、食べ物なのか? という商品が、溢れているように思えます。
そこで、私としては、不味くて食べれない果物を消費者としてアゲツラウのではなく、オススメを2,3挙げたいと思います。
先ずは、キィウイです。何故なら原種に近く、生命力が強いので、基本的に 肥料、農薬が必要ないのが、セールスポイントです。
枝での完熟が理想ですが、購入後、追熟させ(そのまま少し柔らかくなるまで待つだけ)、柔らかくなると強い酸味も甘さに変わります。
ニュージーランド産が有名ですが、地元産はポストハーベストもなく、
しかも安価で シーズン中は是非。
ビタミン、ミネラル等の分析結果も良好らしく、近年、お気に入りです。
次はバナナです。もちろん、なるべく無農薬、オーガニック、フェアトレード、ポストハーベスト等のキーワードに気を配って、選んで下さい。
1950年前後のお生まれの方にとって、バナナは超高級品で、夢のような食べ物でしたが、現在は安定供給?されていて、前述のキーワードに沿ったものでも 数百円で買えます。
植物検疫上、不可欠とされる薬品(ポストハーベスト)も, 生協などでは
独自契約で良品を国内に入れています。
どうしても未完熟のバナナを輸入するしか無く、キウィにような、ほっとく追熟はできません。緑がかった房バナナを置いておいても、ウラナリのようで、本来の甘みや食感が出ません。
以前は専門の追熟業者さんが全国各地にあったそうです。
湿度100%のサウナのような部屋で美味しくし、そのバナナを仕入れて路端で売る、いわゆるバナナの叩き売りは、( 映画の寅さんですね ) 完熟させると直ぐに真っ黒( スイートスポットといいます)になる性質のため、夕方には (持ってけ、泥棒!!!) となっていたそうです。個人的には、スイートスポットだらけの甘い柔らかいバナナが好きですが、東南アジア諸国では、緑の硬いバナナを油で焼いたり、蒸して、主食としている方を良く見ます。
主食ですから甘いのも嫌だそうです。また、ビタミン類も、緑とスイートスポットだらけのものが豊富で、黄色いときが、最も少ないそうです。
以前、フィリピンのミンダナオ島に、友人を訪ねた事があります。そこのマーケットで食べたオーガニックのバナナとパイナップルは生涯、忘れられない経験で、香りも 味も 食感も
別物のようでした。
更に、帰りの飛行機の中で読んだ現地の機関紙でマニラ動物園の獣医師がバナナに含まれる抗がん作用を発見したことを大々的にアピールしていました。
彼は予算が少ない為に、肉食動物に肉加工品や冷凍肉しか与えられないので4-5年で生涯を終える(死後、解剖するとガンに侵されている)動物に、
長年、心をいためていたそうです。
しかし、来園者から、日本のポテトチップスやエビせんと比較にならない程、質の悪い油の酸化臭のひどい袋菓子や、目のくらむような合成着色料入りの駄菓子をもらって、毎日、食べる猿たちは、ガンに罹らないことに気付き、食生活の違いを調べるなかで、バナナに目を付けての分析結果だそうです。
帰国後、友人たちに自慢げにバナナの抗がん作用について話していたところ、数カ月後には ためしてガッテンで特集したので、覚えていらしゃる方も多いと思います。言うまでもなく、食品添加物の中には、多くの催奇性、発がん物質が報告され、食品会社の多くは、これらを使用しています。個々は使用量が決められ、安全基準??が守られていますが、体内での複合汚染や化学反応等の結論の出ていない疑問だらけです。
マニラ動物園の猿のようにバナナを食べるとがんリスクは大幅に回避できるのではないでしょうか?
柑橘類も、ミカン農家が採算が合わなくなったり、高齢化で、一度、荒れ果て、その後、また実が付くようになった農園が多くあります。意図せず、自然農法、自然栽培になっているわけです。
木が痛むので、取りに来てくれたらあげるという方のみかんは、素晴らしく香りがあり、味も凝縮されて、皮も安心してジャム等に使えます。( 鶏肉や 鴨の胸肉の皮パリパリソテーのソースにも調子が良いですよ。)
岡山県もフルーツには力を入れている方が多く、いかに美味しいモノを作るか?? に力を注いでいる方が多いようです。
かなり高価ですが、知り合いの白桃農家さんは、少な目の完熟の有機肥料(5年以上寝かせたもの、動物性バクテリアから植物性バクテリアに支配が変わった堆肥 ) と年間通して、生草、雑草の天地返しをしています。(まさに自然農法の土作りと同じです。)
あの上品な日本ミツバチのはちみつのような甘い蜜をタップリ含んだ白桃を育てておられます。
どんなに高額な化学肥料でもこの蜜は出来ないそうですよ。
残念ながら、その生産者の情報は教えません。絶対量がとても少なくて、年一度の口福が失われてしまうからです。
しかし、その方いわく、1つ4−5千円位で予約販売してる方は、あの甘い蜜の為に、だいたい同じ管理をされているそうです。
日本ならではの、奇跡のような生食出来る果物ですね。
プラムの一種の( 貴陽 )も同じような栽培を手掛けている生産者のモノは、夢のような高貴な香り、和三盆糖の如くの上品な甘みがあります。
果物に限らず、農業全般、特産地のモノは連作障害を避けて、様々な対策をする過程でヒドイ味になっているように感じます。
地元産のそれぞれ当たり年のモノを( 当たり年のものは追肥や農薬の使用量が少なくて、安く、旨い)戴くスタイルが、おすすめではないでしょうか。
レシピを読んでその材料を買いに行くのではなく、産直市で沢山、安く、出ているものは当たり年の野菜、果物です。したがって美味しい。素材が良いなら、ソレらをメインにレシピを調べれば、良いのです。
良い無農薬の国産ネーブル(前述のミカン農家のようなネーブル)が入手出来たら、是非、挑戦してもらいたい料理を思いつきました。
岩手の合鴨のオレンジソース
国産の生の合鴨がオススメです。
タイのモノは臭うことがあります。
ハンガリー産は味が良く、
脂も 自然、重いところが少ないですが、冷凍なので香りは、少ないです。ハンガリーか国産で悩むところですね。
ソテーは グラスフェッド、発酵(チャーンド) 有塩バターを大匙2−4杯程度、ガラスコップに取り、湯煎かレンジで溶かして、上澄みをソテーに使います。皮目をパリパリに焼きたいために温度を上げるので、(バターに含まれる脂以外の成分は焦げやすい
)面倒でも上澄みバターをつくります。ただ、鴨からも美味しい脂が、かなり出ますので、少しで充分です。残りはソースの仕上げに使います。
鶏滋養パイタンスープが少量有ると3段階位、レベルの高いソースが出来ます。
ワインビネガー(赤、白は好み)
グランマルニエ( 通称、愛の酒、
女性が最後にコレをロックで、というのはOKサインだそうで。
その経験のある方が 羨ましい限りですね。
氷に注ぐとオパールのようなキレイな溶け方をします。小瓶が有ります。)
ネーブルはぬるま湯に2−30分、
漬けると無農薬とは関係なく、湯が濁ります。大気汚染でしょうね。
皮が 濁りのない味になります。
ピーラーで皮を剥いて、千切りにし、中身は絞って白ワイン20%ぐらい、鶏滋養パイタンスープは50%くらい入れて、コトコト弱火で煮詰めて、半量以下にしておきましょう。生ローリエが有れば、一緒に煮ると甘い香りが、更に強調されてフランス感が増します。ハハ。
鴨は、血が多いのですが、牛、豚と異なり、血が美味しいので、水にさらしたり、塩で体液抜き、(ポーサレ)しません。縦に包丁目を入れ、(後で皿に盛る時、横にスライスします。)上澄みバターで、ヘラや皿を使って、
しっかりと押さえ込んで、焼色を付けます。皮がパリパリ感が出るまでです。火力が強いとパリパリになる前に焦げます。ハハ。
鴨の、皮下脂肪の脂を出しながら、ゆっくり、じっくりです。色は最後でもつけれます。脂が、出てきたら、スプーンで何度も脂を身側に掛けて表面を固めます。(アロゼというフランス料理の技法です。テレビなどで観たこと有ると思います。)
身をアルミホイルに取り出して、巻き込んで、180°位のオーブンやオーブントースターで、
更にゆっくり火を入れていきます。
その間にソースづくりです。ソテーしたフライパンの鴨油を大匙2−3杯残して、粗精糖大匙1-2杯、ワインビネガー大匙1、グランマルニエ大匙1−2,を煮溶かして、先の煮詰めていたスープを入れて、更に強火で煮詰めていきます。砂糖の為に焦げやすいのでフライパンを転がすようにして水分を飛ばしながら、仕上げていきます。
鴨を皮の切れ目に90度でスライスしお皿に広げるように盛ります。冬場は厚手の皿を熱湯で温めておくのも大切です。トロミがつき始めたくらいで、火を止め、残りのバター、再度、グランマルニエで極少量、香りつけし、出来上がりです。万一、血が少し流れても、
問題有りません。むしろ私はそのくらいが好きです。
蛇足ながら、重い、甘めのMERLOT、メルローの多いワインが良く合うと思ます。
次回は、野菜とその料理で もっと日本的、庶民的なレシピです。ーー