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SMS(ショートメール)での別れ

別れが近いって気付いてはいたけれど、半同棲生活を続けていた。

というのも、病院の寮は敷地内に建っていて、松林の中にあった。古くて木造二階建てアパートは、寝るだけにしても、居心地が悪かった。
別れたらその部屋にずっといるのかと思うと、別れることを先延ばしにするしかなかった。

でも、29歳を目前にまた結婚という事に対し焦りを感じた。
勇気を出して、琢磨に結婚を考えているのか確認をしてみた。普通なら考えてないよーといいそうだけど、琢磨は、結構真剣に考えてはくれた。
年下のメンヘラ女子と浮気して、居心地の良さに気付いた時だったかもしれない。

まだ学生で今から実習などが始まるという時期に結婚などできるわけもなく、最低できて何年か後という事を言われると、不安が募ってきた。
周りが子供を産み始める時期に何をしてるんだろうという思いが強くなった。
いっそ、結婚なんて考えてないの一言が欲しかったのに、暫く待ったらワンチャンあり位の答えは返って悩みを増大させた。

後は、2人が良くても、ママとマミーの絡む、お家柄問題もあるだろう。

その頃からPHSが広まりを見せ、SMS🟰ショートメールでやり取りができるようになった。
ある日不安でたまらなくなって、「結婚する気がないなら別れよう」って送信してしまった。
それから、電話が、かかってきて。。
何を話したかも、忘れてしまった。
すごく長く話したと思う。このままの関係でって言われた気もする。解決のしない会話が続いてそのまま電話を切った。

でも、ショートメールは取消しはできない。
自分の言葉に責任を取った。
その後は、ショートメールでやり取りをして、決心が鈍るから会わなかった。
鍵は郵送して返した。
会わずにして別れる事ができる事を、この時知った。
今では、当たり前なのかもしれないけれど、でも、会っていたら別れられてなかった。
これで良かったと、自分に言い聞かせる毎日が辛かった。

そして、古くて暗いアパートでの生活が始まった。

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