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1回目のお引っ越し

安定期に入り、マンションの引越しの日も決まった。

引っ越しの時に気付かされる。
大吾のフィギュアコレクションの数々。
一部屋全部フィギュア部屋な上に、押し入れの中も全てフィギュアで埋め尽くされていた。

新しいマンションも3LDKではあるけれど、子供も産まれるので一部屋潰しは勘弁してほしいと告げると、ホームセンターで6畳ほどの倉庫を買ってきた。12畳程のベランダが2面ついていたが、一面は、フィギュア倉庫に占領されてしまった。それだけでは足りずに結局押し入れは占領された。

倉庫に入れるくらいなら処分したらいいのにと思ったけれど、部屋の確保の為に動いてくれたことには感謝
するしかない。

25歳のH君の結婚未遂の時に買った、アンティーク調の食器棚が別れてからもずっと私と行動を共にしてきた。古いアパートの時も、何故食器棚だけゴージャス?みたいな感じだったけれど、やっとしっくり落ち着いた場所に設置できた。

新しいマンションと共に、インテリアも一新したい所だったが、そこまでお金が回らずチグハグ家具の新居に無事に引っ越しができた。

高級を謳ってるだけに、マンションは2棟に一基エレベーターがついていた。プライバシーが守られるという謳い文句だったが、逆に30世帯の住民全員把握してしまう為、ご近所関係が気まずいと、密室での数秒が長く感じてしまう。

後にご近所トラブルに巻き込まれたので、本当に辛い時期があった。

とりあえずお隣に挨拶に行くと、小綺麗な中年女性が1人で住んでいた。家と、同じような間取りの同じ値段のマンションに一人暮らしの山下さんは、今の私と同じくらいの歳だったと思う。今だったら、2人で飲みに行っても楽しめそうな感じの気さくな方で安心した。

リビングは、壁一面ガラスだったので、市内はもちろん、遠くに海や、タワー🗼も見えて最高の景色だった。4500万円の借金も頑張って返そうと思えた。

20年経った今でも人気の物件で、当初購入した金額よりも、更に値上がっているだけに、とてもいいマンションだった。

この間、立ち飲みをしていたら、このマンションの住人がいた。初期メンとその人は言っていたので、私も初期メンだったということを言ったらびっくりしていた。
何号機の何階に住んでいると言っただけで、名前まで当ててしまった。

その人は、ずっと東京に住んでいて実家のマンションに帰ってきたと言っていた。49歳独身、イケメンだったらアプローチしてあのマンションに返り咲く事も出来たかもしれないけれど、残念ながらタイプではなかったので諦めた。

このマンションの1回目の引越しは、無事に済んだ。
安定期に入って、素敵なマンションに引越しをしてこの頃が一番平和な毎日だったかもしれない。

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