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ダフ

Hくんと付き合って暫く経った頃、野外音楽フェスに行った。その時、アメリカン・コッカスパニエルと言う犬を連れてきているオシャレな青年がいた。オシャレさんが見慣れないオシャレな犬を連れているのを見て、オシャレって思ったし、何より、コッカスパニエルが人懐こくて可愛くて、ずっと、わしゃわしゃ可愛がった。買いたいって思ったけど、無理かとも思った。

その後、何気にHくんとペット屋さんの前に通りかかった。その時に売られていたのが、ダフだった。
ダフは、シーズで、シーズを買いたいなんて思ってもなかったけれど、目があってしまった。(昔CMであったような。。)しかも、特売だった。
つい、衝動買いしてしまった。

ダフは生後2ヶ月ほどで、小さくて可愛かった。
子犬の育て方がわからないまま買ってしまったので、連れて帰ってひとしきり、わしゃわしゃにしていたら、次の日ぐったりしてしまった。

すぐに動物病院に連れて行き、点滴を打ってもらった。回復したものの、元々身体が弱かったのか、体調を壊すことが多かった。そのせいか、ダフは、歯も生えず前歯しかなかった。他のシーズに比べると小さめだったけれど、顔がめちゃくちゃ可愛かった。
そのまま、成犬になったダフは、歯もなくて、小さかったけれど、元気になり活発に育った。

カップルで犬を飼うことってあると思うけれど、このまま、子供みたいに一緒に過ごそうって思って買ってるわけで、別れが来ることを予想しながら飼う人なんていないと思う。
原田くんと私の場合も別れるって選択肢を、Hくんは1ミリも思ってなかったと思うし、私もその時は思わなかった。

でも、数年経った頃から、私の中でのモヤモヤが大きくなり、別れを意識した時、ダフはどうしようと言う気持ちを持ちながら過ごす日々があった。
私のわがままで別れるから、ダフは置いていくべきか。。彼もいなくなり、ダフもいなくなり1人でやっていけるのかとか、思いながら生活を続けた。

結局別れの時、ダフは置いていく選択肢をした。別れを私から切り出したこと、ダフは置いていって欲しいと言われたことから置いていくことにしたが、それから数年ダフは夢の中に出続けた。
でも、いつも最後はゴミ箱の中に捨てたり、排水溝の中に入ってしまったり、ダフの幸せな夢を見ることがなかった。
私も、父親も蒸発し私や、姉を捨てた。父親は、私のように、私の夢を見たのだろうか。捨ててきたと言う思いは、心のどこかにあったのだろうか。

私は、捨てられても、育ててくれる人や、周りの人がから、愛情をもらって、また楽しく過ごせた。
私と別れた後、Hくんは新しい彼女と結婚して、最後はダフを看取ったと言う話を聞いたので、ダフが幸せでなかったということはないと思う。

私と、ダフは幸い、捨てられた事、捨てた事を乗り越えられたのかも知らない。でも、捨てられた事、捨てた事を乗り越えられない人はいると思う。
そうならないように、子供も、動物も責任を持ってる人が育てるべきだと思う。


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