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ガラス越しの我が子

術後2日目やっと1人で動けるようになった。
決められた授乳時間になり、痛みに堪えながら廊下の壁を伝いながら、必死に新生児室に行った。
新生児室には10人程の赤ちゃんがいた。

授乳時間になっても看護師はいない。うちの双子はどこかなーと、ガラス越しにみていると、隣同士並べられていた。すると、コット(新生児のベッド)に寝られている長男君の肌着がはたけて、吐いたのか少し濡れていた。看護師に伝えようと新生児室のブザーを押した。

ところが、全然看護師が来てくれない。ガラス越しに下着がはだけて濡れている我が子を見るのが辛くて自然に涙が出てきた。横では次男君がすやすや寝ている。10分位してやっと新生児室に看護師がやってきて、着替えをさせてくれた。たまたまだろうと、その時は部屋に戻った。

部屋に戻っても、長男が生まれた時にすぐに泣かなかったことも気にかかっていたので長男君が大丈夫か不安になった。3時間後また痛みを堪えて新生児室に行った。すると今度は長男君の上にウォーマー(上から温める機械)が当てられていた。
また不安になり新生児室のブザーを押す。基本10分位誰もこない。授乳時間に集められた母親たちは、授乳室で待たされる。

ということは、10人ほどの新生児は、いつも10分以上放置されているんだと思うと、怖くてたまらなくなった。看護師が来て事情を聞くと、長男君は今度は低血糖、低体温になったと説明を受けた。
さっき、吐いて、濡れて放置されていたからだと思ったら、今度は涙が止まらなくなってしまった。

そして、新生児室の管理体制の杜撰さに不信感を覚えてしまった。師長さんを呼んでもらいそのことを伝えた。改善するようにしますとは言われたが、とにかく、忙しいのか、術後2日目の私のところにさえ、看護師は、顔を出さなくなっている状況下ですぐに改善されるとは思えなかった。

それからは、授乳の合間にも新生児室に様子を見に行った。更に3時間毎に、2人に授乳して戻ってくるとほぼ不眠状態だった。段々疲弊して入院しているのに逆に疲れ果ててしまった。

少しのことで涙も出るしこのままでは、マタニティーブルーになってしまうと思い、また師長さんに話を聞いてもらった。少し休んだ方がいいと言われた。でも、新生児室の子が心配で寝れない。

不安を解消するために、昼間だけ母子同室にしてもらい夜のみ預けることにした。それで少し気持ちが楽になった。
術後7日目、退院することになった。医師から、双子と母親同時に退院は大変だからと、1日双子を預かると提案された。預けて家で寝れたらどんなに楽だろうと思ったが。迎えに行く手間もあるため、一緒に退院することにした。

娘が無邪気な顔をして迎えに来た。2歳10ヶ月の娘と新生児の双子の子育てが始った。

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