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棟内引越し

双子が小学校に入学して間も無く、マンションの4LDKに空きが出た。今のマンションを買った時は、個人事業主で、株式会社ではなかった為、私名義のマンションだった。当然、団信も私だったので、私に何かあった時は、ローンが免除されるけれど、大吾に何かあった時には、ローンだけが残ることが不安で、ローンが賄えるだけの保険に入ってもらっていた。

これが、1型糖尿病と診断された後だったら保険も入れなかったかもしれないが、病気発覚前に保険に入っていたことで、後々とても助かる事になった。

その大吾が、同じマンションの広い部屋に移りたいと言い出した。広さは140平米もあって、リビングだけでも30平米あった。

丁度その頃、不動産価値が下がっていた時期で、今買ったら1億以上する物件が、6000万円で売りに出ていた。今しかないと大吾と不動産屋から説得されたものの、大吾の糖尿病問題が大きな壁となった。

大吾は、後先考えず買う気満々で会社でも取引のある銀行に行った。店の移転オープンの時に融資してもらって、すぐに返済もできたという事から、信用はあった。銀行マンは大吾が病気とは思ってもないので、融資の話をどんどん進めていった。

秘密裏で話はどんどん進み、融資も降りるだろうという話になり、買うしかない状態になった。
大吾は、保険とか黙っとけば大丈夫やろと言った。
でも、私は自分の今後にかかってくるので、首を縦に振るわけにはいかなかった。

せめて毎月通院してなければねーというと、インシュリン余ってるから、今の病院辞めるわ。
薬がなくなるまで、病院は通わんと言い、団信の書類に通院なしと記載して銀行の融資を受けた。

元々銀行と信頼関係ができていたのですぐに融資はおりた。団信は、告知義務違反で、いざとなったら使えないかもしれないから、早めに返済して貰うしかない。不安の中で、棟内引越しをすることになった。

90平米から、140平米になった我が家に、子供達は大喜びだった。皆がそれぞれ部屋を持つことが、家族をバラバラにする事に気付かず快適ライフが始まった。
(写真は実物です)

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