ホテルのラウンジ
TAKKさんとやり取りをして、2週間経った時、とうとう会うことになった。待ち合わせではなく、アパート近くまで迎えに来てくれることになった。
指定した場所に行くと、黒い車が止まっていた。
車の前に立つと、窓を開けて「こんにちは」と、顔を出した。
そのまま車に乗り込みもう一度顔を見る。
「香取慎吾」それが私の一言め。挨拶もなしに失礼だっただろうけど、「最近よく言われるんよ」と返事をしてくれた。
「香取慎吾もやけど。加瀬大周そっくり」というと、「それもよく言われる」と言った。モデルをしていただけに、ルックスは、かなりいいな思ったけれど、タイプの顔ではなかった。
「神田うの?まあ、似てるかも」とまずお互いの外見から話が進んだ。
メールでのやり取りの内容を思い出しながら、質問したり、話を聞いたりして、会話は途切れることはなかった。
TAKKさんは、6歳年上で35歳だった。
18歳の頃6歳年上の美容師と付き合ったが、年齢差が私の中でひっかかていた。どちらかというと年下が良かった。
車は、海辺の高級ホテルに停まった。
開放的な吹き抜けのラウンジがある、人気のホテルだった。
そこで、2人で色々話をした。
話の詳しい内容は覚えていない。
話しながらふと、頭の中に子供を連れて将来この場所に来ている画像が浮かんだ。もしかしてこの人と結婚するかもと、思ってしまった。
これが、波瀾万丈の結婚生活に繋がるとは、思いもしれず、会話は続いた。
その日は、ラウンジだけで別れた。
ショートメールで、また会おうというメッセージが届いた。
気にいってはもらえたようだった。