盗人
大吾のカードショップには、カードゲームをするスペースがあって、毎日夕方になると近所の小、中学校の生徒がやってきて、カードゲームをして遊んでいた。
常連のお客さんも多く、人懐っこく大吾やお店のバイトに話しかけてくる子たちも多かった。
その常連の子達が、大吾に最近、自分たちのカードが紛失する。誰かが盗っているんじゃないかと思うと言ってきたらしい。
誰かは、わからないけれど、友達間でも盗人は許されない。お店の防犯カメラで確かめてみると、1人怪しい動きをする子がいた。カメラでは詳細が見えなかったらしく、泳がせてみたところ、現行犯で見つけることができた。その子は、前に書いた「ママ友からの」の転校生君だった。
大吾も顔見知りの常連で、お金遣い良くいいカードを買っていた。その頃は次男とも仲良く遊んでいた。お店にとってもいいお客さんだった。でも、陰で他の子のカードを盗っていたからには、厳しく指導する為に、ママ友を呼び出したらしい。
大吾には、ママ友の事を話していなかったので、店にパンクロッカー風のママ友がやってきて、驚いたらしい。盗人の事を話したら逆ギレされたと言っていた。
それからなんとなくママ友とも気まずくなったのと、進路が違ったこともあり、数年間会わなくなった。
数年後再開したママ友からの聞いた話だと、転校生君は、大吾から罵倒され蹴られたりしていたらしい。
大吾から聞く話と、ママ友から聞く話どちらか本当かは、わからないが、必要以上に厳しく叱られた転校生君、それを擁護したママ友、どっちもどっちの話だが、転校生君は、友達間のトラブルなどなどを経て結局中卒で学校に行かなくなったらしい。
小学校の頃無邪気だった転校生君の行く末は、今でも気になっているが、飲み友になった友達の口から息子君の話を聞かないところをみると、もしかしたら関係もうまくいってないのかもしれない。
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