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ドアの隙間のシンデレラ

双子を産んで仕事復帰すると、時々職場の飲み会に誘われるようになった。といっても、3.4ヶ月に一回くらいだったと思う。

元々は、宴会好きだったので飲みニケーションは大好きだった。飲み会の日は、大吾に子供を預けていかなければいけないので、その日に向かって大吾、の感情コントロールをする。怒らせない様に怒らせない様に機嫌良くその日を迎えられる様に頑張った。

「俺が面倒見るぜ」と言ったかと思えば、「そんなの聞いてない」と言われたり飲み会一つ行くにも大変だった。

大吾と結婚してから、なぜか門限が夜の0時になっていた。決めたわけでもなく「女がそんな時間まで外で遊ぶのはおかしい」と、モラハラ男の勝手なルールにむかつきながらも、大吾と結婚してからはすぐに妊活に励んでいたので、そのルールもなんとか守られていた。

子守りを任せて飲み会に行くと、解放されて楽しくなる。21時には大吾から全員寝たと知らせが来る。ならば良くないって思っていても門限は気になる。

大体職場の飲み会は、19時頃始まって、22時に終わって、二次会っていう感じのパターンが多い。23時頃から「帰ります」というと何人かが、「じゃあ一緒に帰るね」というのがお決まりパターン。

でも、なかなかそこから進まないのもいつものパターン。会計を待ってみんなのお金を集めて、また話して、終わったかと思ってもまた話し出す。それが飲み会ってものよって思うけど、大吾は容赦しない。

機嫌によってにもなるが、0時を過ぎるとマンションの内鍵がかけられる。隙間から大吾が顔を覗かせ、「何時に帰ってきとるん」と目を見開いていう。
そこで謝って許してくれればいいけれど、「知るか」と言って開けてくれない。酔いも一気に冷め玄関のそばに座って許されるのを待つ。しばらくして許しが出て中に入ら頃には、すっかりシラフで現実に戻っていた。

子供が小さいから仕方ないのかと思いきや、大きくなるに従ってエスカレートしていった。
あの隙間からお湯をかけられたり、催涙スプレーをかけられたり、一度は、朝まで開けてくれない事があって、マンションのエントランスで野宿したこともあった。朝隙間から誰か起きてきてーと思っていたら奇跡的に娘がトイレに起きてきて、開けてくれた時もあった。

たった年に何回かの飲みニケーションのために、えらい目にあっていたが、数年後シンデレラ卒業する日が来ることになる。

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