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「無題」ー 推しへの鎮魂歌

彼は誰よりも愚かだった

ただ、誰よりも優しかった


自由の奴隷は翼を広げ

大空へと飛び立つ

やっと自由になれたから


彼を解き放ったのは

彼を愛した人だった

その人は、彼が愛した人でもあった


彼女は誰よりも強かった

そして、自らの運命と向き合った


彼に自由を与えた人は

彼の墓標の隣に座り

彼を想って涙を流す


1羽の鳥が彼女のもとに

マフラーをかけ、再び空へ

あの時と同じように


始まりの木の下

永遠の居眠りにつこうとも

その愛は永遠に色褪せない


私は祈る

別れの果て

彼の辿り着く所が

温かな祝福に満ちた花園であることを


私は祈る

彼女が人生を終えた時

最期に辿り着く場所が

彼のもとであることを


世界も、時代も、罪も、運命も

手の届かないその花園で

また2人が出会えることを


どうか

安らかな時を永遠に

どうか

穏やかな愛を永遠に


心からの祝福と祈りを込めて

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