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ハゲか陰毛か? 究極の選択

ちょっと、やっだー! 洗面所に陰毛が落ちてる!!

いや違う。
落ちていたのは、わたしの髪の毛。
それくらいわたしのくせ毛は、すごい。

「縮毛矯正つづけるとハゲるよ」
嘘か本当か分からないけど
知人のこの言葉が胸に響く。

ハゲか陰毛か?

究極の選択。

そしてわたしは陰毛を選択したのだった。

それから10年、陰毛級くせ毛との闘いが始まった。


くせ毛との長い戦い


わたしは生まれたときからくせ毛だった。
両親ともにくせ毛なので、遺伝で間違いないと思われる。

高校時代のストレートパーマから始まり
ずっと縮毛矯正をかけつづけた。

40代前半のとき、いつもの美容室で衝撃の告白をされた。
「もうこれ以上の縮毛矯正は危険です。髪がビビリ毛になっています」

がびーん!! (ザ・昭和世代)

高校時代から計算すると約26年
縮毛矯正をくり返してきたわたしの髪が、とうとう悲鳴をあげたのだ。

しばらくトリートメントで髪に栄養を与えながら
くせを落ち着かせる美容師さんの作戦。

しかし、どんなに素晴らしいトリートメントも
わたしのくせ毛には、焼け石に水だった。

毎朝鏡で見る自分の顔が嫌いだった。

頭皮から生えるくせ毛は
わたしがわたしをブサイクと認定してしまうほどに強烈だった。

縮毛矯正=ハゲる
わたしの脳裏に植えつけられたこの謎の公式

ハゲか陰毛か?
ハゲは嫌。

ヘナを試した。
試した当初は、ヘナショックが起こり
ドリフのコントで頭が爆発した人みたいにモジャモジャになった。
使い続けて少しは落ち着いたものの、わたしを納得させるにはほど遠い。

シャンプーを変えてみた。
いろいろなシャンプーを試した。
テレビCMで綺麗な女優さんがツヤツヤ黒髪を揺らしている。
それを見るたびに
「うそつけ! 誇大広告で訴えてやる!」と思ったものだ。

学生時代、ツヤツヤ美髪の同級生のあだ名は、ティモテだった。
くせ毛奮闘中のわたしが夫につけられたあだ名は、メドゥーサ。
余談だけど。

ヘアケア用品もかなり試した。
ヘアオイル、バーム、ムース、クリーム……もう覚えていない。

くせ毛から解放されたい一心で
ドラッグストアに並べられたヘアケア用品の魔法のようなキャッチコピー。

もしかしたら……
ダメもとで買ってみる。

洗面所には、お店が開けるくらいのヘアケア用品が集まった。
どれも使い切らないうちに次のを買い足していくうちにこうなった。


美容院嫌い


有難いことにわたしの髪の毛は伸びる。
別にまっすぐにしたいわけじゃない。
せめてツヤが欲しい。

縮毛矯正以外のメニューで何とかなるかもしれないと
わたしの美容院ジプシーが始まった。

髪質改善、トリートメント、ヘッドスパ、などなど
一体どれだけの美容院に行っただろう。

覚えていることといったら
わたしの髪にツヤを出すには縮毛矯正以外難しい
という事実をつきつけられただけ。

わたしの髪を見るなり明らかに「まいったな」
という顔をしている美容師さんもいた。
いや、そんな表情はしていなかったのかもしれない。
わたしの被害妄想がそう見せたのだと思う。

ヘナとカットしかメニューにない
ナチュラル志向の美容院に行ったりもした。

「お客様よりもっとすごいくせの方がいますよ。
自分のくせを好きになってあげましょう」
そうだ! 自分のくせを好きになってあげよう。

仕上がった髪を見る。

美容院を出て、近くのビルのトイレに駆け込み
持参していたヘアクリームを髪に塗りたくり
ゴムでお団子にして帰宅した。

くせ毛専門美容院にも行ってみた。

今度こそきっと!

その美容院のSNSで
お客様のビフォーアフター写真を何枚も見た。

多くのビフォーのくせ毛写真は
わたしから言わせれば全然くせ毛じゃない。

わたしの陰毛級のくせ毛に比べたらかわいいもんだ。

でもよし! 最後の望みだ! 
くせ毛専門美容院に行ったが、やはりわたしにはダメだった。

ちょっとカットをした後
わたしのくせを生かすということで
濡れた状態でムースをふんだんにつけられて終了した。
髪は湿ってムースベタベタのヘアスタイル。

駅ビルのトイレへ駆け込み、お団子にまとめた。

もう疲れ果ててすべてを諦めたわたしは
10分でカットだけしてくれる所に通うようになった。
平日の日中に行けば、そんなに混んでいない。
なるべく人に会いたくなかった。

髪をおろして外出したい。
でも無理。
一生お団子ヘアでいいや。
結べる毛があるだけいいのかもしれない。

美容院や美容師さんが悪いわけじゃない。
全て私の問題。

美の定義は、ツヤツヤまっすぐの黒髪とは決まっていない。
どんな髪型でも、自分がOKならそれでいいのだ。

救いの手が差し伸べられた


諦めたふりして心のどこかでは諦めがついていなかった。
そんなわたしに……
キター!! 

とうとう神の救いの手が降りてきた!!

見つけてしまいました! 
縮毛矯正の神を!! 

何となくYouTubeで見ていたら発見した理容師さん。
その理容師さんが話していることにちょっと衝撃を受けた。

「え? こんなことまで言っちゃっていいの?」

正直でうそがない印象。
お客様が笑顔になるために。
そんな人柄が伝わってきた。

この人なら、なんとかしてくれるかもしれない。

ただ、わたしの中に葛藤があった。
10年前
縮毛矯正のやりすぎでビビってしまったわたしのくせ毛。

ハゲか陰毛か?
究極の選択をしたあの頃の想い。

わたしは50歳をすぎた。

ビビリだけでなく、おそらく加齢もプラスされたわたしのかよわい髪。
今、縮毛矯正をしてわたしの頭皮と髪は耐えられるのか?

10年経って再度迫られる究極の選択。

ハゲか陰毛か?

今回は、ハゲを選んだ。

だって、ハゲないかもしれないし。
起きないかもしれない心配をしても仕方がない。
万が一ハゲたら、そのとき考える。
それにお団子ヘアはあきた。

わたしは、今日が一番若い。

今、自分が納得できる髪に出会いたい。
髪をおろして外出したい。

そして
自分で自分に「可愛い」って言ってあげたい。

QOL爆上がり


わたしの目に狂いはなかった。
こんな縮毛矯正があるとは、目からウロコ。


洗って乾かしただけの縮毛矯正

わたしの家から徒歩圏内には腐るほど美容院があるのに
わざわざ電車とバスを乗り継いで
かなり面倒くさい場所まで通っている。

今まで出会った縮毛矯正とは全然違う。

通い始めてから1年が経つ。

美容院を出て
駅ビルのトイレでお団子にすることなく
そのままのヘアスタイルで帰宅できる快感。

10年ぶりにお団子ヘアをやめた。
余計なヘアケア用品も必要なくなった。
朝のスタイリングが楽になった。

時短で節約。
わたしのQOL爆上がり。

そして鏡に映った自分にこう言う。
「お、今日も可愛いぞ」。


縮毛矯正の神について知りたい方は
こちらもぜひご覧ください。


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