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【読書記録】渡辺優『並行宇宙でしか生きられないわたしたちのたのしい暮らし』【こちらの宇宙では便宜上クワガタと呼びます】

同じことを経験しても、どう捉えるか、どう感じるかは人によって様々で、著者はちょっと変わった人と思われたいタイプなのかもしれません。
そして、その著者の話にいたく共感してしまった私も、自覚の無い、変わった人と思われたいタイプなのかもしれません…。

面白い表現が多々あったので、下記に引用します。

 人間が野生で生きていて六十キロで移動することってないじゃないですか。人間の限界をはるかに超えたスピードで移動しつつ、ひとをひかないように注意するって大変です。だって万が一ひいてしまったら人命にかかわるのです。ちょっとうっかりしただけで人命にかかわる可能性のある状況ってそうそうないです。そういう危険のある現場って大抵安全管理が徹底されていて、万が一が絶対に起こらないようにダブルチェック、トリプルチェック、みたいなシステムが敷かれていると思うのです。それにひきかえ車って、道路って、いろいろな意味でオープンすぎないでしょうか。車サイドはヒューマンエラーへの対策が不十分だし、道路サイドは歩行者と車を隣り合わせているし。

01運転より。
私も同じ様な考えでペーパードライバーになった過去があります…。

 それからというもの、それまではごくナチュラルになにも考えずに受けることができていた注射という医療行為が、ものすごくシュールなものに感じられるようになりました。だって、私は気づいてしまったんですけど、注射ってヤバいんですよ。血管に針を刺して直接薬を流し込むのですよ。「血管」に「針」を「刺し」て「直接」「薬」を流し込むって。そんなことあります?ワイルドすぎじゃないですか?この医療技術の進歩した時代に、直接血管に流し込んでるんですよ。薬を。針を刺して。

03注射より。
私は注射が嫌いなので、この様な思考で八つ当たりすることがあります。
著者は注射が好きな様子。

私はもともとゲーム脳になりやすい性質な気がします。『バイオハザード』にはまっていたときは外を歩くひとがゾンビに見えて怖かったし、視界の中にエイムが見えました。仲間と喋れば喋るほど好感度が上がっていく『ペルソナ3』とかをやっていたときは、現実でひとと喋ったときも好感度の上がる「ピロリロ」みたいな音が脳内で鳴っていました。

05仮想現実より。
ゲームに限らず、何かにハマるとその世界の妄想が続いてしまうこと、多々あります。
オリジナルキャラクターを生み出してしまうことも、よくあります。

 なぜひとの顔を覚えるのが苦手かというと、すごく思い当たるふしがあります。
 私は幼少期、ひとの顔を見て話すのが苦手な子供でした。というか、ひとと話すときって相手の顔を見るものなのだ、と知ったのがそこそこ大人になってからで、ひとりカルチャーショックみたいなものを受けた記憶があります。つまり、ひとの顔を判別するためのサンプルが記憶の中に少ないのかな、と。

10顔より。
目から鱗でした。私も人の顔を覚えるのが苦手です。昔から恥ずかしがり屋で、下をよく見ていた気がします。自分の中の「顔」のサンプル不足かもしれません。


非常にシュール、クスッと、いや時に爆笑できるエッセイでありました。
クワガタを殺戮する話(文字に起こすと恐ろしいですね)、とても面白かったです。(クワガタはクワガタでは実はありませんが)(便宜上「クワガタ」と呼びます)(皆さんがよく殺戮している黒い虫のことです)

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