カブト虫君の威嚇
床にカブト虫の少年が落ちていた。
カブト虫の少年てなんだ? という感じだが、赤ちゃんというと幼虫だろうし、一応もうカブト虫の形はしていたがツノがまだまだ短くて未熟な様子だったので「少年」。人間でいうと中学生ぐらいであろうか。
ゴキブリだったら天井も抜けんばかりの悲鳴を上げるところだが、カブト虫なのでそこまでの嫌悪感はない。
あーカブト虫が居るなぁと思っていただけだったが、どうにもこうにも通行の邪魔になるところにドッカと居座っている。このままでは蹴飛ばしてしまいかねない。蹴飛ばしてしまったら、カブト虫君の体がバラバラに吹っ飛んでしまうかもしれない。
それだけは避けたい……。
と思い、カブト虫君をひょいと持ち上げた。猫が興味深げに寄ってきたので鼻先にカブト虫君を持っていくと、鼻をひくひくフンフンさせていた……と、シュッ!! と強い鼻息のような音が聞こえた。
カブト虫君の足が猫の鼻に当たったのかと思い、カブト虫君を猫から離した。
ら、またシュッ!! という鋭い音が。
あれ? と、猫を見ても、猫はもうぼーっと遠くを静かに眺めて平和そうにしている。となると、音の主はカブト虫君しかいない。
カブト虫って、鳴くの?
というか、こんな音出すの? 威嚇音やよねぇ、あれは。
ちょっくら調べてみたら、詳しいことはよくワカランけど、やはり、それらしい音を発することだけはわかった。
知らなかったよ。
またひとつ賢くなったわ〜。
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