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wowakaさんと私。

お疲れ様です。緋星です。

今週は『オタクが行く!徳川美術館』はお休みして、ちょっと別のことでも書いていこうかと思います。
この文から先は口語体で書いていきますので、よろしくお願いします。

去る5/11、とある本が出版された。
タイトルは『wowaka 歌詞集』。
正直、この本を予約すべきかどうか悩んだまま、この日を迎えた。店頭で見かけて、その時は悩むことなく購入した。やっぱり予約しておくべきだった。

私が「wowaka」という人を知ったのは、10年以上前だ。
当時の私はボカロの曲を漁っていた。というのも、2000年代後半になっても我が家はわりと初期の有線のインターネット回線を使用していた。それが無線LANになってから、反動で動画を見まくっていた。

そんな中、私は偶然『裏表ラバーズ』を聞いた。当時の感想は覚えていない。「めちゃくちゃ早口」程度だと思う。
それから『ワールドエンズ・ダンスホール』を聞いた。やっぱり当時の感想は覚えていない。「キーが高い」だったかもしれない。

それからしばらくして2011年、私はニコニコ動画に登録した。
初めてニコニコ動画で見た動画は『アンハッピーリフレイン』、wowakaさんの新曲だった。
横に流れる「あああああ」のコメント。「これがニコニコか」と思った。
私のニコニコ動画との思い出はwowakaさんと共にあった。

風の噂でwowakaさんがバンド活動をしていると聞いた。
お金もなく、バンドの名前もわからない。追いかけるまではしなかった。
自分はインターネットで曲を聞くだけに留まっていた。

2017年、初音ミク10周年。ニコニコ動画に衝撃が走った。
ハチさん(米津玄師さん)が『砂の惑星』を、そしてwowakaさんが『アンノウン・マザーグース』を投稿した。
色々言われるけれども、私は好きだ。両方とも早口だ。キーが難しい。変わらないなぁ、もう。懐かしい気持ちになっていた。

2019年4月。それは出先で見たTwitterだった。訃報だった。
「wowaka 急逝」「享年31歳」
頭を殴られたような気分だった。言葉を失った。年上だけど、まだ若いじゃないか。何でだ。
その直前に「ヒトリエ」というバンドがライブを急遽中止したというニュースを目にしていた。「何かあったのか」と思った。その続報がこれだった。
ファンの方が「『令和きれいだー』って言っていたのに」と、彼のTwitter上の最期の言葉を教えてくれた。
それを知って「彼は、彼が『綺麗』だと言っていた令和にいないのか」と思った。

2021年。私はある新作アニメを見ていた。
タイトルは『86―エイティシックス―』。少年少女による戦争を描くライトノベルが原作である。
「OPカッコいいじゃん」と思っていた矢先、クレジットに出た名前は見たことがあるバンド名だった。
「『3分29秒』 ヒトリエ」
もしかしてと思って調べると、あのヒトリエだった。wowakaさんのいたバンドだった。
その歌にこんな歌詞がある。

「安心しなよ、僕達みんないつだって やることは同じさ」

無性に泣きたくなった。
主人公たちの心情も表すような歌詞だけど、この人たちはwowakaさんがいなくなっても音楽を、ヒトリエを続けていくんだと思った。
その後、wowakaさんが『アンノウン・マザーグース』を歌う動画を見た。情緒がぐちゃぐちゃになった。彼をちゃんと見ておけばよかったと後悔した。

4月5日が自分の中で少しだけ特別な日になった。
ここ2年ほどは『アンノウン・マザーグース』と『3分29秒』を一緒に聞くようにしている。

「あなたには僕が見えるか?
あなたには僕が見えるか?
それ、あたしの行く末を照らす灯なんだろう?」(『アンノウン・マザーグース』)
「安心しなよ、僕達みんないつだって やることは同じさ」(『3分29秒』)

私はまた彼の作った歌を歌うのだ。
彼が「きれいだー」と言った、彼のいない令和の世界で。

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