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松居直さんの存在

松居直(まつい ただし)さんは、
福音館書店の編集長として、後に社長、会長になりました。
また、児童文学者として大学等で講義もされており、
僕の好きな、「ぴかくんめをまわす」・「だいくとおにろく」の
絵本の著者でもあります。
大変残念ですが、2022年11月に亡くなりました。
その松居さんの、2001年9月に放送されたものを、
本日早朝、NHKEテレの「こころの時代~宗教・人生~ アーカイブ 言葉の力 生きる力」で再度放送されました。

「死ぬ」ということは教わってきたが、
「生きる」ということは教わったことがなかった・・・
という切り口。
戦争時は、そういう教育だったのだと。

松居さんの凄いところは、当時の国が薦める本も拒絶せずに読み、
頭では理解していたという点です。
でも、「これじゃない」「こうじゃない」とも
感じていた点です。

戦後、トルストイの「戦争と平和」等を読み、
「これだぁ~!!」となり、
後々縁があり、福音館書店の編集長になります。

そこで、当時はなかった、子育てについて幅広い視点から
書かれている本=「母の友」を生み出し、成功をおさめるが、
他社が真似をして、ふろく的にそのようなものを取り入れられ、
その際に、「子ども向けの月刊絵本」を創り出すことになります。

子どもたちには、ただかわいい絵ではなく、もっと本物の絵を
という信念のもと売り出すが、「全然売れなかった」と述べていました。
(200,000部刷ったが、5,000部程度しか売れず、残った150,000部は園に寄贈したそうです)
やめるしかないかなぁ・・・と思っていたら産経児童出版文化賞をとり、
続けることになります。
その後、現場から「子どもたちがとっても喜びます」という保育者の声が
あがったと述べていました。(ここ素敵だと思いました)

そして、横長の絵本にして、連続性を表現したとあります。
当時、横書きの文章はなかったし、小学校の国語の教科書は縦書き
なのだからとかなり批判されたそうですが、
今、ほとんど絵本は横書きです。(パイオニアだなぁ~と感動)

松居直さんも、松岡享子さんも昔話の素晴らしさを、
耳で聴くということの大切さと深さを感じていたのを
再認識しました。
松居さんが、絵本のテキストを作る際に、一度録音して
聴いてみて、修正するというのは、鳥肌物でした。

松居直さんも、やはり子どもを凄く信じていたのを知り、
感動しました。
松居さんがいなかったら、今の絵本は違っていたはずです。

最後に、中国の出版界は、日本の戦争の影響で
遅れてしまった・・・と言っていました。
だから隣で困っているのだから当然助けるといったニュアンスのことを
力強く述べていました。
「桃源郷ものがたり」作:松居直 絵:蔡皋(さいこう)【福音館書店】
読んでみたくなりました。

この放送を教えてくれた方に感謝と同時に、
人の繋がりとは・・・ということも改めて不思議であり、
素晴しいとも思った朝でした。

放送の内容に対しての解釈はニュアンスで書いています。

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