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[法案調査]所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とギリシャ共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件

要旨 - Summery

2024年参議院第213回国会にて議論される「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とギリシャ共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(1,2)」について浜田聡参議院議員の依頼で調査を行ったので、その結果を依頼に基づき公表する。

(1)ギリシャとの租税条約が署名されましたー財務省
(2)日・ギリシャの租税条約の署名ー外務省


背景 - Background

ギリシャの個人所得税は12,000ユーロ(1,973,918円 調査時点)以上の収入がある場合に課せられます。またギリシャの個人所得税は累進課税であり最大40%の所得税が課せられます。またギリシャ危機の影響もありギリシャの所得税は安定しておらず、すぐ変更になったりします。税率の具体的な数値については以下の様になっています。

ギリシャの累進課税制度の税率

今まで日本とギリシャの間には租税条約がないため、例えば日本企業のギリシャ支店から日本の親会社に送金すると日本の会社がギリシャで挙げた収入として、二重課税される恐れがあるため課税不安が生じる。日本の会社の中には立て付け上、すでにギリシャと租税条約があるイギリスなどの国にある店の支店とすることなどによりこの問題を回避することができることはできていたが将来的にもいつもこの方法を取れるかという不安があった。

また隣国の中国や韓国はもうすでにギリシャと租税条約を結んでおり日本とギリシャの経済交流促進のためにも対応を急いでほしいという声は以前より上がっていた。

この租税条約は両国間で生ずる二重課税を除去するために両国において課税することができる範囲を定める規定等を設け、両国の税務当局間において本条約の規定に従っていない課税についての協議、租税に関する情報交換及び租税債権の徴収共助の実施が可能になることによって、二重課税を除去し、国際的な脱税及び租税回避行為を防止しつつ両国間の投資・経済交流を一層促進することを目的とする。


法案の概要 - Method

外務省が発表した租税条約の概要

1.二重課税の除去のため、投資先の国が課税できる所得の範囲・限度税率等を想定

・不動産所得については、不動産所在地国において課税することができることとする。(第6条)

・一方の締約国の企業が船舶を国際運輸に運用することによって取得する利得については、当該船舶が他方の締約国において又は他方の締約国によって登録されている場合には、当該他方の締約国において課税することができることとする。(第8条)

・一方の締約国の企業が航空機を国際運輸に運用することによって取得する利得については、当該一方の締約国においてのみ課税することができることとする。(第8条)

・本条約の規定に従っていない課税は両国の税務当局間の協議による合意に基づき解決される。また両国の税務当局間の協議により3年以内に議案が解決されない場合には第三者から構成される仲裁委員会の決定によって解決される。(第24条)

2.脱税・租税回避行為を防止するための規定を整備

・国際的な脱税及び租税回避に効果的に対処するために、両国間における租税に関する情報交換及び租税債権の徴収に関する相互支援が導入される。(第25条、第26条)

・条約の特典の乱用を防止するため、第3国内に存在する恒久的施設に帰属する所得に対して第3国において課される租税の額が一定の額に満たない場合及び条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合については条約の得点は認められない。(第28条)

事前評価 - Assessment

1.二重課税の除去のため、投資先の国が課税できる所得の範囲・限度税率等を想定

同様の租税条約は45カ国との間で締結されてきた。対象国は欧米の主要国家や中国・韓国・東南アジア諸国やブラジル、アフリカの国まで世界中の国となっている。

今回のギリシャとの租税条約は日本が50年ほど前からさまざまな国と結ばれてきた活動の一環であるということができ、平均的な租税条約であると評価できる。

2.脱税・租税回避行為を防止するための規定を整備

租税条約では「二重課税防止」「脱税・租税回避行為の防止」という2つの仕組みを組み込むのが一般的でありこの脱税・租税回避行為の防止に関しても平均的な内容であると評価できる。

想定質問 - Discussion

・今後の租税条約を結んでいく国について

租税条約を結び、二重課税を防止していくことは日本企業が海外に進出する時の課税不安をなくすことができることにつながる。それは冒頭にも書いた通り租税条約を結んだ国との経済の活性化につながるので非常に喜ばしいことである。よって今後も世界各国と同様の条約を結んでいくべきであると考えられるが今後はどの地域を重点的に条約を結んでいこうと考えているのかを外務省に問いたい。






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