不思議で怖いこと

 不思議なことがよく起こる。あの時相談に乗ってくれた時にああ言ってくれましたよね?と言われても、自分が何を言ったのか全く覚えていない、と言ったことがかなり多い。その時になるべくそのことを思い出そうとするのだが、抜け落ちたように何も思い出すことができない。

 二重人格みたいな話では全くなく、その人と会話をしたこと自体は覚えているのだ。でも、その人に例えばどのようなニュアンスのことを言ったのかということすら思い出せないのだ。勇気づけたのか貶したのか差別したのか傷つけたのかわからないが、その内容が全くと言っていいほど思い出せない。

 おそらくは、「俺の中で解決できるほど単純なものは興味がなくなってしまい簡単に忘れてしまう」ということだろう。これがものすごく怖いことだということがわかりますか。その時確実にエネルギーを注いで何かを解決しようとしたことが、達成感と共にどこかに抜け落ちていってしまう。俺はこのことに対して自分がどんどんと崩れていってしまう感覚を感じてしまう。

 このことの他には、高校の時は何かしらのことに悲しみを抱いてほぼ毎日一人で泣いていた記憶があるけど、何がそんなに悲しかったのか全く思い出せない。トラウマで思い出せないみたいなことではない気がする。その時盛り上がっていた感情が時間を経て通り過ぎていってしまった感覚がある。

 単純に他人の情報に対しては、ほどんど忘れることはない。よくそんなことを覚えているなみたいなことも覚えていることが多い。でも自分のことは全く思い出さないのだ。自分に興味がないと言ったらそれまでだけど、果たして自分が失くした記憶はどこへいってしまったのだろうか?

 そのことを思い出すきっかけになるかもしれないと思って中学生の頃好きだった音楽を改めて聴いてみるなど抵抗してみた。これがびっくりするくらいに何にも響かなくなってしまっている。

 生物学的な人生ってじっくり時間をかけて10年周期くらいで他人になり変わり続けるみたいなことだとしたら怖すぎるな。俺が果たして変わらないでいるところとはどこなんだろうか?逆に俺の中で変わらないでいるところがあるとしたら、そういう感情に対して不気味に思うし、他人行儀に接するだろう。よく生き延びたな!ってお茶を出したりはしない。
お前はなんでずっとここにいるの?と思ってしまうだろう。逆にね。

 


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