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【PODCAST書き起こし】上方の木積秀公さんと和田尚久さんが「上方落語」と「東西落語」について語ってみた。(全5回)その2

【PODCAST書き起こし】上方の木積秀公さんと和田尚久さんが「上方落語」と「東西落語」について語ってみた。(全5回)その2

【木積】大阪でも『宮戸川』やる人結構いますけど。

【和田】前半でしょ?

【木積】そうですね。お花半七馴れ初めで。芸ある人出てこないかな。

【和田】前に鶴瓶さんがおっしゃってて。

【木積】鶴瓶師匠から広がってますものね。『宮戸川』は。

【和田】そうだよね。何の話だっけな。それこそ、『紺屋高尾』みたいなのの、向こうに持っていった噺か何かなんだけど、鶴瓶さんがおっしゃってて結構面白いなと思ったのは、花魁みたいなのをやるときに大阪弁でやるのが自然なんだけど、なんかおばちゃんになっちゃうっていうの。

【木積】語り口からなのか……。

【和田】おばちゃんになっちゃうから、あれは嘘でも東京言葉っぽくやるっていうふうにおっしゃってて、そうなのかなっていう、どういう意味なんだろうなっていうのが。

【木積】確かに、僕鶴瓶師匠の『お直し』で。

【和田】『お直し』かな? ちょっと忘れましたけど。

【木積】『お直し』と、タモリさんがおした『山名屋浦里』。江戸言葉ですね。

【和田】やっぱりそうですか。江戸言葉ってことは、「なんとかでありんす」。

【木積】そうですね。花魁言葉。

【和田】やっぱりそうなんだ。「あちきはなんとかでありんす、なんとかでおわせん」っていうあれでやるんですね。じゃあそれがそうですよ。大阪弁でやるとおばちゃんキャラになっちゃうのでって、おっしゃってて。

【木積】大阪弁ていうか、鶴瓶師匠だからじゃないですか。

【和田】俺もそう思うけど。だって大阪弁でやったわけだし、芸子さんでも遊郭・廓な人でも。上方歌舞伎とか見てても別に普通に大阪弁でやってますからね。

【木積】方正さんが志の輔師匠の『山崎屋』やってるの聞きましたよ。

【和田】『山崎屋』ですか? 『山崎屋』やりますか? 方正さん。

【木積】あれ聞きましたけど、別におばちゃんじゃなかったですよ。

【和田】だから今のは鶴瓶さんオンリーの話だろうってことですよね。

【木積】たぶん鶴瓶師匠の感触じゃないですか。

【和田】そうだよね。でも確かに東京の花魁言葉っていうのは、いろんな人間味をある種人工的に消すために作った言葉ですからね。

【木積】たしかいろんな地方から来るんですよね。だからなまりがあるから、それを隠すというのか。

【和田】そうですね。隠すって言われているけど、なんて言ったらいいのかな。わざと「あなたがたの日常じゃないですよ、私たちは」っていうレイヤーを作るための言葉のような気はするんですけどね。

【木積】だからバスガイドさんみたいなもんなのか。

【和田】バスガイドさん! なるほど。ここが別府温泉でございますみたいな感じ。

【和田】そんな感じで作った言葉なのかなって。

【和田】東京落語と大阪落語って、上方の方がはるかに理屈ですよ。

【木積】それ、言ってましたよね。

【和田】東京落語ってやっぱり理屈をすっ飛ばしてるんですよ。それでいいじゃんっていうふうになっていて。それはなぜなんだろうな。そういうつじつまを求めてないんだろうね。客も含めて。そういうカルチャーなんだと思う。

【木積】僕、和田さんから言われてはっとしたんですよね。言われてみれば理屈っぽいなと。

【和田】その例っていくつかあるんだけど、『池田の猪買い』で池田に行くときに、ここから池田に行くのにいったん紀州に行ったらいけんかい、みたいな話あるじゃん。そうするとあれってさ、「行かれんことはないけど」って言うんだっけ? どういう会話になるんだっけ?

【木積】橋で渡れみたいなやつですか。「行かれんことはない。おお、えらいな、どうやって行くのや。船で渡ろか? 泳いで渡ろか? それではことが大胆な。ほたらどないしょ?」っていうくだりでしたっけ?

【和田】そこもあるし、いったん紀州に行ってそこから、何でいったんそっちに行かなならんねんみたいな話ってあるじゃない。

【木積】紀州から池田まで行けまへんか?

【和田】それは行けるけどっていう話になるじゃない。あれはめちゃくちゃ関西落語っぽいんですよ。

【木積】そういう理屈というのか……。

【和田】そうそう。あのロジック自体が正しいんだけど、そこを東京落語であのやり取りって成立すると思います?

【木積】僕はどっちかと言ったら、そういう理屈っぽいのって江戸のイメージだったんです。

【和田】いや、東京落語にあれを持ってきても絶対成立しないです。成立しないっていうか、無理やりやったとしたら、例えば「なんだい。これから日本橋を出て箱根の山に行こうじゃないか」って言って箱根の山に行くのに「じゃあいっぺんは安房に行こうじゃないか」って。安房って千葉ね。「安房の国、安房上総の国に行こうじゃないか。どうしてそうなるんです? 安房上総から箱根に行けないか? それは行けるけどよ」って言ったところで、ギャグにならないんですよ。別に面白くない。だから、あれをねちねちやって面白いっていうのは僕関西風だなとすごく思います。

【木積】漫才芸とでもいうのか。それとはまた違うのか。それと同じやつで言えば、『桃太郎』なんかも確かに理屈っぽいところもあるのかなと思ったのが、こっちの『桃太郎』はさっき何々やったんちゃうの?みたいな、子どもが引っ張り出して突っ込むというか、大阪の変わり目にもそんなのあるじゃないですか。「ご近所がみんなぼやいてるし」って言って、それ言ったあとで「ちょっと漬物欲しいから漬物屋起こして来い。もう夜の夜中やし寝てるがな。おまえさっき寝てるってゆうたんちゃうんか?」みたいなことですよね。和田さんが言いたいのって。

【和田】そうそう。そういうこと。そこは関西風だよね。あと僕がいつも思うのは、『胴乱の幸助』とかで、「おまえ何してるのよ。何立ってんねん。立って何してる? 立って立ってんねん」っていうでしょ? あれ面白いじゃん。「立って立ってんねん」って。あれ東京落語では成立しないんですよ。「立って立ってんねん。俺は」って。そうですよねって話なんだけど、別におかしくはないわけ。

【木積】ギャグとして成立しない。

【和田】全然成立しないですよ。「立って立ってんねん」は、あれは完全に上方落語ですよ。だけどあれ聞いて面白いじゃん。「立って立ってんねん」って言ったら、そうだなってなんとなくおかしみがあるじゃないですか。理屈なんだよね。理屈をこねてる面白さかな。関西で『のめる』っていう話あります?

【木積】『二人癖』?

【和田】『二人癖』って最初、「おまえは何かっていうとのめるって言うよな。それからつまらないって言うよな。この癖をやめにしようじゃないか」ってなるでしょ? そのあとってどうなりますか? 関西って。決めたあと。

【木積】普通。癖を禁止して、確か東京でいう隠居さんみたいなところに相談に行って、なんとか言わす方法を教えてくれみたいな。

【和田】いや、そこが、俺、前談志師匠で聞いたら、決めるじゃん。そうしたら、じゃあいったん別れようぜって言うわけよ。いったん別行動しようぜって言って、これがなんか、シナリオ教室とかでこれ書いたら怒られますよ。だって別れる理由がないんだもん。これは落語特有のロジックだなと思って。その癖を禁止しようぜって言って、普通だったら呼びに来る。誰かが呼びに来る。「あ、行けない。もうこの時間だから、俺あっちに行かなくちゃならない」ってならなきゃおかしいじゃない。それでいったん別れようぜって言ってさ、それはなんか筋としてまずいだろうって。でもそれが成立しちゃうのが東京落語ワールドなんですよ。たぶん上方だと何か理由があるんじゃないの。別れる時。

【木積】なんやったかな。

【和田】一応隠居のところ行くじゃない。片方が。そこが一応自然になってるんじゃないかなっていう気がするんだけどね。

【木積】確かそうやったと思います。

【和田】あとはあれですよ。有名なケースが、この間ね、金原亭馬生の東横全集っていうのが出て、50席入ったんだけど、馬生師匠は『千両みかん』も入ってるわけ。『千両みかん』は10代目馬生さんの中で僕は代表作の一つだと思うんですけど、すごく良くできていると思うんだけど、馬生さんの『千両みかん』っていうのは、番頭がみかんを買いに行って、今は神田の須田町だよね。あそこに昔、青物市場があったので、あそこに行くんですよ。そうすると大きな問屋があって、「万惣」っていうのは本当にあったんだけど、ちょっと名前をもじってるんだよね。「千惣」って言ってたかな? そこに行って、箱を開けて開けて最後にあります。1個あります。そうすると、「これおいくらでございますか? 買って帰ります。これは千両になります」って言う。だけど上方だと、「おいくらになりますか? 命に関わるほど。どうぞ持っていってください」って言うでしょ?

【木積】はい。ただであげますって。

【和田】「いやいや、ただというわけにはまいりませんので値段をお願いします。値段をつけろ言われたら千両になります」って言うじゃん。あれがやっぱり非常に優れている型で、これもロジックだよね。「あげます。ただであげます。命に関わることなんです。いやいや、そうじゃなくて値段つけてください。つけてくれと言われたらこれは千両かかります。元手がかかってますから」って話じゃない。東京はあれないです。

【木積】いったんただであげるよみたいな。

【和田】みたいじゃなくて、いきなり千両っていうわけ。だからあそこはすごく価値観が違うよね。

【木積】そうやって言われてみれば確かに。

【和田】馬生さんのは東京型でやってるから当然ないんですよ。だから台本としては、どっちか取れって言われたらやっぱり西のほうだと思うの。だけど東京落語の場合、あそこを省くのも価値観なのかもしれない。あそこは本当は「ただであげます。値段をつけてください。つけるんやったら千両になります」っていうのが聞いてて面白いよね。

【木積】情もありますしね。

【和田】そうですね。あれはないんですよ。東京はね。さっきの話でいうと、僕落語の背景で面白いなと思うのは、『文七元結』って今、桂ざこばさんなんかがやってらっしゃるでしょ? 大阪で。あれ僕もサンケイホールで50周年記念の会を聞きに行ったんですよ。ざこばさんにすごく合ってるなと思うんだけど、やっぱり淀川で長兵衛が通りかかってやり取りしてお金投げるっていうのが、やっぱりすごく変な感じがするの。かといって淀川じゃないと、淀川以外は考えられないんだけど、小川で小さい、あそこの道頓堀とかでやるわけにいかないからさ。

【木積】人形投げ込んで。

【和田】あとから訪ねてきてね。どうですかそれは。感じない?

【木積】僕そんなにざこば師匠の『文七』聞いたことないから、細かい地名までは覚えてなかったんですけど、確かに関西で大きい川っていったらそこになるのかな。淀川に。

【和田】だから自分で言ってても不思議なんですよ。あれ別にあげる場所って河原っていうか橋の上じゃなきゃいけないということはないんだろうし、筋だけ取ってみれば、大阪だったら大阪の川でいいはずじゃないですか。だけどやっぱり世界観が違うような感じがするんですよね。

【木積】違和感を持つと。

【和田】そう。簡単に言うとね。ああいうのって、例えば生前の談志師匠と話したときに、例えば千住っていうのが地名に出てきたとするでしょ? 千住って出てきた場合は基本的に千住から動かせない。例えば『藁人形』っていう話は千住でやるんだけど、あれって筋だけ取ってみれば他の場所でもいいんですよ。品川で『藁人形』をやってもいいわけ。新宿でやってもいいんですよ。だけど、千住って言っているから千住がいいんだって。これを了見って言うんだって。僕もそう思う。なんか動かせない地名、固有名詞とかとのつながり方っていうか。そういうのも逆にざこばさんの『文七』聞いて感じたよね。『天災』みたいなのは逆に感じないですよね。あれ地名絡まないから。

【木積】確かに。どこでもいいわけですからね。そういうのと同じやつで、プライベートで会ったときに『居残り』も違和感感じるって言ってませんでした?

【和田】『居残り』は感じますね。

【木積】誰?

【和田】南光さん。南光さんで聞いたんだけど、あれも筋だけ取ったら関西で全く成立する話だと思うんですけど、あれはやっぱり品川の背景とものすごくくっついている感じが僕はするんですよね。

【木積】それってやっぱり、土地の人間やからっていうのはやっぱり……。たぶん関西人は淀川であっても感じないんじゃないかなって。そこしか知らないから。東京の地理とか関係性を。だから逆に言ったら、関西の人間が見たら東京の話が例えば移植されてたとしたら、「え? これおかしない?」っていうようなこととかって。あの、『不動坊』。あれは地名じゃないんですけど、出てくる幽霊の役させるのが噺家でしょ? なんで? って。でも怪談話っていう意味では意味は通るわな。

【和田】通りますよね。講釈師だものね。関西でやるときはね。

【木積】あれは林家菊丸の創作落語で、それぞれに意味が込められてるんですよねたしか。不動坊が不動明王みたいな。

【和田】そうなんだ。キャラクターに。

【木積】軽田道斎っていう、上方の不動坊の講釈師がそういう名前だったりとか。それに向こうだと夏だし。

【和田】東京はそうですね。

【木積】こっちは雪が、冬なのでで。

【和田】あれは冬のほうがいいですね。

【木積】でもあの演出を聞いて、夏でもやろうと思えばできるんやって。上方でも。

【和田】筋としてはね。別に脅かすだけだからね。

【木積】はめものちょっと入れ替えて、これは面白いなと思いましたけど。ただ、やっぱり僕はあそこは講釈師がいいかなって。

【和田】そういうのあるよね。講釈師がいいとか、これは冬のほうが、冬に屋根に上って雪がちらちらしてるっていうのがね。あれすごくいい風情ですよね。

【木積】大阪の『不動坊』でも噺家でやる人いるんですよ。講釈師じゃなくて。やっぱあそこは難しがってかしこまった講釈師やから、味あるんちゃうかな。

【和田】なるほどね。それはあるでしょうね。

【木積】それに東京やったら講釈師多いんやから講釈師使えばいいのに。

【和田】だから誰かが東京の『不動坊』を定着させたときに、噺家で怪談やってる人がいて、当て込んだんだろうね。例えば彦六さんとかがいる時代だったら面白いじゃん。林家正蔵の弟子でなんとかって、林家しょうなんとかっていう売れない噺家がいて、それが幽霊役をやるんだよみたいなふうにしたら一応当て込みギャグみたいになるじゃない。

【木積】なるほど。彦六の弟子でぜいろくっていうのがいて。

【和田】そうそう。ぜいろくっていうのがいてとても下手なんだけど、それやるって言ってるからみたいなふうにしたら面白いじゃないですか。それが定着しちゃったのかなっていう気もしますよね。でもそういうのってありますよね。でも、木積さんなんかは89年の生まれだとすると、いわゆるお笑いっていうのがさ、平成意向でいろんな落語じゃない笑いの芸がとてもあったじゃないですか。

【木積】そうですね。漫才番組とか。それこそM-1が2001年に始まって。

【和田】それが20歳くらいってこと? 10歳か。

【木積】12歳ですね。

【和田】12歳か。そういうふうに見ているときに落語がなぜ好きになったんですか? いろいろある中で。

【木積】最初は僕かてやっぱり漫才のほうは好きでしたよ。吉本新喜劇とかも見てましたし。落語は最初好きになったのは、やっぱり今の文枝さんの創作落語を聞いて、『作文』とか『くもんもん式』だったかな? そういうのを聞いて分かりやすいし、だからそういう意味では『芝浜』もストーリー自体落語にはまる前から知ってたんですけど、『作文』のほうがしっくりきたんですよね。子どもの作文を見て自分が反省するって、夢よりこっちのほうが俺は確かにそうやなって。

【和田】じゃあ文枝さんなんかの落語を聞いて、当時三枝でしょ? それで古典落語も聞くようになった。

【木積】そうですね。やっぱり大きいのは、この間亡くなった仁鶴さん。やっぱり『生活笑百科』の人という意味で知ってたんですけど、当時、通ってた中学からちょっと行ったところにNHK大阪放送局があったんですよ。

【和田】前も、おっしゃってましたね。

【木積】そこにライブラリースペースっていって、過去の映像とか音源とかを見れたり聞けたりするわけですよ。その中に仁鶴師匠の『不動坊』が入ってた。なんか好きになったんですよね。『不動坊』。枕と落ちをつなげるのがよくできてるなと思いました。『不動坊』って遊芸稼ぎ人っているじゃない。「昔は遊芸稼ぎ人と言いまして、明治になって技芸士になりまして、技芸士になったんや言ったら、税金が倍になりまして、昔も今もお上のやることは変わらないですが」っていうのから入って、最後落ちで「はい。幽霊稼ぎ人でございます」っていうそのつなぎかたが「おー!」って思ったんですよ。なんか伏線を拾うっていうか、なんかミステリー小説みたいでかっこいいなと思って。

【和田】前、NHKの大阪ホールが学校の近くだったって言ってて、あそこの2階のスロープとか椅子があるところで結構一人でたたずんでいたっておっしゃってましたものね。放課後とか。

【木積】そうですね。友達がそんなにいなかったから。そんなにっていうのも見栄かもしれませんがほとんどいなかったから。公開観覧とかもただですから見に行って、葉書さえ出せば見れるから。

【和田】あそこもなんかちょっと寂しいところですよね。建物とかビルとかあるんだけど、馬場町ですか? あそこ。

【木積】あれは大阪城の。馬場町とは違うな。

【和田】違うか。大阪城の横だよね。なんとなくちょっと寂しい雰囲気がするところですよね。

【木積】確かににぎやかなところではないですよね。

【和田】あそこの2階でおもてを眺めてたっておっしゃってたからね。

【木積】そんなこと僕言ってました?

【和田】言ってましたよ。ここでよく時間を過ごしてたんですよって。

【木積】寂しいやつだな。でもあそこで見たことって、今の自分にも影響を与えているっていうか、大きいですよね。考えたら何で『不動坊』好きになったかっていったら、ダイマル・ラケットの『僕は言う』っていう作品に似てるじゃないですか。だから自分の中でつながったのかな。

【和田】仁鶴さんのネタの中で何がお好きですか?

【木積】『次の御用日』ですね。

【和田】そうですか。あれもだから松鶴からだよね。

【木積】そうですね。「あ!」が面白くて。あれこっちでは今やる人少ないんですよね。東京も全くいないでしょうけど。

【和田】東京ネタじゃそもそもないからね。僕は仁鶴さんだと『池田の猪買い』。それから『兵庫船』。「おーいふかー!」っていうね。『池田の猪買い』はすばらしく良いですね。

【木積】十八番ですものね。

【和田】枕からやっぱり面白い。冬のネタじゃない。「水菜のはりはりおいしいね」とか言ってさ。これは別に本編と関係ないんだけど。

【木積】そういう昔語り多いですよね。仁鶴師匠って。

【和田】いつまでも食べてるで、みたいなこと言って、さっき言った「池田に行くにはどう行く?」みたいなあの謎の理論があって。あれだって紀州のほうにいったん行ったらいけないかっていうのはさ、あれは何で面白いの?

【木積】僕に聞かれても……。僕は逆に、『池田の猪買い』の前半ってそんなに好きでもないんですよ。なんか言ったらそれは当たり前やんみたいな同じことの繰り返し。『米揚げ笊』もたしか前半が同じなんですよね。あそこのくだりが早よ池田行ってくれへんかなって。

【和田】でもあそこって、行かないのがみそなんだよね。だってすっと行ったら、じゃあ山行こうかって話になっちゃうじゃない。

【木積】確かにね。時間が短くなっちゃうから。

【和田】ていう感じはするな。

 テキスト起こし@ブラインドライターズ
 (http://blindwriters.co.jp/)
担当:越智 美月
ご依頼ありがとうございました。
同じ演目でも、東京と大阪で落語のやり方が違うというのが大変興味深かったです。食べ物もそれぞれの地域で味付けや食べ方が違ったりしますよね。落語もそれぞれの特徴や味を生かせたら良いのかなと思いました。
今後ともよろしくお願いいたします。

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