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【PODCAST書き起し】山内ケンジさん(劇作家・演出家)と城島和加乃さん(プロデューサー)に演劇と「城山羊の会」について聞いてみた(全5回)2,山内さんが演劇を始めたこと

【PODCAST書き起し】山内ケンジさん(劇作家・演出家)と城島和加乃さん(プロデューサー)に演劇と「城山羊の会」について聞いてみた(全5回)
2,山内さんが演劇を始めたこと
【山下】最初に山内さんが演劇をやろうと思ったきっかけは何かあったんですか?

 

【山内】元々、やりたかったわけですよ。

 

【山下】それはいつごろから?

 

【山内】CMやってるときからっていうか、もしかしたらCMに入る前からかもしれないですけど。

 

【山下】それは自分で創作してみたいと思ったということですね。

 

【山内】戯曲が書いてみたいなっていうのはずっとあったんですけど。でもCMでなかなか忙しくなっちゃったからね。しかもどんどんヒットCMを作るようになって、全然それどころじゃなくなっちゃったんですけど。でも、ぼくらは城島さんとつながっていくんだけど、CMか何かで一緒にやった村松利史さんっていう俳優さんがいてね、もう今おじいさんみたいになってますけど。

 

【山下】みんな年を取りますからね。

 

【山内】その人と知り合いになって、その人は東中野に住んでて、時々意味もなくすれ違ったりもしたんですけど。

 

【山下】じゃあご近所なんですね。

 

【山内】CMにも一度出てもらって、それがきっかけで村松さんの一人芝居をオムニバスなので何本か、1本か2本を。

 

【山下】OFF・OFFシアターですよね。下北沢の。

 

【山内】どこだったかな? OFF・OFFだか駅前だかどっちかでしたね。

 

【城島】駅前だったと思います。

 

【山下】あのビルに行ったの覚えていますよ。山内さんが書いてるっていうのを聞いてたんですよね。電車の話じゃなかったっけ? 総武線の。

 

【山内】それもそうかな。何本か書きましたよ。

 

【山下】それはまたもうちょっとあとの話なのかな? それは村松さんに書いてくれないって頼まれたんですか? 短編の戯曲を。

 

【山内】そうです。それがきっかけで、それは一人芝居で。その次はすぐに3人のユニット。「午後の男優室」。

 

【山下】男優か。じゃあ男優が3人出るんだ。

 

【山内】そうそう。村松さんと岡部たかし、岩谷健司。

 

【山下】じゃあ今の城山羊の会につながってるじゃないですか。その二人が出てたのか。

 

【山内】あとコガ君とかもいたけどね。あと途中から……。誰だっけ? 女性のお笑い芸人の……。

 

【城島】鳥居みゆきさん。

 

【山内】鳥居みゆきも出てきた。

 

【城島】「ザンネンデス」と言いながらみゆきちゃんは出てました。

 

【山下】あれですか? 短いオムニバスの舞台ですよね。

 

【山内】そうそう。その3人の午後の男優室のコントを何本か提供したんです。ていうことをやって評判が良かったので、じゃあ次は長いお芝居を1本やってみたいなみたいな、そういう感じです。

 

【山下】それが最初の『葡萄と密会』ですね。

【山内】2004年です。

 

【谷】その頃はもう会社に所属していなかったんですか?

 

【山内】会社はもうやめていましたね。フリーでした。

 

【山下】フリーでしたね。すごく忙しかったですよね。

 

【山内】やめたのは92年です。会社には9年しかいないんですよ。

 

【山下】『葡萄と密会』これですね。これ新宿の劇場でやってましたよね。

 

【城島】もう今はなきパンプルムス。

 

【山下】僕も行ったんですけど、ものすごく印象に残ったのがエアコンが壊れて扇風機がバーッと回りながらだった。そのときの深浦さんの汗を目の当たりにして、なんかすごく覚えているんですよね。その身体感覚と共にすごく印象深くて『葡萄と密会』は自分の身体の暑さと共にすごく覚えているお芝居です。このときは城島さんと一緒にやったんですか?

 

【城島】はい。最初からご一緒させていただいて。

 

【山内】コントのときからいました。いなかったっけ? でもあまりいなかったよね。コントのときはね。

 

【城島】コントのときは岡部君とか岩谷君がうちの事務所に所属していて、村松さんが私のプロデュースしているミステリー演劇に出てくれていて。

 

【山下】ミステリー演劇、その頃からやってらっしゃるんですか?

 

【城島】そうなんです。それがきっかけで村松さんの一人芝居の制作をやらせてもらうことになって、その流れで今山内さんのものもやらせていただくようになって。

 

【山下】じゃあ村松さんの一人芝居のときに初めて城島さんと山内さんはお会いして仕事をすることになったということですね。そういう縁だったんですね。

 

【城島】そのときに山内さんが書き下ろしたタイトル合ってるか分からない。『ロミオ』っていう猫の話があって、深浦さんがそれをものすごく印象的に覚えていて、あんな面白い作品を書く方とご一緒できるならみたいな感じでそういう流れになった。

 

【山下】そのときはあれですか? 城島さんはE-Pin企画を設立されていたんですか?

 

【城島】そうですね。

 

【山下】それでマネジメントとかをいろいろされていたと。

 

【城島】まあ何でもやるみたいな感じ。私が元々東京乾電池だったりがあって、当時うちに所属していた九十九一さんがWAHAHA本舗の若手の応募紹介っていう作品をやったりして、そこに岩谷健司君とか古賀清君がいて、やめたあとフリーだから預かってもらえないかみたいな中で、じゃあみんなでやろうよみたいな感じで。その頃はすごくコントとショートショートの演劇の間くらいというか、そういうのを頻繁にやってましたね。それで山内さんが本を書いてくださったりして。

 

【山下】山内さんの本は独特で。山内さんって『世にも奇妙な物語』っていうドラマに脚本書かれていますよね。あれってもうちょっとあとですか?『葡萄と密会』の。お芝居を始める頃にドラマの本を書かれたような気がして。僕、フジテレビか何かで見てたんですよ。

 

【山内】分からない。覚えてないです。

 

【山下】でも同じ時期なのかな?

 

【山内】同じ時期です。『葡萄と密会』に出ている中込佐知子さんという方。彼女に『Smap Short Films』とか、『世にも奇妙な物語』に出てもらっているから同じ時期です。

 

【山下】それはたまたまそういうのが重なっていったんですか? フリーになってある時期になってっていうのがあったんですか? タイミングが。

 

【山内】フリーになって10年くらいですよね。僕は会社員の頃っていうのはすごいヒットCMとかは作ってないんですよ。さっきの本に『あいつら、おかしいぜ』に載ってるのは変なものなんだけど、たいしてみんなに知られてない。

 

【山下】コンタックのやつとかはすごい覚えてますけどね。

 

【山内】でも全然。フリーになってからヤキソバンとかをやるようになって。

 

【山下】さっきの斎藤和典さんですね。まさにプランナー&CDが。

 

【山内】そう。それをたくさん作るようになって、その10年くらいですよね。それであまりにも忙しくやってたから、このままだと好きなことができないなと。CM嫌いじゃなかったんですけれど、でもこれを続けていくっていうのは疲れるなって。

 

【山下】でもそのタイミングでオファーが来るわけですよね。そう感じているときに。

 

【山内】CMの?

 

【山下】いや、劇作とかドラマの脚本を書いてという。

 

【山内】それは、CMでいろいろヒットのものを作っていたので。

 

【山下】逆にもう前からオファーがあったということですか?

 

【山内】そう。当時はまだ30代だから、映画とか『世にも奇妙な物語』とか。でも『世にも奇妙』は東北新社経由だよね。

 

【山下】そうだったんですね。ありがとうございます。失礼しました。

 

【山内】それとか『演技者。』とかね。

(※『演技者。』(えんぎもの)は、2002年4月9日から2004年3月17日までフジテレビにて毎週月曜日(火曜日未明)に放送されていたテレビドラマ。)

その辺のは別に全部CMの知名度で来た感じです。やっぱりCM以外のものをやると、本当に好きな充実したものの感じになるからなんとなく。もっと純粋に自分が書きたいものを書くようになっていったのかもしれない。

 

【城島】私がここで聞くのも変なんですけど、CMから映画のほうにいく前に演劇をやったみたいなのは?

 

【山内】映画の話もあったんだけどうまく実現しなくて、断ったりなんかして。原作の本とか、オリジナルの映画の本も書けなくて……。だからやっぱり短編から始めたんだけど、自分で長いものをとにかく書くっていうことをできるようにならないとダメだなって。いきなり映画とかではなく、流れとしては演劇だったからやったという感じかな。

 

【山下】最初の長編の『葡萄と密会』というのをおつくりになったときは、これは最初に箱とキャストだけ決まっていたという感じですか? 昔のことは記憶にないかな?

 

【山内】いつもと同じです。箱とキャストを決めて。

 

【山下】それで山内さんがそこから当て書きをしていったと。

 

【山内】そうです。

 

【山下】山内さん、他のインタビューを読んでても当て書きをされていると聞いてます。ほぼ当て書きなんですか?

 

【山内】ほぼ、当て書き。キャストを決めてからじゃないと書けないんですよね。だからそこは問題というか、結局それで今に至るわけ。だから映画の本も、最近映画もやるようになっているんですけれども、映画もキャストを決めないと書けないわけですよ。ところがキャストっていうのはよく知ってる人じゃないと書けないでしょ?

 

【山下】そうですね。当て書きだとまさにそうですよね。

 

【山内】だから映画で、例えばすごくメジャーな芸能界の人とかをあてがって書くなんていうのは無理なんですよね。実際のところよく知らないし。万が一書けたとしてもその人が出るかどうかも分からないじゃないですか。

【山下】そうですね。出ると決まったら書けるかなっていう感じですかね。

 

【山内】演劇の場合は出ると決まっているわけですよね。

 

【山下】そうですよね。ポスターの写真の撮影もするから。

 

【山内】だから絶対出るって思って書いてるわけじゃないですか。だから難しいですよね。

 

【山下】構造的な問題があるのかな? キャストがなかなか決めにくいとかっていうのがあるんですかね? 僕、映画作ったことないので分からないですけど。難しいね。でもお芝居の場合は、この人がこのセリフをしゃべると面白いし、こういう設定にしようとかっていうふうに想像をしながら書いていかれるっていう感じなんでしょうか?

 

【山内】そうです。よっぽど知らないとダメなんですけど。もう声が聞こえてきて、その人の言い方とか。

 

【山下】そこまで?

 

【山内】そうそう。癖とか言い方とか語順とか、そういうのが全部僕の中に入ってこないと全然書けないです。

 

【山下】そのときに例えば初めてその舞台のプロダクションをやる俳優さんとかもいるわけですよね。そのときは対話したりするんですか? 例えば以前、岸井ゆきのさんとか出てましたよね。あのときは岸井さんと話しとかされたりしたんですか?

 

【山内】岸井ゆきのさんはオーディションで見てたし、なんとなく分かった。

 

【山下】山内さんの創作をどういうふうにされているのかなっていうのをすごくお聞きしたくて。

 

【山内】基本的にはそういう感じです。よっぽど知るようにならないと。初めて出る人もオーディションの場合もあるけど、オーディションは実はあまりよく分からなくて、いいなと思う人は何年かかけてその人の舞台を見ますね。追いかけて。今も何人かいますけど。

 

【山下】注目している人が何人かいらっしゃるんですね。その人が出ているやつは作家とか劇団関係なく行くっていう感じですか?

 

【山内】全然行きますよ。普通に予約して。その人がすごく活躍してるとかだとあまり興味ないんですよ。

 

【山下】それは誰かが先にやっちゃってるから。

 

【山内】そうそう。ただ、やっちゃってるけど、違う面を引き出されてないっていう場合は追いかけますけどね。それが分かる人は。

 

【山下】何回か見てるとだんだん分かってくると。キャスティングのオファーってプロデューサーの人がするんですか?

 

【山内】キャスティングのオファーは多くは僕が直接。

 

【山下】直接連絡するんですか? 事務所に?

 

【山内】したりしますね。事務所じゃなくて個人的に。

 

【城島】山内さんの妹さんがキャスティングの会社をやってらっしゃるので。山内雅子さんが私なんかよりも全然マネージャーさんとか役者さん知ってるんですよ。なので、一応山内さんがこの人っていう人に連絡してもらって、私がそのあといろいろ。初めてお声がけするときは城島さんちょっと聞いてみてみたいなのはありますけど、ほとんど私のところに来るときは決まっていることが多いですね。

 

【山内】雅子さんを経由する場合もあるけど、最近は結構DMですね。

 

【城島】Twitterのですか?

 

【山内】TwitterやFacebookの。

 

【山下】すごい! 今っぽいですね。DMを送ると返事が来るんですか?

 

【山内】もちろん。

 

【山下】それはあれですか? そのときは逆にその俳優さんは山内さんの芝居を見に来てくれたりとかっていうのもあるわけですよね。

 

【山内】うん。出たことない人はDMはしないです。何のつながりもない人は。

 

【山下】それはそうですよね。なんとなく接点があってっていうようなところからですよね。そうすると日々観劇をしていること自体が仕事につながっているっていうことになるわけですよね。

今ちょうど公演が終わったばかりですけど、創作活動がないときは結構劇場に意識的に行かれている感じ?

 

【山内】そうそう。内容なんか見ちゃいないです。俳優を見に行く。役者の演技力とその感じ。だから一つじゃダメですよね。何方向からか見ないと。他の作品も見ないと。だからその人がある程度出ていないとなかなか難しいですけどね。

 

【山下】キャスティングは結構手間がかかっているんですね。

 

【山内】あとはオーディション。

 

【山下】僕初めて聞くんですけど、舞台のオーディションっていったらどうやってやるんですか? 公募するんですか? こういう舞台出ませんかって。

 

【城島】まず自分の公演のときに折り込みしたり、Twitterとかホームページで募集して、あとは知り合いの事務所さんとかにお声がけするとだいたい集まって。

 

【山下】それは割と結構集まってくるものなんですか?

 

【城島】結構来ます。

 

【山下】山内さんがやってたら面白いのが分かっているから来るのかもしれないですね。

 

【城島】これは知り合いの制作会社のプロデューサーとも話していたんですけど、最近芝居は見たい人よりも出たい人のほうが多いねっていう話になるんですけど、知らずに見に来る人も城山羊の会が何なのかも分からずに見に来る人も中にはいますね。

 

【山下】この前「城山羊の会」の初日に行ったけどものすごい満席でしたね。三鷹が。

 

【城島】いつもよりはやっぱりちょっと少なめでしたかね。いつもは本当に当日券のお客さんとか入れない場合もあるんですけど、今回は一応全部入れたので。

 

【山下】それで創作の話に戻すと、『ワクチンの夜』も含めてなんですけど、あの設定を思いつくのってどういうふうに?

 

【山内】あれはまずキャストを決めてそれからタイトルですよね。

 

【山下】『ワクチンの夜』っていうタイトルは最初にチラシ作るときに決めておくんですか?

 

【山内】そうそう

 

【山下】じゃあそれに関するものでお題を考えていかなきゃいけないかなっていうふうに? それともタイトル決める前になんとなく漠然としてあるんですか? 今年ワクチンだよね、みたいなのがあって。

 

【山内】まあそうでしょうね。

 

【山下】そうすると前回三鷹でやったような状況になっていくっていう。家の設定で夫婦がいてみたいな。

 

【山内】それは書きながらだんだんそういうふうになっていくっていう感じですね。

 

【山下】今回これの出演をお願いしたときがまさに「ワクチンの夜」の稽古中だったので、山内さんにいただいたメールで、書きながら稽古して、また書いてるって書いてあったんですけど、それは本が稽古してどんどん変わっていってるんですか?

 

【山内】本は変わらないです。

 

【山下】セリフが変わってる?

 

【山内】いや、入ってまず覚えてもらって、動いてもらって、それを見て続きを書く。

 

【山下】そうすると頭から順番にできあがっていく感じなんですか?

 

【山内】そうそう。普通何でもそうじゃないですか。

 

【城島】稽古をしながらっていうのが。

 

【山下】面白いですよね。映画とかだと全体の脚本を作ってからっていう話があるけど。

 

【山内】映画はラストシーンから撮るとかあり得るけど、あれは単純に物理的な問題ですよね。場所の問題とか天気とか。本当だったら頭から撮りたいんですよ。

 

【山下】順撮りでね。それはそうですよね。時々そういう監督もいらっしゃいますものね。舞台はそれが普通にできるから順撮りをしているってことか。

 

【城島】稽古場では山内さんから本が追加されると、連載小説の続きを楽しみにするみたいな感じで、こう来たかみたいな感じでみんなすごい楽しみに待っているっていうか。

 

【山下】ちなみに稽古の撮休みたいなのはあるんですか?週に1回お休みとか?

 

【山内】うん。

 

【山下】それ以外毎日稽古を月曜日から土曜日までやるとしたら、山内さんは月曜日から毎日稽古していて夜か午前中に書き足していくんですか?

 

【山内】書きたいから自主稽古の場合もあります。

 

【山下】それは俳優さんたちが集まって自主稽古をするんですね。そのときは舞監の人とかがやってくれるんですか?

 

【山内】今回は岡部たかしさんです。

 

【城島】山内さんが新しく追加されたところの動きやなんかをみんなで演出して練習しておいてね、みたいな感じで。

 

【山内】最近全部そうだけど、演技の演出とかっていうことじゃないんですよ。要するにコップを持ってテーブルにおいて、それをまた持っていくとこれはなくなるわけですよね。そういうようなことの確認で、どう動いたらこれが残るとかなくなるとか、椅子がいくつ必要とかだんだんそういうのが分かってくるんです。

 

【山下】大事なことですよね。

 

【山内】そういうことを確認しながらやることもあります。

 

【山下】それはやっぱり稽古じゃないと物理的に距離とかもあるし、確認できないですものね。それとその確認はしながらだけど、続きを書くのはまた別の話ですものね。続きを書くのはそこからインスパイアされるものがあるんですか? 前半ができてきて。

 

【山内】インスパイアされる場合もあるし、その人の。だから自主稽古っていうのは要するにどんどんセリフを入れてもらって動いてもらいたいんです。本を離して。覚えている最中は、僕はあまり見てもしょうがないと思っていて、できているものを見たいんですよ。動いているものを。それを見てインスパイアされる場合もあるんですよ。そこでちゃんと動いているとその人の魅力みたいなものが。なるほどみたいなときがあったりして。でもそれがなかなかなかったりする場合もあって。でも本当は稽古の前に全部本を書いてから稽古をするのが一番いいんですけどね。

 

【山下】過去にそういうケースもあったんですか?

 

【山内】一度もないです。

 

【山下】でもそうなってくると、山内ケンジさんのやつは本が途中までしかできてないよなっていうことで俳優さんも分かってらっしゃるかもしれない。

 

【城島】それを理解の上で出てもらう。

 

【山下】それを事前にその話をしておくといいですよね。

 

【城島】ずっと一緒にやらせていただいて、なんとなく最初タイトルが決まったときには山内さんの中ではもくもくとクラウド上だけれどもあって、それをだんだん機織機にかけているみたいなそういうイメージで私たちは鶴の恩返しみたいにその部屋を見てはいけないみたいなそういう感じで。

 

【山下】雲がどんどん晴れていって見えてくるみたいな。

 

【城島】というか濃密になっていく感じっていうかそういう印象ですけどね。結局最後の着地点を知らずに役者はずっとやっているわけなんですけど、それでも普通最後どうなるのかわからなかったらできないよみたいな役者たちじゃなくて、ごく自然にその時間その空間にいる人物として流れと後半の着地点を自然に受け止めるみたいな、いい関係性ができていると思います。

 

【山下】いいですね。目の前のことに注力するっていうことなのかもしれないけど。

 

 テキスト起こし@ブラインドライターズ
 (http://blindwriters.co.jp/

 

担当:越智 美月

ご依頼ありがとうございました。

山内さんが脚本を書く際に、役者さんの特徴や良い面をとらえるために何年も追いかけるという部分がとても印象に残りました。細かいところまで見て勉強してじっくりと考えながら書くことで、良い作品ができあがっていくのですね。

次回も楽しみにしております。

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