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【PODCAST書き起こし】アングラ演劇について「梅山いつき」さんに聞いてみた!全4回(その4)水族館劇場など。

『TFC LAB Presents みんなで語る小劇場演劇』


【山下】今の2人のお話を聞いてると、水族館劇場をおやりになってたりするようなことって、オードリー・タンって知ってます? 台湾の。

【梅山】はい、台湾の。

【三浦】台湾の。

【山下】彼の発言とかを今、読んだりしてるんですけど、彼が「インクルージョン」っていうのを言っていて包摂とか包含っていうことなんだけど、もう全ての人は一緒に全部受け入れようっていうような思想があって、これからそういう時代にならないといけないんじゃないかっていうのにすごく共感してて、水族館劇場それ30年前からやっていたのかってちょっと思ったんですね。

【梅山】そうですね。

【三浦】トランプ以降、排外的なね。

【山下】トランプは分断を作ってしまったけど、やっぱり包摂していろんな貧富の差があっても受け入れて一緒に暮らして行こうねっていうのが。

【梅山】一番簡単なインクルージョンっていうのは劇場なんだと思うんですね。

【三浦】なるほどね。

【梅山】そこで格好が全然違うようなワタシとか、おっちゃんとかが肩を並べて一つのものを見るっていうのがパっと作れるじゃないですか。それが結局オンライン化が進む中でできにくくなっていると、そのトランプ政権が駆使したメディア戦略のようなかたちで分断化していってしまう恐れがものすごく付きまとってる。だからインクルージョンっていうのをどうやって作っていけるかっていうところですよね。

【山下】そうですね。だからオードリーさんはやっぱり素晴らしいプログラマーでもあるから、ITのテクノロジーを使ってでもできるんじゃないかっていうことを信じていらっしゃいますから。

【三浦】テクノロジーももちろん必要ですけど根本的には人間の持つ感情がそこに向かっていかないと、いかにテクノロジーが発展しようと。

【山下】まさにそうですね。

【三浦】そこが一番大事ですね。心のあり方がないと。今の日本にどこまでそれが期待できるのかっていう気がしますが(笑)。

【山下】でも、アングラ演劇の人達が持つ「インクルージョン」っていうのがすごくあるような気がしていて、だから異形のものとか一見変な人とかを全部目の前の身体があることによって、それを観客は受け入れようとしてて「これもいいよね」っていう感じがなんとなくアングラ演劇が持ってるすごく大事なところのような気がしてるんですね。今、三浦さんが言ったみたいに、世間はそうなってないんじゃないかっていうのも分かります。ただ、それじゃあいけないよねっていうのが自分にはあって、そこのジレンマがやっぱり自分の中にあるんですね。結論はなかなか出ないんだけど、本当にこういうのとアングラ演劇とつながってるような気がしているんですけど。

時間がアレなので、梅山さんの本の宣伝を先にしていただいて、途中で一回終わるかもしれないのでちょっともう一回また梅山さんに来ていただいて、梅山さんはある賞を受賞されたということなのでご紹介をします。少し本の高さを上げていただいて。これくらいだといいと思います。

【梅山】こちらの、佐藤信さんの幼少期から近年に至るまでの実に半世紀に渡る活動をまとめた『佐藤信と「運動」の演劇:黒テントとともに歩んだ50年』という。信さんの活動って本当に多岐に及ぶのでこの一冊だけではとても論じ切れないということで、主に黒テントでの活動を中心に論じたものになります。大変ありがたいことにAICT演劇評論賞という賞をいただくことになり。

【山下】おめでとうございます。

【三浦】おめでとうございます。

【梅山】ありがとうございます。『アングラ演劇論』っていう一冊目の本でもいただきまして二回目の受賞ということで、本当にそういうかたちで賞をいただくと著者としては励まされますので。本当にありがとうございます。ぜひ、こちらはまだ書店に並んでいますのでお手に取っていただきたくて。もう一冊の『アングラ演劇論』のほうは、2012年に同じく作品社から出させていただいたんですが残念ながら今絶版状態で、

【山下】再版が決まったんですよね?

【梅山】はい。こちらに、出した初版のときにはちょっと間に合わなくて入れられなかった寺山修司についての章を書き足して増補改訂版というかたちで今年出版予定ですので合わせてこちらのほうも読んでいただけますと幸いです。

【山下】ありがとうございます。僕はこの二冊両方とも読ませていただいたんですけど、佐藤信の人となりがすごく面白くて、この本が。佐藤信ってある種経営者でもあるじゃないですか。

【梅山】はい。

【山下】昨日、三浦さんが世阿弥の書いた『風姿花伝』の話をしていて、世阿弥は経営者だっていう話をされてたんですけど、それにすごい近いなって。あと運動体を作っていくって企業もそうじゃないですか。その辺の話を、今日は時間がないので次回も来ていただいてちょっと話をしていただきたいと思います。

【梅山】ぜひ、よろしくお願いします。

【山下】それで最後に私が宣伝と、終わってどうだったかっていう話を三浦さんと梅山さんにしていきたいと思います。
TFCのPodcastのBRAIN DERAINではこういったお話をしたことを文字起こしをしてまして、何カ月かちょっとあとですけどnoteに載せます。だからこれが全部活字になっても出てくるし、音声コンテンツとあと動画でYouTubeも配信をしています。

今日はどうでしたか? 三浦さん。

【三浦】梅山さんとお話させていただくということで、久しぶりに過去に見た舞台をちょっと書き出してみてたんですけど、そのときのことが思い出されて、非常に懐かしいって言うといけないんですけどやっぱり時間の経過を経てるのでどうしても懐かしさっていうのは払拭できないんですけども、梅山さんが持っておられるような視点で自分ももう一回あのときの「転位」はどうだったのかな? とか、幸いにして今資料もいろいろ手に入りますから、「第七病棟」ってどうだったんだろう? とか、その辺りのことをもう一回振り返って。

太田省吾のことも結構書かれてるんですか? 梅山さんは。

【梅山】まとまったかたちでは出してませんけど、演博時代での展示で資料にはかなり触れさせていただいてますね。

【三浦】偉大な人達がいた時代なので、そういう人達の仕事をもう一回今の自分として考えてどうなんだろうっていうのももう一度読み返したりしようと思いましたとともに、水族館劇場を見て、あと早稲田の演劇博物館も見てそれを見たあとでもう一回梅山さんとお話できればいいなとすごく思います。

【梅山】そうですね。どちらも5月ですので。ものね。

【山下】そうしましょう。それいいですね。じゃあ5月か6月ぐらいに一度。

【三浦】水族館劇場を見てからのほうがいいと思います。

【山下】そうですね。それがいいと思います。じゃあそういったかたちで。
今日は梅山さんわざわざ大阪から来ていただいて本当にありがとうございました。いかがでしたでしょうか?

【梅山】やっぱり山下さんのこの企画だからこそだなと思ったのが、ただアングラ演劇について話をするのではなくて
メディアとの関わりの中で、また特殊なオンライン化が進んでいるこの去年からの状況の中で、どんなことがアングラ演劇から応用できるのかって
いう話ができたのが面白かったなと思ってるので、
ぜひもし機会をいただけるようでしたら黒テントのこと、佐藤信さんの運動の話とも結び付けながら、このオンラインが進む中で演劇に一体何ができるのかっていうようなこともこのPodcastの企画だからこそ話ができるといいかなと思っておりました。

【山下】ありがとうございます。狭く深くやっていきたいと思います。
っていうことで今日はちょっと時間切れで終わりますけど。また僕と三浦さんが水族館劇場を見たあとに梅山さんとお話をしたいと思いますので。いろいろと今日はありがとうございました。

【梅山】ありがとうございました。

【三浦】ありがとうございました。

【山下】では、カメラに向かってさようならー。

【三浦】さよなら。

【梅山】さよなら。


---- 担当: 前田 愛 ----

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