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【PODCAST書き起こし】<新企画>谷さんの観劇日記2021年4月(全2回)その1

【PODCAST書き起こし】<新企画>谷さんの観劇日記2021年4月(全2回)その1

【山下】皆さん、こんにちは。BRAIN DRAINのお時間です。「みんなで語る小劇場演劇」ということで、今回から新企画「谷さんの観劇日記」ということで……。谷さん、おはようございます。

【谷】おはようございます。

【山下】MCを務めるのは山下です。メインで今日ポッドキャストを話していただくのが……。

【谷】谷と申します。よろしくお願いします。

【山下】うちの執行役員の谷です。東北新社グループで多分今、一番お芝居を見てる人だと思います。ということで、谷さんが4月に見たお芝居についてお話ししていきたいと思いますけど、ここに谷さんに作っていただいたパワーポイントがありますけど、見れますよね? 4月になんと12本。

【谷】12本見ましたね。

【山下】1本中止ってことは、13本見ようと思ってたと。

【谷】ええ、取ってたのは13本分ですけれども、緊急事態宣言によって最後の『パンドラの鐘』というのが……やってたんですけども、中止になっちゃった。

【山下】『パンドラの鐘』って、野田秀樹さんの戯曲ですね?

【谷】野田秀樹さんですね。本当に見たかったんですけど。

【山下】緊急事態ですのでね。

【谷】すごく残念でした。地方でも今やってるのかな? 地方公演で全国回ってますけども。

【山下】ってことは、チケット払い戻し?

【谷】払い戻しですけど、そうですね。東京芸術劇場なんで、ちょっと行かなきゃいけないんで。

【山下】手間が大変ですよね、本当に。っていうことで、今月から毎月、谷さんが見た芝居について、いろいろ語っていきたいと思いますけど。

【谷】ちょっと裸にされそうで嫌なんですけど(笑)。

【山下】いいじゃないですか。上着とか脱いでいただいても大丈夫ですよ。

【谷】いやいや、いいです。

【山下】あ、そういう意味じゃないですね。っていうことでまず1番の、近藤企画『更地の隣人』、アトリエ春風舎というのがございますけど、これはどんなお芝居ですか?

【谷】これはですね、アトリエ春風舎って、ご存じの方はご存じなんですけど、青年団の関連の施設でありまして。

【山下】小竹向原。

【谷】はい、そうです。小竹向原から、駅2‐3分ぐらいの所に。まあ遠いようで意外と近い。

【山下】意外と近い。ゴルフ練習場通過してね。

【谷】そうですね。それで、まあ始まるのも大体遅いので。ちょっとここら辺の時期だと安定感ないんですけど、開始時間については。

【山下】コロナですからね。

【谷】会社終わってからも行けるような所で。近藤強さんっていうんだと思いますけども、青年団の役者さんが企画した作品を平松れい子さんという方が作、演出でされた作品です。チラシを持って来ました。こんな感じですね。

【山下】これですね。ありがとうございます。

【谷】ちょっとなかなか難しい話でありまして。未来の話なんですけど、令和18年の話でございまして。

【山下】令和18年ってことは15年後ってことか。

【谷】ええ。それで、土砂崩れがやたら起きてインフラが使えない状態で、人というよりは妻と、相手の人は夫を探すという。

【山下】ふーん。

【谷】なんかかみ合わない2人が交流していくというところの話で、なんか過去を最終的には決別して、爽やかな感じで終わるっていう芝居でした。

【山下】なんか地球温暖化とか関係あるんですかね?

【谷】多分そうだと思います。1時間40分ぐらいの話だったんですけどね。まあまあいい作品でしたね。

【山下】うーん。

【谷】企画は、多分近藤さんっていう方がいろいろ持ってたものを吐き出したんじゃないかなと思います。

【山下】なるほど。近未来の舞台と。

【谷】はい。

【山下】あれですか、舞台は対面で見る形式ですか?

【谷】そうですね、対面ですね。

【山下】今は小劇場の小屋は、周りで囲んで見たりとか。

【谷】いろいろ、やり方がありますよね。

【山下】両方から見たりとかね。アトリエ春風舎もそういう仕立てができるので。

【谷】その前の月かなんかはね、靴脱いで入らされた。

【山下】いいですね(笑)。

【谷】隣が山内ケンジさんでした。

【山下】ああ、ケンジさん。ああ、すばらしい!劇作家の山内ケンジさんが隣にいらっしゃると。それもアトリエ春風舎と。

【谷】そうです。

【山下】それ、3月の公演?

【谷】それはね、確か3月だったと思いますね。

【山下】ああ、なるほど。実は谷さんは、青年団の支援会員なんですよね?

【谷】ええ。アゴラ……なんていうんだ?

【山下】アゴラ劇場支援会員。

【谷】こまばアゴラ劇場の支援会員で、去年から入ったんですけれども中止が多かったんで、今年まで全部去年の会費で見せてくれるっていうことで。

【山下】見れるの?

【谷】年会費3万円かな?

【山下】年間3万円でね、お芝居見放題。

【谷】本当に。見放題でやってる。青年団だけの話じゃなくて、いろんな外からの劇団とかもやってくれてるんで、劇団と知り合うのにはすごくいい場所ですよね。

【山下】まあねえ、谷さんも、そんだけ一生懸命通われてるんですけど。

【谷】まあ、全部行くように頑張ってます。

【山下】すごい! 全部行くと50本ぐらいになるんじゃないですか、1年間で。コロナじゃなければ。

【谷】多分そんくらい。週1……まあ、こまばアゴラ劇場とアトリエ春風舎の2つがありますから。

【山下】あと、京都の劇場とかも入ってますよね?

【谷】さすがにそこまでは行かないですけど。

【山下】豊岡とか。

【谷】いろいろありますよ。他にもありますし。

【山下】そうすると、多分1本単価が800円ぐらいで見れるというような。

【谷】まあ、そんな感じなんでしょうかね。

【山下】会員さんが割といて、会員さんから先に入れるんですね?

【谷】そうですね。予約も会員からできますんで。

【山下】ですよね。是非、青年団関係のお芝居が興味ある人は、是非会員になられることをおすすめしたいと思います。

【谷】はい、そうです。そのとおりでございます。

【山下】続いて、KERACROSS『カメレオンズ・リップ』、シアター1010(センジュ)。

【谷】これは、北千住の劇場になぜか私、行っちゃったんですけども。

【山下】これ、東宝ですよね、主催は。

【谷】シアタークリエが本チャンなんですけど、なぜか。

【山下】シアタークリエですよね。なんでだろう。なんでシアター1010でしたんだろう。

【谷】なんでか分かんないんだけど、北千住の劇場で先行してやってたんですよ。

【山下】うーん。じゃあ、千住の後にシアタークリエに行ったんだ。

【谷】そう。

【山下】あー。

【谷】その間に、どっか行ってるかもしれないですね。

【山下】はーはー。

【谷】このKERACROSSっていうのは、ケラリーノ・サンドロビッチさんの作品を……。

【山下】ナイロン100℃のね。

【谷】他の人が演出するというシリーズで。

【山下】そういうシリーズですよね。

【谷】これで3本目かな。一番最初は『フローズン・ビーチ』で。

【山下】ああ、そっかそっか。そうでしたね。

【谷】鈴木裕美さん、さっきのお話にも出ていましたけど。鈴木裕美さんで、2年前ぐらいに『グッドバイ』という作品を生瀬勝久さんが演出でやって、今回は盟友なのかな、河原雅彦さんが演出したということで。

【山下】河原さん、HIGHLEG JESUSのですね。

【谷】3本目ということになって。なんか山荘を舞台にしたクライムコメディーというやつですかね。

【山下】クライムコメディー。

【谷】出演者が……この人のおかげで女性がすごく多くて。松下洸平さん。

【山下】うんうん。

【谷】知ってますよね? 朝ドラとか出て。

【山下】俳優、タレントで超有名じゃないですか。甘いマスクの。

【谷】あと、生駒里奈さん。

【山下】ああ、生駒さんも出てたんだ。じゃあ、チケット取れないじゃないですか。

【谷】だから、僕は北千住を狙ったんですけどね。

【山下】ああ、なるほど。

【谷】そしたら、意外とおばちゃんとかいっぱい、地元のおばちゃん。

【山下】「松下洸平君見たいわー」みたいな。

【谷】じゃなくて、シアター1010の会員みたいな。

【山下】あるんですね。

【谷】会員枠で取った人が、多分来てるんでしょうね。

【山下】じゃあ、シアター1010のそういうので呼んだのかもしれないですね。うーん。

【谷】あとは、岡本健一さん。

【山下】ああ、もう錚々たるメンバーですね。

【谷】とかが出てましたね。これは、なぜかチラシが全然配られてなくて。チラシ作ってないんじゃないかなー。

【山下】チラシ、今減ってますよねー。

【谷】ポスターだけは拾いましたけれども、そんな感じで。

【山下】紙がだんだん減ってきてるっていうのもあって。

【谷】無くなりまして。音楽は東京事変の伊澤(一葉)さんという人がやられてたということです。

【山下】東京事変、すごいスタッフですね。へー。このKERACROSSって、なんか東宝の製作部がケラさんにやりたいって言いに行って、「ケラさんのやつを他の演出がやりたいんですよ」って言ったら、ケラさんが「3本ぐらいで終わっちゃ駄目だよ」って言ったらしいですね。

【谷】ああ、そうですか。

【山下】「続けないと絶対駄目だから」ってね。

【谷】うんうん。

【山下】僕もこのポッドキャストを始めるときに、田中さんと吉武さんに「これ続ける覚悟ありますか?」って言ってね(笑)。そしたら「続けます」って言うから、「じゃあやってみようか」って言って始めたんですけど、まあケラさんも同じことをおっしゃっていたということですね。

【谷】まあケラさんも作品はいっぱいありますから、どういう切り口で何をやりたいかっていうところじゃないですかね。

【山下】ですよね。

【谷】いい試みだと思います。ケラさん自身も人の作品、チェーホフとかやってますし。

【山下】そうですね。

【谷】そういったかたちで世の中に知られるっていうのはね、ケラさんだけのものにするのももったいないかもしれないですし。

【山下】もったいないね。ケラという共有財産をね、みんなでいろいろと活用しようと。

【谷】いいことだと思います。

【山下】ということで、KERACROSS、シアター1010。北千住も、本当は飲み屋がいっぱいあって。

【谷】本当行きたいところなんですけどね。

【山下】コロナがなければ。

【谷】安くていいんですけどね。

【山下】前、谷さんと行った北千住の店ね、アジフライが美味しかったですよねー。あれ、なんていう店でしたかねー、本当に。

【谷】もう忘れちゃいましたけど、刺し盛りもすごく安くて。

【山下】すばらしい! あそこは、今度またなんか北千住のやつがあって、コロナが明けたらポッドキャストでご紹介したいと思いますけど、店の名前調べておきます。
(※「じんざえ門」です)

【谷】それを紹介するんですね?

【山下】もちろんです。

【谷】(笑)。

【山下】演劇を見て飯を食う。これがいいんですよね。

【谷】そこで語るというのが、意外と。

【山下】演劇ファンの一番楽しいところですからね。

【谷】楽しいところですね。

【山下】なので、今は、直行直帰なので、悲しいですけどね。

【谷】悲しいです。

【山下】続いて3本目は、M&O、はくちゅうむ、本多劇場。

【谷】これは『白昼夢』ですね。

【山下】『白昼夢』。
M&Oplaysっていう。

【谷】そうですね。

【山下】これ、ずっとシリーズで、このプロデュース公演をやってるんですけど、これどんなやつですか?

【谷】これは、今の『カメレオンズ・リップ』と2本立てで見たんですけれども、本多劇場に移動して見てきました。チラシはこんな感じですね。

【山下】チラシ、これです、これです。

【谷】見てお分かりのように……。

【山下】すごいメンバーですね。吉岡さん。

【谷】吉岡里帆さんと、主役は一応三宅弘城さん。

【山下】あ、三宅さんね。

【谷】で、荒川良々さん。

【山下】荒川良々。

【谷】赤堀雅秋さん、風間杜夫さんと。

【山下】これ、赤堀雅秋さんの作、演出ですね?

【谷】そうです。

【山下】オリジナル、書き下ろし戯曲。

【谷】はい、もちろん。

【山下】どんな話だったんですか、『白昼夢』。

【谷】荒川さんが次男坊で、三宅さんが長男で。

【山下】うんうん。

【谷】12年間家に引きこもってる。40ぐらいかな。

【山下】荒川さんね。

【谷】ええ。それと、年金暮らしの風間さん。

【山下】ああ、そうかそうか。

【谷】この生活に、要は荒川さんを外に連れ出そうというべくして長男、三宅さんが依頼して、支援団体、ちょっとうさんくさそうに見えるんですけど、赤堀さんとその助手的な。

【山下】吉岡さん。

【谷】吉岡さん。

【山下】へー。

【谷】そういう感じの筋で。

【山下】支援団体って、NPOみたいな?

【谷】そんな感じですかね。

【山下】ふーん。

【谷】で、生活感溢れる。

【山下】セットで。

【谷】まあ、あの方の場合はね、セットがすごい、いつも。

【山下】赤堀さんのセットは、大体生活感溢れる、なんかブルーカラー演劇とか言われますけど。

【谷】これはブルーカラー的な要素はなくて。

【山下】なかった。

【谷】本当に、その中の、家の中の風景だけでうまく演じてて。

【山下】ふーん。

【谷】四季を描いてるんですね。

【山下】春夏秋冬で。

【谷】夏から始まって、四季を巡って、最終的には良々さんが出て行けるっていうようなドラマっていうか芝居だったんですけど。これ、なんと最前列のど真ん中の席だったんですよ。

【山下】へー、すごいじゃないですか。

【谷】どうしても、吉岡里帆さんばっか見ちゃうんですよね(笑)。

【山下】なるほど。

【谷】だから、ちょっといかんなと思いつつ、目ってやっぱり最前列だと左右に行きづらいんですよね。

【山下】吉岡里帆さん、結構真ん中に立つことが多かったんですか?

【谷】多かった。

【山下】ああ。じゃあ、それはしょうがないよね。

【谷】それで、かわいいし(笑)。

【山下】吉岡さんって背が低いんですか?

【谷】いや、そんなでもないんじゃないかな。

【山下】へー。どんな人なんだろう。

【谷】なんかいろいろ……でも訳ありの女性役で。

【山下】ふーん。

【谷】なかなか赤堀さんが演じてた人も、急になんか変な格言言ったりするわけですよ。それが良かったりして、これぞ赤堀ワールドっていう感じの作品でした。

【山下】へー。そうですね。これは最終的に、引きこもりの荒川良々は外に出て行くことになったの?

【谷】ええ、出てきました。

【山下】そのきっかけは、どういうあれなの?

【谷】うーん、どうだったかな? そこまではちょっとそこまでは、細かいところは忘れちゃいましたけれども。

【山下】なるほど。

【谷】いい話でしたよ。

【山下】全体的に、割と心暖まるような感じなの?

【谷】そうですね。あ、ただ、結構荒川さんが荒んでたから。

【山下】その荒み方が割と極端。

【谷】そうそう。半端なくね。

【山下】どんな荒み方だったんですか?

【谷】いや、だから切れたり。

【山下】あー、逆に。

【谷】そういう感じですよ。

【山下】家庭内暴力を振るうみたいな。

【谷】そうそう。

【山下】あー。

【谷】お父さんである風間さんも、あんまり体調が良くなかったり、っていう感じですね。

【山下】お母さんは、ここはいないんだ。

【谷】お母さんはね……。

【山下】お父さんと息子だけ。

【谷】そう。先立たれたんだっけな。ああ、そうそう、多分そうだと思う。

【山下】これからこういう家族増えるかもしれませんからね、本当に。

【谷】そうですね。8050問題……。

【山下】そうですよね。

【谷】なんかを描いたというような感じですね。

【山下】8050といえば、昔、松尾スズキさんと安藤玉恵さんが、二人芝居やってましたけど。

【谷】ああ、やってましたね。命なんたらかんたら(※注:『命、ギガ長ス』)。

【山下】あれも面白かったですけど。M&Oプロデュースは割と非常に面白いやつが多いので、M&Oプロデュースという言葉を見たら。

【谷】playsですね。

【山下】playsか。

【谷】M&Oplaysプロデュース。

【山下】M&Oplaysプロデュース。割とちゃんとしたプロデュースをしているので、なかなか面白いものに出会うと思います。ということで『白昼夢』でした。

【谷】Day Dreamなんですかね、英語で言うと。

【山下】ああ、そうか。Day Dreamって書いてあるかな。続いて、ゴジゲンの……これ、なんて読むんですか?

【谷】スバルって読むんです。

【山下】朱色の朱に春、スプリングで、『朱春』。

【谷】『朱春』。

【山下】スズナリでやったやつ。

【谷】はい。

【山下】これは、どんなやつですか? 松居大悟さん。

【谷】ええ。ゴジゲンは松居大悟さんで、ゴジゲンってもう結構長くやってて17回目の公演らしいんですけど、初めてスズナリに出たということで。

【山下】これですね、チラシ。

【谷】ええ。で、青春って言葉があるじゃないですか。

【山下】はい。

【谷】青春の次は壮年かな? 朱夏っていうの。朱春の朱に夏。

【山下】年齢の。

【谷】それが、朱夏ほどではない、朱春ぐらいっていうときを……。

【山下】そういう意味で、春なんだ。

【谷】ゴジゲンのメンツが演じる。

【山下】それは年齢でいうと、何歳ぐらい?

【谷】35とか。

【山下】を、この朱春という言葉にしたんだ。

【谷】多分造語だと思いますけど。

【山下】なるほどね。

【谷】なんかコントやる集団が、言ってみれば解散する。

【山下】なんか今ドラマでやってるみたいな話じゃないですか。

【谷】そうそう。

【山下】あのコントのやつ、面白いじゃないですか。

【谷】もう少し年齢層が上なんですよね。

【山下】あれは28ぐらいだもんね、あの子たちは。

【谷】そうですね。『コントが始まる』でしたっけ?

【山下】そう。面白いですね、あれ。

【谷】面白いですね。

【山下】あの3人がすごくいいです。あれを見守る女の子2人。有村架純と、もう1人の女の子、名前なんだっけ?

【谷】古川琴音さん。

【山下】ああ、琴音さんね。あれ、有村架純と菅田将暉が出てると映画『花束みたいな恋をした』を思い出すんですよね。

【谷】そうですね。

【山下】「あ、これ、坂元裕二かな?」と思ったら、作家は違う人でしたね。

【谷】誰でしたっけ?

【山下】金子茂樹。

【谷】あ、なるほどなるほど。

【山下】金子茂樹って人が作者です。まあ、どうでもいい話だね。

【谷】ということで、松居さん、僕初めて見たのがスズナリで、長塚さんの芝居を。

【山下】長塚圭史?

【谷】ええ。長塚圭史さんの芝居を役者と演出した『イヌの日』っていうのがありまして。
それを初めて見て「ああ、この人いいなー」と思って、それからゴジゲンっていうのを知って。

【山下】それは「松居大悟がいいな」ってところから知ったの?

【谷】そうそう。

【山下】なるほど、なるほど。

【谷】だから松居大悟いいなーと思って、そしたらテレビとかいろいろ出て。

【山下】そうですよね。今はもう鮮明ですよね。

【谷】メンバーも、それぞれいろいろな所でやってて。

【山下】へー。

【谷】結構、今、売れ始めてる。で、松居さん自身もなんでしたっけ、『バイプレイヤーズ』。

【山下】『バイプレイヤーズ』は脚本書いてますからね。

【谷】あと、映画で『くれなずめ』っていうのが、ちょうどこのとき、本当は公開する予定だったのが、なんかコロナで延びちゃったみたいですね。

【山下】『くれなずめ』ね。

【谷】それも、僕、舞台で見ましたけど、それも面白かったですね。

【山下】ああ、そうですか。

【谷】成田凌さんが主演で、今回は、やってますね。

【山下】へー。映画『くれなずめ』、ちょっとチェックします。『朱春』ですね。

【谷】『朱春』です。読めないですね。

【山下】読めないです。もう1回チラシを谷さん、出してください。『朱春』、これですね。

【谷】はい。『朱春』、これです。

【山下】ありがとうございました。続いて『朱春』の次は、これは僕は見たことない。グループ・野原『自由の国のイフィゲーニエ』。全然、イフィゲーニエが分からない(笑)。こまばアゴラ劇場。

【谷】これは、説明が僕もできないんですけども。

【山下】そういうのがあっていいですね。

【谷】これもアゴラ会員だから行った作品で、グループ・野原っていうのは演出家の蜂巣ももさん。

【山下】ああ、蜂巣さんね。

【谷】……たちが立ち上げた第1回目の公演なんですよ。

【山下】あ、それは知らないよね。

【谷】ええ。さっき聞けば良かったな。小山さんとかはご存じかと思うんですけども、ドイツの作家のフォルカー・ブラウンという方がいて、その人が92年に発表した戯曲を。

【山下】この『自由の国のイフィゲーニエ』。

【谷】ええ。なんかベルリンの壁崩壊から東西ドイツ統一の間に執筆された作品なんですけれども。

【山下】なるほど。

【谷】ギリシャ悲劇の登場人物やシーンを用いて、現代語で描いてると。

【山下】ギリシャ悲劇。

【谷】だからね、難しいんですよ、すごい。

【山下】なるほど。

【谷】僕も杉原邦生さんの芝居で、ギリシャ悲劇を結構……。

【山下】見ましたね、8時間。

【谷】『グリークス』とか見て頭に入ってたんだろうけど、なんかよく分かんなかった。でも、演出がすごくきれいでしたね。照明の使い方が、黄緑色の照明がすごい印象的。

【山下】この野原のですね?

【谷】ええ。野原だから黄緑なのか、作品に合わせて黄緑なのかは分かんないですけども。これはチラシはありませんね。

【山下】なるほどね。

【谷】1時間15分の短めの。

【山下】これチラシじゃないの?

【谷】チラシじゃないんです。なかったんです。

【山下】なるほど、なるほど。なんかあれですよね。最近本当にチラシを手に入れるのが結構難しくなってきて。

【谷】そうなんですね。劇場に行くともらえるケースと……。

【山下】コロナで。

【谷】あえて配らないケースがあるんで。チラシってやっぱり一番、前にも言ったんですけど、結構力あるんですよね。

【山下】そう。これで見に行くか決めるかですね。

【谷】「このチラシ見て行こう」とか思ったりすることがあるんで。

【山下】未だにそうですけどね。

【谷】それができなかったりする。

【山下】谷さん、「おちらしさん」って……。

【谷】「おちらしさん」来ます。

【山下】「おちらしさん」に登録すると、無料。

【谷】大体、もう遅いんです、あれ。

【山下】あ、そうなんだ。俺は、あれでもう十分なんだけど。そうなんですね。

【谷】だから結構、無チラシで行くっていうのは多くなってきましたね、この時代だから。

【山下】ああ、増えましたね。そうですよね。あと、なんかさっき言おうと思ってたんだけど、我々って西洋的な教養があまりないから、ギリシャ悲劇とかあんまり知らないじゃないですか。シェイクスピアも知らない人は知らないし、あとキリスト教の旧約聖書、新約聖書、あとダンテの『神曲』とか、あの辺の知見がないと、やっぱりその辺のベースにしたやつを見ると「あ、これは分からないな」ってなっちゃうんですよね。

【谷】いや、だから、本当に学のなさを痛感してますよ。

【山下】いや、ただね、それはやっぱりしょうがないかもしれない。

【谷】シェイクスピアも、芝居見てれば本当は入ってても良さそうなんだけど、僕は逆にそっちはあんまり見てきてないから。

【山下】僕も芝居であれだけど、『ロミオとジュリエット』ぐらいじゃないですかね、みんな知ってるっていったら。

【谷】ええ。

【山下】だから、そこの教養が、やっぱり文化が違うんだな。とはいえ、我々「四十にして惑わず」とか『論語』の言葉は知ってるわけで、まあそういうものなのかなという気もしてますけどね。いつも、でも僕らもコンプレックスありますよ。

【谷】なかなか、やっぱりとっつきにくいっていうか、入りづらさがあるんで、芝居見て覚えてくしかないのかなと僕は思ってますけどね。

【山下】それをちょっと西洋の人と語ってみたいですけどね。

【谷】うーん。

【山下】「あんたら、どう思うの?」みたいなのが、ちょっと気になってますけど。

【谷】まあ、だけどそれは彼らの環境だから、思うというよりは、それが自分の土壌にあるんじゃないですかね。

【山下】そうですね。そこはちょっと対話をして深掘りしてみたいですけど、それはちょっと次の機会にということで。続いて、世田谷パブリックシアターでやった『パークビューライフ』。

【谷】ちょうど折り返し地点ですね。

【山下】これも、またすごい。岡田惠和作。

【谷】ええ。『パークビューライフ』、岡田惠和さんって、テレビの脚本で超有名な方ですけれども、この人が作で演出は田村孝裕さん。

【山下】ONEOR8のですね。

【谷】ONEOR8の方で、主演が風間俊介さん、倉科カナさん、中川翔子。

【山下】しょこたん。

【谷】しょこたん。あと、前田亜季さん。

【山下】もう超有名な人ばかりじゃないですか。

【谷】4名が演じてる作品で、場所が新宿御苑なんです。これを収録してる。

【山下】新宿御苑の公園?

【谷】御苑を見渡せるマンションの最上階に住んでる。

【山下】いいねー。だから「パークビュー」なんだ。

【谷】そう。それが、風間君が絵描きなんですけど、金持ちの息子の。そこに、コロナ禍でなんか職を失っちゃった幼なじみの3人が、この倉科さんと中川さんと前田さんなんですよ。

【山下】うんうん。

【谷】それが、故郷の岡山に帰る最後の日に風間君と出会って、そこからなんと一緒に住み始めると。

【山下】うーん。

【谷】だから、今このコロナ禍だからあり得るタイミングとか。

【山下】それは意識して。マスクとかしてるの?

【谷】いや、マスクはしてなかったかな。

【山下】なるほどね。

【谷】この2人、岡田、田村さんていうのは、19年、2年前に『不機嫌な女神たちプラス1』っていうので、やっぱり同じシチュエーションで、男1、女3っていうのをやってるんですよ。ちょっと夢物語的なところなんで、あり得ない会話とかあり得ないシチュエーションはあるんですけど、やっぱりそこは夢なんですよね。なんで、ついほっこり笑顔になっちゃうと。

【山下】うーん。

【谷】当たり作品でした。本当に。

【山下】いいじゃないですか。あ、でも、ここに書いてあるけど「僕ゲイなので」って言って。

【谷】いや、それ嘘なんです。

【山下】これ嘘なんだ。

【谷】ええ。

【山下】なるほど。

【谷】だから安心してくださいって言って、別にそれでやましいとかも何もなくて、それで生活が始まる。

【山下】じゃあ、この女の子3人と暮らすんだ。

【谷】そう。

【山下】そんなすごい話があるんですね。岡田惠和さんって『ちゅらさん』の脚本家ですよね?

【谷】あ、そうでしたっけ。

【山下】違ったかな。ちょっと調べます。あとでスーパーに入れますので、お許しください。(※ そうでした!)

【谷】ちょっとチケットの値付けが高かったですね。ちょっと空席が。

【山下】S席9500円。

【谷】僕、本当これも前のほうで見れて良かったんですけど。

【山下】ふーん。

【谷】ちょっと、そこだけがもったいないなあ。いい作品なのにもったいないなと思いましたね。

【山下】なるほど。谷さん、これだけ見ていらっしゃるから、本当、演劇エンゲル係数が大変なことになってるんじゃないですか。

【谷】やばいですね。

【山下】奥さんに怒られたりとかも。

【谷】大体、妻と結構行ってますからね。

【山下】じゃあ、そこは家庭的には円満だ。

【谷】ええ、まあ。お金的には円満じゃないけど(笑)。

【山下】(笑)。じゃあ、なんか株式投資とかして稼いでください。

【谷】いや、それは隠れてやってるんで、あまり言わないでください。

【山下】オフレコですね。分かりました。

【谷】(笑)。

 テキスト起こし@ブラインドライターズ
 (http://blindwriters.co.jp/)

担当:荒井順平
 ご依頼、ありがとうございました。このお仕事は初めてさせていただいたのですが、お二人の演劇に対する熱い気持ちが伝わってきました。私は、その昔アマチュア劇団で音楽を担当していたことがあったので、そのときのことを懐かしく思い出しながら文字起こしさせていただきました。今はドラマもお芝居もほとんど見なくなってしまいましたが、このお仕事をきっかけにして、また少しずつドラマやお芝居に触れていきたいと思います。また満席の中、お芝居が見られる日が来ますように。


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