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【検証】ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z第3弾(宮城・松島→秋田・白神山地)

先日、しばらく放映されず続編の有無が気になっていた「ローカル路線バス乗り継ぎの旅W」の第3弾がテレビ東京系で放映されました。今回も暑い中の過酷な旅程で、ガチンコで旅をする女性3人組には、ホント頭が下がります。

さて、「ローカル路線バス乗り継ぎの旅を今のダイヤで行ってみたら」の検証シリーズ、今回はZ第3弾をお届けします。
スタートは宮城県の日本三景・松島。ゴールは秋田県の日本海側、青森県境にほど近いあきた白神駅でした。ルート的には同じく松島から津軽半島の竜飛岬を目指した元祖第6弾に近いでしょうか。マドンナはラブリさん。失礼ながら、この番組で初めて知ったタレントさんですが、暑い中を一生懸命に歩いていた姿が印象に残っています。

Z第3弾の実際ルート

一日目
松島町役場-(大郷町住民バス不来内経由松島線)-物産館-(大郷町住民バス黒川病院線)-大和町バスターミナル-(徒歩約0.8km)-ミヤコー吉岡営業所前-(大衡村万葉バス大森線)-大衡村役場前-(大崎市民バス三本木大衡線)-古川営業所-(ミヤコーバス色麻線)-古川駅前-(大崎市民バス古川線)-築館高校前-(栗原市民バス築館一関線)-一関駅前-(岩手県交通国道南線21系統)-平泉駅前
二日目
平泉駅前-(岩手県交通国道南線21系統)-一関駅前-(岩手県交通国道南線21系統)-イオン前沢-(岩手県交通国道南線21系統)-水沢駅前-(岩手県交通国道北線)-金ヶ崎本町-(岩手県交通国道北線)-北上駅前(西口)-(岩手県交通湯本温泉・北上線横4系統)-ほっとゆだ駅-(徒歩約10km)-《黒沢駅》-(旅館の送迎車)-《巣郷温泉》
三日目
《巣郷温泉》-(旅館の送迎車)-下南郷-(羽後交通山内線)-横手バスターミナル-(羽後交通横手・大曲線)-大曲バスターミナル-(羽後交通大曲・角館線)-市立角館病院前-(羽後交通生保内線)-田沢湖駅前-(秋北バス花輪・田沢湖線)-鹿角花輪駅前-(秋北バス花輪・大館線)-大館駅前
四日目
大館大町-(秋北バス)-大館駅前-(秋北バス米内沢・鷹巣・大館線)-鷹巣駅前-(秋北バス鷹巣駅前七座・薬師山スキー場線)-薬師山スキー場入口-(徒歩約2km)-道の駅ふたつい(二ツ井コミュニティバス)-(徒歩約3km)-二ツ井駅前-(秋北バス二ツ井線)-能代バスステーション-(秋北バス岩舘線)-あきた白神駅前

途中、クマが出ると脅されながらも果敢に奥羽山脈越えに挑み、最終日は怒涛の歩きで何とかバスに間に合って、奇跡的なゴールを果たしました。

2024年のダイヤ検証

さて、それでは、今のダイヤで行ってみたらどうなるでしょうか。なお、一行が最後に乗車した能代からあきた白神駅に向かうバスは既に廃止され、あきた白神駅前というバス停も今はありませんが、そのすぐ近くにハタハタ館前というコミュニティバスのバス停がありますので、今回の検証では、このハタハタ館前をゴールとしたいと思います。

実際の放映時にも何度かコメントが出ていた通り、この旅程のポイントは、いつ奥羽山脈を越えるかです。まずは実際ルートと同じように、北上から西に進んで奥羽山脈を越えるルートを考えてみましょう。

①実際ルート(北上から西進)の検証

1日目
松島町役場947→大郷町住民バス→1027物産館1027→大郷町住民バス→1050大和町バスターミナル→(徒歩4.1km・60分)→大衡村役場1320→大崎市民バス・三本木大衡線→1406古川駅前1615→栗原市民バス・築館古川線→1718築館高校前1907→栗原市民バス・築館一関線→1941有壁駅→(徒歩7.4km・2時間)→一ノ関駅

田中さんたち一行の実際のスタート時間は9時50分発ですが、現在のダイヤでは9時47分発となっています。物産館は10時27分着・同時発車ですが、時刻表上、接続が取られる旨の表示があります。ちなみに、大和町バスターミナルから一行が乗った大衡村の万葉バスは2023年5月に廃止されてしまいました。

そのため、その先のバスがある大衡村役場まで歩くことになります。その後、古川駅で2時間待ち、築館高校でも2時間待ちとバスの接続が悪く、この日到達できるのは有壁駅まで。実際ルートでは築館高校前で奇跡の乗り継ぎができて最終の一ノ関行に間に合いましたが、今のダイヤでは間に合わないようです。とはいえ、有壁駅周辺には宿泊施設が何もないので、2時間近く歩いて一ノ関駅で宿泊した方がいいと思います。

2日目
一関駅前750→岩手県交通・21・国道南線→826三日町834→岩手県交通・国道南線→909水沢駅前1148→奥州市営バス→1212県南免許センター→徒歩8.6km・2時間15分→北上駅前1430→岩手県交通・横5・横川目線→1500横川目

一ノ関からは一行と同じくイオン前沢へと向かうバスに乗っていきますが、イオンまで行ってしまうとそこから先、水沢へと行くバスに乗れません。途中の三日町というバス停で乗り継ぐ必要があります。一行が水沢から乗った金ケ崎経由で北上へと向かう岩手県交通・国道北線は北上金ケ崎線として再編されるも、それも2024年3月31日付で廃止されてしまいました。廃止代替となるコミュニティバスが金ケ崎町の県南免許センターまで走っており、そこから8kmあまりを歩いて北上駅に到達します。
さて、実際ルートでは、一行は北上から西へと向かって奥羽山脈越えに挑戦すべく、ほっとゆだ駅へと向かいましたが、途中の横川目からほっとゆだ駅までは2020年9月末付でバスが廃止され、20㎞以上の歩きが必要となってしまいます。さらに実際ルートでも宿送迎も駆使して乗り越えた下南郷まで、14kmバスがありません。都合、34kmもの空白地帯。さすがにこれを歩いていくのは無理があると言えますので、実際ルートの北上西進コースは断念ということになります。

②盛岡から抜けるルート

そこで、もう少し北上して盛岡から西へ進むルートも検証してみましょう。

2日目
一関駅前750→岩手県交通・21・国道南線→826三日町834→岩手県交通・国道南線→909水沢駅前1148→奥州市営バス→1212県南免許センター→(徒歩8.6km・2時間15分)→北上駅前1510→岩手県交通・花北3・石鳥谷線→1622志和口→(徒歩4.5km・70分)→日詰駅口1801→岩手県交通・602日詰線→1858盛岡駅前
3日目
盛岡駅前910→岩手県北バス・F41・八幡平自然散策バス→1105八幡平頂上

途中、4kmほどの歩きを挟みますがその日のうちに盛岡まで行くことができます。翌朝、八幡平頂上へと向かうバスに乗ることもできますが、そこから乗り継げるはずの羽後交通のバスは、2024年度は運休となっており、玉川温泉までしか行きません。八幡平から玉川温泉までは約30km。これもさすがに歩けません。
また、盛岡からは雫石へと向かうバスもありますが、こちらも、そこから先の秋田県境へ向けて、赤渕駅先の道の駅あねっこ雫石までのバスはデマンドバスになっていて利用できず、結局雫石駅から秋田県側で最も岩手県寄りにある大杉沢バス停まで26kmあります。
というわけで、盛岡からの西進ルートもうまくいきません。

③もう少し南側から奥羽山脈を越えるルート

北上も盛岡も難しくなったので、もう少し南側から奥羽山脈を越えるルートがあるか見てみましょう。
実際の旅程でも、一行は古川から西へ向かうルートを検討していました。

古川からは鳴子温泉へと向かうバスがありますが、残念ながら、そこから先、山形県境までバスがなく、県境を越えた最上町にもデマンド式の予約制バスしかありません。鳴子温泉ルートも難しそうです。

もう少し南に下がって、国道347号線、宮城県加美町から山形県尾花沢市に入る鍋越峠を越えるルートですと、徒歩距離は19kmです。これもすでに非現実的な距離ですが、北上や盛岡と比べるとまだ辛うじて短いので、いったんこのルートで行ってみることを検討したいと思います。

1日目
松島町役場947→大郷町住民バス→1027物産館1027→大郷町住民バス→1050大和町バスターミナル→(徒歩4.1km・60分)→大衡村役場1320→大崎市民バス・三本木大衡線→1406古川駅前1430→ミヤコーバス・色麻線→1455中新田西町1516→加美町住民バス・小野田線→1533小野田仲町

一応、この日のうちに、宮城県側の最奥部である宇津野というバス停までは行けるのですが宇津野到着は18時半。そこから19㎞、およそ5時間の峠越えをその時間から挑むのはあまりにも無謀なので、旅館がある小野田仲町でこの日は一泊です。

2日目
小野田仲町743→加美町住民バス・小野田線→808宇津野→(徒歩19km・5時間)→玉野支所前1337→尾花沢市営バス・銀山線→1352尾花沢待合所1551→48ライナー→1625新庄駅前

2日目は峠越えが中心となります。新庄から先は元祖第15弾と同じく、金山か鮭川村へ行って真室川を目指すのですが、金山、鮭川共にめぼしい宿泊施設がなさそうなので新庄で宿泊することとします。

3日目
新庄駅前808→鮭川村路線バス・羽根沢新庄線→831鮭川村役場前920→鮭川村路線バス・日下真室川線→943真室川駅955→真室川町営バス・及位線→1037及位駅→(徒歩13.1km・3時間半)→横堀駅1510→羽後交通・横堀線→1534湯沢駅前1542→羽後交通・湯沢小安線→1600川連1622→羽後交通・横手小安線→1704横手バスターミナル1730→羽後交通・横手本荘線→1921羽後本荘駅前

この日は元祖第15弾で敢行した山形・秋田県境越えに挑みます。湯沢から横手へ直行するバスは14時台に終わっていますが、小安方面へ向かうバスに乗って途中の川連というところで乗り換えると横手に向かう別系統のバスに乗れて、そうすると、羽後本荘へと抜ける最終バスに間に合います。
ちなみに、一行が辿った、横手から大曲・田沢湖・鹿角花輪へと抜けるルートですと、玉川温泉から先、鹿角花輪へと抜けるバスが1日1本しかなく、鹿角花輪到着が16時前となってしまい、4日目のその時刻に鹿角花輪にいては到底ゴールできません。

4日目
羽後本荘駅前705→羽後交通・急行本荘秋田線→817秋田駅西口900→秋田中央交通・100五城目線→1011五城目バスターミナル→(徒歩11.0km・2時間45分)→道の駅ことおか1300→鹿渡地区ふれあいバス→1306鹿渡駅1425→三種町巡回バス・鹿渡線→1450八竜ふれあいセンター1500→秋北バス・能代八竜線→1528能代バスステーション1745→秋北バス・能代峰浜線→1805道の駅みねはま1810→八峰町巡回バス→1856ハタハタ館前

五城目から先、八郎潟駅との間にある湖東厚生病院から三種町のコミュニティバスがありますが、12時発は予約制となっていて乗れないので、11km近く歩いて道の駅みねはまに行きます。その後は八竜から能代へと秋北バスで行けますが、ここで2時間待ち。絶望感が漂いますが、道の駅みねはまで八峰町のコミュニティバスに間に合い、19時前にゴール地点であるハタハタ館前に到着することができました。

というわけで、鍋越峠越えルートは19kmの峠越えを挟みつつも、何とか4日間でゴールが可能となりました。しかし、2日目に19㎞、3日目に13㎞、4日目も11㎞と長距離の歩きが続きますので、かなりきついルートとなりそうです。

④仙台へ南下してからのルート

さて、③のルートでは、峠を越えた尾花沢から、バス旅ではお馴染みの48ライナーを利用して新庄まで向かいました。仙台から新庄までを一気にワープできる48ライナー。何度もバス旅で助けられてきた魔法のバスです。ということは、最初から仙台発の48ライナーに乗ってしまえば、きつい奥羽山脈越えをすることなく楽に行けるのではないかと考えました。
最後に、松島からまず南下して仙台へ行って、そこから48ライナーを利用するルートを検討してみましょう。

1日目
役場前915→松島町営バス・松島西線→933三十刈町営駐車場前→(徒歩1.3km・20分)→二本椚1004→ミヤコーバス・葉山赤沼線→1025利府駅前1030→りふっと西部路線→1108岩切駅前/岩切駅1112→仙台市営バス・K210→1154仙台駅前/仙台駅西口1405→48ライナー→1625新庄駅前
2日目
新庄駅前808→鮭川村路線バス・羽根沢新庄線→831鮭川村役場前920→鮭川村路線バス・日下真室川線→943真室川駅955→真室川町営バス・及位線→1037及位駅→(徒歩13.1km・3時間半)→横堀駅1510→羽後交通・横堀線→1534湯沢駅前1542→羽後交通・湯沢小安線→1600川連1622→羽後交通・横手小安線→1704横手バスターミナル1730→羽後交通・横手本荘線→1921羽後本荘駅前
3日目
羽後本荘駅前705→羽後交通・急行本荘秋田線→817秋田駅西口900→秋田中央交通・100五城目線→1011五城目バスターミナル→(徒歩11.0km・2時間45分)→道の駅ことおか1300→鹿渡地区ふれあいバス→1306鹿渡駅1425→三種町巡回バス・鹿渡線→1450八竜ふれあいセンター1500→秋北バス・能代八竜線→1528能代バスステーション1745→秋北バス・能代峰浜線→1805道の駅みねはま1810→八峰町巡回バス→1856ハタハタ館前

このように、1日目に北上せずにいきなり仙台へ向かうと、その日のうちに新庄まで行くことができます。そこから先は③のルートと同じく真室川・湯沢・横手・本荘・秋田・五城目経由で進み、理論上は3日目でのゴールが可能となります。
奥羽山脈をバスで一気に越えてしまい、後は2日目の県境と3日目の秋田県内での10㎞を超える歩きこそあれ、かなり楽なルートとなります。なかなか、松島でゴール地点が白神山地と知らされて、北上せずに仙台を目指すルートを考えるのは難しいかも知れませんが、相当長距離を歩かされる奥羽山脈越えを一番楽に超えるルートとして、これが正解ルートのひとつといっていいと思います。

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