🚃江ノ電にガタゴト揺られて②

2022年10月11日 22:39

　※令和4年・西暦2022年は江ノ電が開業して120年の節目の一年です😱
　今年は、明治5年（1872年）10月14日に新橋・横浜間に🚂鉄道が敷設されてから150年の記念の年でもあります。
創業120周年からも判るように、江ノ電は日本で6番目に電気鉄道として、明治35年に藤沢〜片瀬間で開業しました。そのため、先頭車両には記念の120周年のトレインマーカーが飾ってあります。

　🚃江ノ電に揺られて①の続きです。　
　最近、鉄子さんが増えて来た所為か書店でも鉄道に関する書籍コーナーが登場するようになりました。YouTubeでも鉄子一人旅の動画配信も増えて来ましたね。　丸善書店で最近、面白い📗本を見つけました。

【単行本『うっかり鉄道』】
幻冬舎文庫から発刊されている文庫で、文筆家&漫画家の能町みね子さんのエッセイ集です。

　岳南鉄道の他に、江ノ電の章もございました。
やはり江ノ電はエッセイ・🎞映画などにもよく登場する人気の電車です👏🏻
　🚃〝絵になる〟電車なのです。
　私のとりわけ、お薦め車両は何と言っても江ノ電305系❣️です。
　鉄男&鉄子さんしか解って貰えませんが‥‥😅

　305系の親しみ易いデザインと車内が木製で出来ているレトロ感がたまりません❣️まっでも、独りよがり感は毬めません🤣

　江ノ電 305系が来ると写真を撮りたくなってしまいます😍この哀愁を帯びた面構え、305系ならではです。ぜひ引退することなく走り続けて貰いたいですが多分、動態保存は大変なご苦労があろうかと思います🤔

　腰越駅はEN07。
　腰越駅を下車して、🐉龍口寺まで戻る形で、今回は『大勝軒』さんのつけ麺で腹ごしらえ😋前回①では、お勧めのつけ麺ではなく、🍜醤油ラーメンでしたので②ではつけ麺勝負❗️

腰越駅に戻って次の駅、🚉鎌倉高校前EN08で途中下車。

　とても有名な踏切からの江ノ電と江ノ島の島影は、インスタ映えもすることから、日本人だけでなく外国からの観光客も大勢📸カメラを持って江ノ電の通過を待ちます。

　この坂を上がっていくと七里ヶ浜東の高級住宅街。カレー🍛でとても有名な『珊瑚礁』さんがあります。キーマカレーは今やレトルトパックにもなっており、静岡の片田舎でも『珊瑚礁』のカレーが食べれるようになりました。

　江ノ電はご存知の通り、腰越駅を東に向かうと海岸線に出てしばらく国道134号線と並走し、鎌倉高校前駅→七里ヶ浜駅手前で左に曲がり始めて単線による電車の行き違いをする待避所で電車を待ち、鎌倉からの🚃電車をやり過ごすと🚉七里ヶ浜駅に到着します。
　そこからは稲村ヶ崎駅へと向かいます。
⬜︎稲村ヶ崎駅
　
　稲村ヶ崎駅はいわゆる〝島式ホーム〟という代物で上下線が同時に停車出来るようになっています。

【稲村ヶ崎駅ホーム】
単線路線のため島式ホームで上下線が行き交うところになっています。

【稲村ヶ崎駅から出発する江ノ電305形】
ちょっと前までは右手側のお店が開店していて、店内から☕️を味わえましたが、現在は閉店していました🥹

　🚉稲村ヶ崎駅を途中下車👣　　
　線路沿いをとぼとぼ歩いて3分、踏切そばに創業60年を越えた焼き豚の名店『鎌倉稲村亭』があります。お店のすぐ前が江ノ電の線路、踏切の警報音が鳴っている時は入店も出店も出来ませんが、それでも昔からの有名店の一つに数えられます👍🏻

　永年に渡って培われて来た職人技が冴える秘伝のタレと一品一品を手間ひまかけて炭火でじっくり焼き上げた香りと味❣️
　創業60年に渡る伝統の味、炭火焼豚。
　まさに〝絶品の味〟です😋

【『鎌倉稲村亭』さんの🐖炭火焼豚】
秘伝の甘味のあるソースをかけて食べるのがお勧めです😋

　稲村亭から相模灘に向かってとぼとぼと歩き出して、国道134号線から見える稲村ヶ崎。
　道路の左側には♨️スーパー銭湯も出来ていました。道路沿いには建築設計事務所のショールームにもなっています。　
　目の前の横断歩道の信号🚥が変わってから渡ると公園と整備されている場所に🪦石碑があります。

【稲村ヶ崎】
前の道路が国道134号線。晴れていれば、ここから江ノ島と🗻富士山が展望できます。

　七つの切通しに守られていた堅牢な鎌倉幕府を倒すため幕府に反旗を翻した武将・新田義貞の碑が公園の入口左手にあります。

【🪦稲村ヶ崎にある史跡の碑】
この先の階段を降りていくと、海岸線に出られますが、🌊波が高い時は要注意です。

　　新田義貞は後醍醐天皇の意を受け鎌倉幕府討幕に挙兵し、あちこちで幕府軍と戦います。
　元弘3年/正慶2年（1333年）癸酉旧暦5月20日の夜半に稲村ヶ崎に到着します。

　鎌倉切通しは両岸が切り立つ狭い通路のため大軍が侵入するには大変不利な場所で、苦戦を強いられました。
　そこで一計を案じ、この稲村ヶ崎の海岸沿いから鎌倉に攻め入ろうと言うのです😱

【普段の稲村ヶ崎】
切り立った岩壁に相模灘の🌊波が直接ぶつかる海岸線です。ここを新田義貞勢は渡っていき、鎌倉幕府軍の裏をかきました。

　新田義貞勢は翌5月21日早朝の干潮時に僅かに現れた岩肌の地を進み行ったといいます。

　※現在の新暦・太陽暦に置き換えてみると、旧暦5月21日は、7月3日に当たります。

　後年、天文学者の小川清彦氏が科学的データを用いて、午前4:15分の干潮時に現れる僅かな岩肌の陸地から稲村ヶ崎を迂回して鎌倉に突入出来たと、論文に発表され歴史学会に🪨一石を投じました。

【稲村ヶ崎の富士山百景】
晴れていれば、江ノ島越しに🗻富士山が見えたはずです。
ご覧の通り、干潮時でなければ陸地は現れません。
新田義貞は干潮時に陸地が現れることを知っていたのでしょうか？それとも偶然の産物だったのでしょうか？

【新田義貞、稲村ヶ崎の錦絵】
源氏は白旗、新田氏も源氏の流れを汲む上野国新田庄（群馬県）の御家人でした。

　新田義貞勢のこの奇襲により鎌倉幕府軍は大混乱に陥って、鎌倉幕府は滅亡します。
　今、稲村ヶ崎の浜辺に立ち、新田義貞の勇敢な試みに感服してしまいました👏🏻
　稲村ヶ崎を離れ、稲村亭の踏切を渡ると線路沿いに一杯飲める場所がありました。

【🍺地ビールの鎌倉ビールと茹でしらす】
喉の渇きを潤すには地ビールです。線路沿いの特等席は中々空きません。
茹でしらすには大根おろしと鰹節が添えられていて、少量の醤油が差してあります。おつまみには最高でした😋

　何気なく飲んでいた🍺ビールでしたが後で調べてみたら、地ビールの鎌倉ビールの中でも「月」という初夏に味合うアルトビールでした。
　上面発酵酵母の上品な香りと、褐色のビールは和食に合うように作られていて、2010年のWBAアルトタイプ世界最高賞を受賞していたビールです😋

　喉の渇きを潤して、再び踏切を渡り極楽寺駅に向かいます。

【稲村ヶ崎駅から極楽寺駅に向かう】
踏切を渡ると車道と線路🛤が並走します。
今年は各所の紫陽花が草臥れていました🥲

【稲村ヶ崎駅から極楽寺駅に向けて】
目線の高さに江ノ電が間近を通過する隠れた絶景ポイントで、線路沿いを歩くと発見があります。

⬜︎ 極楽寺界隈

　稲村ヶ崎駅から再び、🚃江ノ電に乗車して三つ目の駅🚉『極楽寺』EN11で途中下車。極楽寺は昭和の頃はよくドラマの撮影舞台になっていました。

　勝野洋さん主演の📺人気ドラマ『俺たちの朝』は、『俺たちシリーズ』の第二段でした。『俺たちシリーズ』の中では刑事ものもあり、『俺たちの勲章』の主演が中村雅俊さんと松田優作さん。

【江ノ電極楽寺駅】
ユニバーサルデザインも取り入れられて、車椅子♿️の方でも乗降出来るように緩やかなスロープが施されています。

　未だ私が小学生の頃でしたが、マドンナ役の長谷直美さんが可愛いかったです😍

　江ノ電 EN11 極楽寺駅は、平成11年に関東駅百選にも選ばれています。改札を通ると🌸桜があり、繋ぐ道路は緩やかな傾斜がついており、右へ行くと稲村ヶ崎に向かい、左へ登ると程なく三叉路に橋が架かっています。
　祠の右端に赤い欄干が写っています。この橋を「桜橋」と呼ばれています。

【極楽寺駅に架かる「桜橋」】
鎌倉には「鎌倉十橋」と「鎌倉七切通」がありますが、
残念ながら桜橋は十橋には数えられていません。

ただこの桜橋、土木学会選奨土木遺産に平成26年、認定されました。江ノ電はこの桜橋の下を通過し、極楽洞の隧道を潜っていきます。
　この桜橋を紹介したのにはわけがあり、ここも黒澤明監督の🎞代表作『天国と地獄』の画面に登場します。

【極楽洞隧道】
極楽寺駅と長谷駅の間にある江ノ電唯一のトンネル。
長さ200m、煉瓦造りの坑門は明治39年に穿ちました。

　この極楽寺トンネル、坑内も単線ですが湾曲しているし、EN12 長谷駅に向かって下っているし、極楽寺切通の堅い岩盤を穿ったことから、大変な難航時だったと拝察します💦

【黒澤明監督の🎬『天国と地獄』】
主演・三船敏郎さん、助演・仲代達矢さん、山崎努さん。

　誘拐された少年を連れて犯行現場、逃走ルートの特定に、少年はこの桜橋通過を覚えていました。
　黒塗りのベンツの後席に乗って、犯行の手がかりを求めて親子であちこちを周りながら、少年は
「パパ、ここの橋覚えているよ。」
と、口ずさむシーンに登場します。

　桜橋を渡ると祠があります。この印象的な祠を曲がると極楽寺があります。

【二代執権・北条義時】
📺NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、小栗旬さんが演じておられるのが、北条義時です。

　極楽寺の建立は、真言律宗の寺院で開基は北条重時、鎌倉幕府二代執権・北条義時の三男です。母は比企一族から輿入れした姫の前御前。
　ドラマでは、堀田真由さんが抑えた演技で好演しておられました。

　　ここは、鎌倉七切通しの一つがあった場所で、鎌倉を要害の地としていた切り通しがあった場所の外にあたり、いわゆる〝場末〟の場。
　そのためか、当時はここを地獄谷として、人の死骸などを葬りさられていた場所を重時が憂い、供養と念仏を唱える寺院を建てたのが始まり。
　
　現在は閑静な住宅街ですが、地名からは想像もつかない場所でした。

【極楽寺山門】
真言律宗の古刹で、二代執権・北条義時の三男、北条重時な発願で建立されました。

　極楽寺境内には、「🌸八重一重桜」という珍しい桜の大木があります。

【八重一重桜の大木】
モンゴル🇲🇳元軍が攻めて来た元寇の際に鎌倉幕府の舵取りをした執権・北条時宗の手植えだそうです。

　一枝に八重と一重が混在して咲く珍しい桜です。
撮影した日は、既に桜の花は散っていました🥲

　極楽寺境内は拝観料を取らないため、浄財を少し多めに志納しておきました🙏🏻

⬜︎月影地蔵

　極楽寺界隈にはもう一つ忘れてはならない歴史的遺構があります。
　「月影地蔵」です。

【女流歌人・阿仏尼】
彼女は和歌で有名な藤原定家の息子・為家の側室となりますが、為家の嫡出子・非嫡出子の相続裁判で高齢でいらながら、鎌倉へ下向します。

　鎌倉時代中期の女流歌人・阿仏尼の📖紀行文『十六夜日記』を記したことでも有名ですが、彼女が60歳を過ぎてから相続問題で鎌倉へ下向し、相続裁判を鎌倉幕府に陳情します。

　
　その相続裁判の行方を見守るべく滞在した鎌倉の住処というべき、「月影地蔵」堂があります。
　極楽寺界隈で散策しながら探しました。三度目で漸く見つけました。

　夫・冷泉為家死後の遺産相続の訴訟のために、鎌倉に下向した京都から鎌倉までの紀行文が📖『十六夜日記』です。
　弘安二年（1279年）10月16日に出発した阿仏尼は、10月29日に鎌倉に到着します。60歳を越えながら、僅か二週間足らずで鎌倉に到着し、居を定めました。

『東にて住むところは、月影の谷《やつ》とぞいふなる。浦近き山もとにて、風いと荒し。山寺の傍らなれば、のどかにすごくて、波の音、松の風絶えず、都のおとづれはいつしかおぼつかなき程にしも‥‥（中略）』
　

『十六夜日記』より

【山川出版社刊『物語の舞台を歩く　十六夜日記』】
カラー写真も交えて素人にも判り易く纏められていました。

　鎌倉の御家人には非情とも言える厳しい一面を見せていた鎌倉幕府ではありますが、民衆にとっては仁政を敷いていたり、裁判も比較的に公平な社会でした。

　ただ阿仏尼の相続裁判は、阿仏尼存命中には決着がつかず、訴訟も二転三転しました。裁判は、阿仏尼の後継として子の冷泉為相《ためすけ》の原告側と被告・冷泉為世《ためよ》として引き継ぎ、その後34年に渡って訴訟が続き、原告・為相の勝訴で結審しました。
　阿仏尼は、藤原定家の子・藤原為家の側室であったため、立場が弱かったのですが、鎌倉幕府の問注所は阿仏尼側に正当性があると判断して、播磨国細川荘（現在の兵庫県三木市細川町）の領有を認めたのでした。

【📺NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』のポスター】
伊豆韮山の大河ドラマ館にて。

　📺NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、鎌倉幕府の運営の非情さが目立ちますが庶民には意外な一面を見せています。
　
⬜︎成就院

　極楽寺駅から極楽寺切通を長谷駅に向かって降りて行くと、北鎌倉の紫陽花で有名な明月院と並んで有名な成就院が右手側にあります。

【成就院の山門】
108段の石段の参道に、262株の紫陽花が植えられています。お気づきかと思いますが、108という数字は除夜の鐘と同じ煩悩の数。
262は、「般若心経」の字数にちなんでいます。

　成就院もその名の通り、願いが成就する寺院として、「縁結びの寺」としても有名です。眼前には由比ヶ浜が望めます。
　
　成就院を由比ヶ浜の方に下さって来ますと、⛩御霊神社を曲がる角に、元禄3年（1690年）創業の峠の茶屋が前身の「力餅家」さんがあります。
　九代続く伝統の和菓子匠で、厳選された自家製餡でお餅を包んだ「権五郎力餅」が名物です。

【「権五郎力餅」】
300年の伝統の味です。
権五郎とは⛩御霊神社に祀られている鎌倉権五郎にちなんで名づけられています。

　「力餅家」を曲がれば正面に踏切、踏切に⛩があり、御霊神社です。

　御霊神社に祀られている鎌倉権五郎とは、1083年に起こった後三年の役で若干16歳で奮戦し勇名を馳せた鎌倉権五郎景正のことです。桓武天皇の子孫と言われ鎌倉の地を開拓し、後の梶原平三景時にも繋がる家系です。

梶原景時が頼朝に仕える前は平家方の武将であったのも、平家の先祖が桓武天皇に行き着くからです。

【極楽寺隧道を抜けると御霊神社の脇を走ります】
御霊神社拝殿は神域のため撮影は出来ません。

　御霊神社でお参りをした後、長谷寺に向かいます。
　この続きは③で披露します。
　　　　　　　　　　　　　　　　〔続く〕

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