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逆噴射小説大賞2021:開発者による解説

[bapuru] 開発者の部屋にようこそ。皆も祭りは楽しんでいたかな? いろんな方の書いた色んな話を読めてうれしく思うよ。自分もいくつか書いたから、ここにコメンタリーを付けておく次第だ。

読了後の感想をぜひ聞かせてほしい。 感想は、Twitter:@BadPoolMan まで。ちなみに、今書いているのは長編だから、また見せる機会があるかもしれないね。 それじゃ、楽しんでくれ!

++今年のあれ++

て、手強え~!
弾数(応募できる本数の事)が3発までに縛られた結果、全部マトのど真ん中を貫通させるぜ、なんてパワーがあふれている。
「これがおもしろい、だから読め」っつーパルプ初期衝動が周りのレベルの高さでステージバフが掛かってるのかビシビシ伝わって伝わって。
最高。全員全部一日3文字づつ読むのだ。

++自作のやつ++

1本目「そしてハナズオウに至る季節」

帝都物語の加藤もそうなんですが、「フツーな名前」な人間が、ものすごい異能で、名前が持つ平々凡々なイメージすら飲み込んで、大破壊をする、っていうのが個人的には大好きで。
今回の主役ヴィランである「伊東」も、そういう狙いがあったりした。あとは単純に個人的に書いてるシリーズとの繋がりを持たせるため。こうやって薄―――――く繋がらせておくことで、後でちゃんと続きを掛けるという寸法だ。ツルセコ!

話としてはピカレスクノワールもの。そこにオカルト的なエッセンスと、カルト系の悪の秘密結社を足し合わせた感じ。具体的には、森見登美彦の大学生がクトゥルフ教団を立ててスカーフェイスになる話。舞台設定的には198X~199Xを想定している。

当初悪役伊東君にはあらゆる聖典を燃やして挑発行為を行うとんでもないシーンを用意していたのですが、やると流石に書いてる私も怒られそうだったので手加減して娘を邪魔法書に変えてもらいました。

反省点としては黒く塗り過ぎたかもなーっていう感じはする。コイツはやべえっ!感はめっちゃ出したとは思うんだけど、展開が救いようがなさ過ぎて&悪趣味に振り切りすぎてエンタテイメント性能が少し落ちてるんじゃないか、なんて点。
ゴスロックっぽさを上手く伝えて性癖に素早く届けるのがいかに難しいかがわかりますね。

2本目「越海教師芝居学舎」

僕は昔(小学生とかその辺のころ)になるけど、田舎歌舞伎(※)にルーツを持つ劇団に入ってたことがあって、そこで学んだこととか、経験とか、沼に落としたのが一押しだったのかのちに演劇の世界へ飛び込むことになった友人との出会いとか、学校でめっちゃ揚げ足取られたりして嫌な思いをしたとかが積み重なって書いた話。
まあ発想点的には、知らざあ言って聞かせやしょう、の英訳を考えるところから出発した。

構造的には歌舞伎の「実ハ平維盛」的な貴種流離譚と、スクールオブロック的な部活もの、そして「舟を編む」的な言語知識のツボを押すスパイシーさを3身合体。結果的に邪悪さが抑えられてポップで快活な話になった。

ここで出てくる水谷先生に託したのは、自分が数か月前まで思っていた「芸術行為に対する虚無感」みたいなもの。
自分は(恥ずかしい話だけど)、芸事や創作は「他人がやるのは素晴らしいけど自分は恥を上塗りするだけ」みたいな、「俺がやっても良いのか?」とか、完全に自己否定を行ってて、マジで死を覚悟してて、Star Fetchersのローカライズが配信されて、そのあと「貴様、道を拓いたな?自分もやるぜー!」って乗り込んできてくれたオタクとチームアップを完了するまでそういう態度は続いてた。(結論としては出会い続けるクソ野郎にナメられ続けてた事が心の奥で引っかかってただけという非常にしょーもない事なんだけどね)

まあ、そんなことがあり、水谷先生は芸に抱いてたキラキラした感情をしがらみとか色々によって磨り潰されてる状態で、クールなハズの伝統芸能の魅力を見失ってる状態だと主人公の葛藤とか、限界を超える王道展開に繋がってカッコイイんじゃないか、と思って色々ネリネリしたのがこれ。

他にもいろいろ、Fansub文化(※)についてのネタとか、十八番は特定の家に許可を取らないとマジで怒られる(※)逸話とかを盛り込んで、どじゃーんってやりました。

そしてピックアップ本当に感謝。続きを書くよ!!!

(※)田舎歌舞伎
あらかじめ言っておくとこの文化は実在する。wikiから引用すると、「農村歌舞伎舞台(のうそんかぶきぶたい)は、日本において江戸時代より農民の娯楽として行われている農村歌舞伎や人形浄瑠璃を催すための舞台」が正式な説明。
大抵は神社の境内に作られていて、ものすごいローテクとアナログにより支えられた温かみのある劇場が特徴。愛知県にも現存してて、なんと今でも地元の有志により公演が行われ、大盛況になるほどの人気がある。

ちなみに子供が歌舞伎をやる、というのも実はオリジナルアイデアというわけではなく、実在の事例からの引用。石川県小松市の「全国子供歌舞伎フェスティバル」に代表されるように、各地で実は見られる文化であったり。
(※)Fansub
こっちは知名度が高い文化だけど一応解説。YouTubeとか見てるとBLEACHとかにスペイン語とか英語の字幕がついたイカにも違法アップロードのアニメがあるんだけど、それはこのFansub文化に支えられたもの。
今でこそネットフィリックスとかアマプラがあって、海外勢でも日本製アニメを容易に入手できるけど、ひと昔前まではDVDを買って、日本語が聞けるヤツくらいしかガッツリ沼れないという事情があった。
その結果として、「お前らも沼に落ちろー!」みたいな向こうのオタクが動画をリッピング、字幕をのっけて界隈で共有し始めたのが始まりの文化。
この辺のアレのアレで今度は同人誌に対する翻訳がちょっとした問題になったのはまた別の話。
(※)マジで怒られる
実話。
ほんとに許可がいるんだもーん!!!!!市ですら「やっていい????」って聞きに行かないと今後の公演ダメですとか言われるとか色々あるんだもん!!!!メイうそじゃないもん!!!!!

3発目「恋の猿島」

これは旧作のセルフリメーク。リメイク元はコレ:

最初はナム地獄かジンギスカン作戦あたりを題材にしよっかなーとか考えてましたが、結局孤島バイオレンスものでおちつきました。

何気に最も性癖に忠実なやつ。ひどい目に合ったり、役割が与えられてしまうのは非常にクる。やるせなさといい、ダーク感といい。星川睦美ってのは地元を散歩してたら見た看板を融合させただけの名前だったりする。

なんで恋かって? ポップでしょうが!!!!

おわりに

今年は3本!!!!

ただ現在ワークショップされた


こいつを

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どじゃあああああんってやってるので、その点では肩肘張らずにぶっ放せたと思う。もしもらえるとしたらドリトスを貰いたいなーって思います。

(おわりです)

コインいっこいれる