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嘘日記005:はたらき方改革?

小説を書くための筋力(概念)をつけるために、
毎日架空の日記を書くことにしています。基本的に架空です。

 朝起きて、日課のお湯の水割りを飲みながらTwitterを眺めていたら、とても好きなゲームのシリーズ最新作が発売されるとの情報を発見した。
 もう過去作をいくつやっただろう。本当に好きなゲームで、いつも発売日当日にゲームショップに転がるように駆けつけて、しばらくは食べるのも寝るのも忘れてプレーしていた。
 楽しみだなあと詳しい情報を探しているし、そういえば前作のプレイ中にこんなことがあったことを思い出した。

 そのゲームはシリーズを通じて、のんびりほのぼの、牧場生活を体験するという内容なのだが、次々に解禁される農作物や季節の移り変わりが楽しくて、ついつい先に先にと進行を急いでしまうのがいつものわたしのプレースタイルだった。
 ゲーム内の主人公キャラクターは、一日に使える体力が決まっていて、作物への水やりや家畜の世話をするたび体力を消費していく。この体力を一日の中で最後まで使い切ってしまうと、主人公は気を失い、次の日の朝まで強制的にゲーム内の時間が進む。
 体力は一晩寝れば回復するので、本当は体力が枯渇しないように作業量を調整すればいいのだが、早く進行したいわたしはついつい主人公が倒れるまで作業を詰め込んでしまう。そうでなくても主人公は朝から5時から夜20時までてんやわんやで働くのが常だった。
 その日もゲーム内時間でひと月ほど過ごしていただろうか。毎朝律義に朝の五時に起きてくる主人公が、なぜか起き上がってこない。画面の中の時計はどんどん進んでいくのに、ベッドの上の掛布団がこんもり膨らんだまま、主人公が現れない。
 バグか何かだろうか? セーブしたのはいつ頃だっけ? とガチャガチャ適当にボタンを押し込んでみるが、特に変化はない。
 焦り始めたわたしが思わず、「やることたくさんあるのに!」と声を荒げたその時、
「うるせえ! 働き方改革ってもんを知らんのか!!」
 ゲームの中からそんな怒声が聞こえた。

 あれ以来、そのソフトは起動していない。あの主人公は相変わらず、布団にこもり続けているのだろうか。
 最新作の主人公は、たくさん働いてくれるといいのだけれど。

書き終わるのにかかった時間:40分

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