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【夢うつつ絵本2】夢の落下(悪夢) 4p
ある日の夢。
私は目の頭上に咲いた大きな花火に釘付けになっていた。
次々に開いては散っていく儚い光は、私の足元まで降ってきて音もなく弾けて消えた。
綺麗だな……。
しかし、それは遅れてやってくる。
地鳴りとなって伝わってきた音は私の鼓膜をバリバリと揺らした。
耳底で何度も何度も。
大太鼓を叩く様な音は消えず、それが不快で私は押さえた両耳を力の限り引っ張った。
ブチっという音と共に顔の側面が熱くなったのを感じた。
両手にはちぎれた左右の耳。
私は両耳をポケットの奥に突っ込んでうずくまった。
また怒られる……。
また?
どうやら耳を引きちぎったのはこれが初めてでは無かったようだ。
※
チョキン!
綺麗な刃音だけははっきりと聞こえた。
私は両耳を確認しに洗面所へと向かった。
あれ?左右の耳が逆についている。
こんな時は妙に冷静になる。
あぁ、まだ夢の中なんだ。
そんな事を思いながら、鏡に映った耳を交互に眺めた。
つづく
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