【2024年】山脇学園の大学進学実績を眺めて

 「大学進学実績を眺めて」シリーズ、今回は山脇学園です。

これまでの記事は、マガジンにあります。併せてご参照ください。


[基本設定]
現役合格者数と現役進学者数と卒業生数を、全てHPにおいて公表している学校を対象とし、現役生においてのみ考察の対象としている。

[山脇学園の基本情報]
卒業生数:268名
偏差値 :SS39(2024年 SAPIX vol.1 2/1)

国公立の進学実績について

まずは、国公立についてです。

【進学者数:合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
3名:3名:100.00%:1.12%

旧帝大は1人もいません。ただ、昨年は東大の進学者が1名いるので、誤差の範囲で考えても良いかもしれません。東大以外の国公立の進学者も10名いたので、今年は著しく減らしています。それがどういう意味を持つのかは、単年の分析では見えてきませんが、田園調布学園や普連土学園と比較すると少し物足りないのは否めません。

早慶上理の進学実績について

 次に、早慶上理の進学実績についてです。

【大学名:進学者数:合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
慶應  :  3名:  5名:  60.00%:1.12%
上智  :11名:22名:  50.00%:4.10%
東京理科:  2名:  2名:100.00%:0.75%
早稲田 :  7名:15名:  46.77%:2.61%

※50音順

 こちらも田園調布・普連土と比較すると物足りない印象です。中学受験で山脇が本格的に入りづらくなるのは、もう数年後の卒業生のときになるので、その世代から徐々に増えるのかもしれませんが、現時点では田園調布・普連土とは肩を並べていないのかと。

GMARCHの進学実績について

続いて、GMARCHの進学実績についてです。

【大学名:進学者数:合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
青山学院:  3名:18名:16.66%:1.12%
学習院 :  2名:  5名:40.00%:0.75%
中央  :  4名:23名:17.39%:1.49%
法政  :10名:29名:34.48%:3.73%
明治  :10名:26名:38.46%:3.73%
立教  :18名:56名:32.14%:6.72%

 GMARCHまで広げても、進学率は30%弱で、田園調布・普連土と肩を並べるところまではいきません。特徴を挙げるとすれば、法政への進学者が増えたことでしょうか。これまでの学校では、ほとんど進学者がいなかった法政ですが、山脇学園では一定数の進学者がいます。これは、指定校推薦などの影響なのかもしれませんが、興味深いです。
 また、GMARCHの中でも、立教だけは安定して進学率が高い印象があります。他の大学は、学校によっては、ほとんど進学者がいないというケースがあるのですが、立教だけは安定しています。女子にとっては、立教は通いやすい大学なのでしょうか。そういう傾向を見ると、香蘭女学校が人気の理由も、何となく見えてきます。

日東駒専の進学実績について

 最後に、日東駒専です。

【大学名:進学者数:合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
駒澤:  0名:11名:  0.00%:0.00%
専修:  3名:17名:17.64%:1.12%
東洋:  6名:55名:10.90%:2.24%
日本:12名:40名:30.00%:4.48%

 山脇では、合格者数も進学者数も多少増えるようですが「広がる」というような感じはしません。GMARCHと日東駒専の間にある大学は、様々な学校に進学しているのでしょう。日大への進学者が増えるのも、幅広い学部があるからなのだと思います。ここらへんは、大学名で進学を考えるよりも、やりたいことで進学を考え始めるのかもしれません。
    あと言うことがあるとすれば、田園調布・普連土・山脇と、日東駒専を見てきましたが、未だ駒大への進学者が一人もいないことです。ほぼ文系学部しかない小さな大学だからということもあるのでしょうが、完全な押さえ校としてしか機能していないのでしょう。箱根駅伝での強さは、中学受験の世界では響かないようです。

まとめ

 山脇になると、国公立早慶GMARCH以上が3人に1人より少ないくらいになります。山脇が中学受験で本格的に難しくなるのは、もう少し後の世代です。今の問題の難易度を見ても、それなりの実力者が入学していると思われるので、数年後には変わっているかもしれません。それゆえに、進路指導という観点でいえば、まだ評価しずらいと考えています。その点で言えば、田園調布・普連土の方が、現時点では信頼値は高いでしょう。
 ただ、学校の評価は大学進学実績からだけで見えてくるものではありません。良し悪しは趣味の世界になると思います。したがって、学校選択は、

・通学時間
・ミッション系かどうか
 
ミッション系➡普連土学園
 それ以外➡田園調布学園山脇学園
・生徒数が、小規模か中規模か
 
小規模➡普連土
 中規模➡田園調布学園
 大規模➡山脇学園

というようなところをポイントにして判断していくと考えています。
    塾講師の目線で言いますと、上位校からスライドするには進学実績に物足りなさがあり、入試日程が複雑なために間違いが起こりやすい学校なので、現状で言えば普連土・田園調布よりは選びづらい気がしています。山脇には、もう少しシンプルな受験方式にして、より第一志望の受験生を大切にしてほしいと思うので、今は推せない学校です。
 学校の良し悪しではなく、入試方式の複雑さが偏差値上昇の要因の一つだと考えています。見学に行った子の多くは気に入り、憧れを抱く学校なだけに、悪い学校ではないと思います。それだけに、受験生のことを考えているとはあまり思えない日程が、もう少し受験生の立場に立って考えられた日程に変わることを、切に願っております。

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